電子ドラムのタムは、深胴から浅いパッドに替えると何が変わるのか?

電子ドラムのタムを深胴のパッドから浅いパッドに替えても、音色は変わりません。変わるのは、叩いてから音が返ってくるまでの反応の速さの体感です。この反応の速さは測定した値ではなく、深胴のタム7枚を浅いパッドに替えた私の体感です。

しかし、深胴のパッドは木の胴を持ち、値段も高いので、良い音がしそうに見えます。

この記事では、音色を決めるもの、深胴のパッドが作られた理由、替えたときの反応の変化、選び方を、この順に説明します。

目次

電子ドラムの音色は、音源モジュールが決める

電子ドラムの音色は、音源モジュールが決めます。パッドは打撃をセンサーで検出し、その情報を音源モジュールへ送る部品です。

楽器店のサウンドハウスの解説でも、音源モジュールはパッドからの信号をドラムの音に変換する部品とされ、パッドの素材で変わるのは主に打感とされています。同じ音源モジュールで鳴らすなら、パッドを替えても音色は変わらず、深胴にしても太い音は出ません。

深胴のパッドは、生ドラムの胴の見た目と打感を再現する設計

深胴のパッドが作られたのは、生ドラムの胴の深さが音を左右するからです。サウンドハウスの解説では、胴が深いと音が太く深みが増し、浅いとアタックが強調されてシャープな音になるとされています。

生ドラムでは、叩いたヘッドの振動が胴を通り、下のヘッドと一緒に揺れ、空気を震わせて、その音が聴く人の耳に入ります。ローランドの深胴のパッド(V-Drums Acoustic Design)は、木の胴を持つ生ドラムの見た目と叩き心地を、電子ドラムで再現する製品です。

電子ドラムの胴は、響いても、その響きは音に使われない

電子ドラムでは、胴がどれだけ響いても、その響きはヘッドフォンからもスピーカーからも聞こえません。鳴っているのは音源モジュールの中のサンプルなので、深胴の価値は音ではなく、見た目と打感にあります。

生ドラムでは、胴が振動している時間がそのまま音を作っている時間です。電子ドラムでは、同じ構造が音を作りません。

深胴から浅いパッドに替えると、反応が速く感じた

深胴のタム(PDA100-MS、PDA120-MS、PDA140F-MS)を7枚すべて浅いパッド(PD-8H、PD-10H)に替えると、立ち上がりが速くなったように感じました。深胴のときに感じていた違和感は、音への不満ではなく、頭の中の音と実際に聞こえる音との、反応のわずかなズレでした。

速く感じた原因は、測っていないので、はっきり分かっていません。推測では、深い木の胴では打撃の振動が胴全体に回り、センサーが立ち上がりを捉えるまでに時間がかかり、浅いパッドでは打点のエネルギーがセンサーに直接届くのかもしれません。

この推測が当たっているなら、深胴の胴の響きは、電子ドラムでは音にならず、叩いてから音が出るまでの待ち時間だけが増えます。生ドラムでは、同じ胴の響きが音の一部になります。

よくある疑問

Q:電子ドラムのタムは、深胴のほうが音が良いのですか。

A:同じ音源モジュールで鳴らす限り、深胴でも浅いパッドでも音色は変わりません。パッドは打撃を検出して情報を送る役割で、深胴の価値は、生ドラムに近い見た目と打感にあります。

Q:では、深胴のパッドは選ばないほうがよいのですか。

A:深胴が合う人もいます。生ドラムと持ち替える人や、深い胴の打感が好みの人です。判断の基準は音ではなく、自分の身体がどちらの打感で気持ちよく叩けるかです。反応の速さを優先するなら、浅いパッドが合います。

パッドは音色で選べないので、打感と反応の速さで選ぶ

パッド選びの基準は、打感と反応の速さです。頭の中で鳴っている音と、実際に返ってくる音が気持ちよく重なるほうを選びます。

スティックが速く跳ね返るのが気持ちよい人もいれば、叩いたときに柔らかく受け止める感じが必要な人もいます。可能なら楽器店で両方を叩き、頭の中の音とのズレが少ないほうを選びます。カタログの写真で「良い音がしそう」と感じるのは、生ドラムの記憶から来る連想です。

浅いパッドで硬く感じたら、音源側で整える

浅いパッドは、アタックが正確に出るぶん、硬く感じる場面があります。硬さは、発音を遅らせずに、音源側でアタックの形を整えて和らげます。

音が出るのを遅らせると、叩いてから音が出るまでのズレがまた大きくなるためです。整える方法は次の2つです。

  • トランジェント処理で、アタックをわずかに丸める
  • リバーブのプリディレイを調整して、空間の反射が届く時間を変え、奥行きを出す

まず1枚だけ、自分の環境で替えてみてはいかがでしょうか

深胴か浅いパッドかで迷っているときは、まず1枚だけ自分の環境で試してみてはいかがでしょうか。音色は変わらないので、身体が感じる打感と反応の速さで決められます。

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