Roland V-Drumsで練習や演奏に没頭している最中、突然シンバルが反応しなくなる経験はありませんか。それは、あなたの演奏技術の問題ではなく、機材のセッティングに潜む「致命的な誤解」が原因かもしれません。アコースティックドラムの常識である「シンバル保護のためのフェルトワッシャー」が、実はV-Cymbalの回転を引き起こし、センサーの無いデッド・ゾーンを叩かせる元凶となっているのです。この記事では、その構造的な理由を論理的に解き明かし、Roland純正の「回り止め」パーツの性能を100%引き出す唯一の正しい設置方法を詳解します。長年の悩みだったシンバルの回転問題を根本から解決し、あなたが本来集中すべき演奏そのものに没入できる環境を構築します。
なぜV-Cymbalは意図せず回転してしまうのか?その構造的欠点
アコースティックシンバルが360度どこを叩いても均質な音色を奏でるのに対し、RolandのV-Cymbalをはじめとする電子シンバルは、内部に特定の音を検知するためのセンサーを内蔵しています。特に、繊細な表現に不可欠なエッジショットの音は、シンバル下部の特定エリアに配置された「エッジ・センサー」によって検知されます。
演奏中の打撃や振動が蓄積することでシンバルパッドがわずかでも回転すると、このエッジ・センサーが本来の打点からずれてしまいます。結果として、センサーが内蔵されていない「デッド・ゾーン」を叩くことになり、「音が出ない」「意図せずパッド中央の音が鳴る」といった致命的な演奏トラブルを引き起こします。これが、多くのドラマーを悩ませる「シンバル回転問題」の正体です。
アコースティックドラムの常識が招く「致命的な誤解」
では、なぜ回転を防ぐための仕組みがあるにもかかわらず、この問題が発生するのでしょうか。原因は、アコースティックドラムの常識を電子ドラムに適用してしまうことにあります。
従来のアコースティックドラムでは、シンバルスタンドの金属部分とシンバル本体が直接接触して破損するのを防ぐため、間にクッション材として「フェルトワッシャー」を挟むのが標準的なセッティングです。しかし、この良かれと思っての配慮が、V-Cymbalの安定性を著しく損なう原因となります。
打撃の衝撃を受けた際、柔らかいフェルトワッシャーは土台そのものの不安定化を招きます。これにより、本来シンバルの回転を物理的にロックするはずの「回り止め」パーツの固定力が失われ、パーツごと空転してしまうのです。
【最終対策】シンバル回転を完全停止させる唯一の正しい設置手順
この問題を根本から断ち切る鍵は、Rolandが提供するプラスチック製の純正部品「回り止め(Cymbal Stopper)」の性能を、設計通りに100%引き出すことにあります。以下の手順に従い、フェルトワッシャーに関する従来の常識を一度リセットしてください。
手順1:ティルター(土台)の完全な露出
まず、シンバルスタンド最上部からウィングナットと、シンバルの上下に配置されているフェルトワッシャーをすべて取り外します。シンバルを支える金属製の土台部分(ティルター)が完全に剥き出しの状態になっていることを確認してください。
手順2:スタンドと「回り止め」の直接設置
露出した金属製のティルターの上に、直接プラスチック製の「回り止め」を設置します。ここが最も重要なポイントです。回り止めの裏側にはティルターの形状に合わせた溝が設計されています。この溝とティルターの形状が完全に一致し、物理的に噛み合うように配置してください。この際、スタンドと回り止めの間にフェルトワッシャーを絶対に挟んではいけません。
手順3:シンバルパッドと「回り止め」の確実な結合
回り止めの上から、直接シンバルパッドを乗せます。回り止めの表面には、回転を防ぐための突起(ピン)が設けられています。このピンを、シンバルパッド裏面に設けられた小さな穴に確実に差し込んでください。ここでも、回り止めとシンバルパッドの間にフェルトは不要です。プラスチック製のパーツ同士が直接接触することで、ピンによる物理的なロック効果が最大化されます。これはメーカーが想定した設計であり、機材を損傷させる心配はありません。
手順4:仕上げと自然な揺れの確保
シンバルパッドの上から、上側用のフェルトワッシャーとウィングナットを取り付けます。この上側のフェルトは、シンバルの自然な揺れを確保し、チョーク奏法を可能にするために必要です。シンバルを手で揺らし、打撃後に自然にスイングする程度に、ウィングナットの締め付け具合を調整して完成です。
正しく設置されていれば、手でパッドを強く回そうとしても、物理的にロックされて全く回転しないことが確認できるはずです。
まとめ
長らく多くのドラマーを悩ませてきた「シンバル回転問題」は、アコースティックドラムと電子ドラムの物理的な構造の違いを認識せず、従来の常識を誤って適用していたことに起因する、極めて論理的な問題でした。
専用に設計された「回り止め」パーツの機能を100%引き出す正しい知識を適用することで、演奏中の機材トラブルという物理的な制約と思考上のノイズは完全に排除されます。これにより、ドラマーはセッティングの不安から解放され、本来注力すべき演奏技術の向上や音作りといった、より創造的で高い次元の領域へ踏み出すための、盤石な基盤を築くことができるでしょう。









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