間隔をあけて学習するほうが、一度にまとめて学習するより、内容を長く覚えていられます。時間を分けて学ぶ細切れ型は、短期集中型より記憶に残りやすい学び方です。
しかし、脳が育つかどうかは、まだ確かめられていません。確かめられているのは主に記憶課題の成績で、脳の中で何が起きているかは研究が続いている段階です。
この記事では、両者の違い、間隔をあけると記憶に残りやすい理由、2つの時間管理術、細切れ学習の弱点とその補い方を、順に説明します。
短期集中型と細切れ型は、時間の配分が違う
短期集中型は短い期間に長時間まとめて学び、細切れ型は短いセッションに分けて長い期間続けます。長く覚えておきたい内容には、細切れ型が向いています。
| 観点 | 短期集中型(集中学習) | 細切れ型(分散学習) |
|---|---|---|
| 進め方 | 限られた期間に高い強度で取り組む | 短いセッションに分け、長い期間続ける |
| 具体例 | 週末に8時間プログラミングを学ぶ | 毎日30分ずつプログラミングを学ぶ |
| 長期の記憶 | 時間が空くと忘れやすい | 間隔をあけた学習は長く覚えていられる |
| 没入感 | 深く集中する状態(フロー)に入りやすい | フローに入りにくい |
| 短期の進捗 | 短期間で達成感を得やすい | 進捗が見えにくい |
間隔をあけると、なぜ長く覚えていられるのか
間隔をあけた学習は、まとめて学ぶより長期の記憶に有利です。心理学ではこれを分散学習効果と呼びます。
2006年にセペダらが、184本の論文に含まれる317の実験を整理しました。学習の間隔と、あとで思い出すまでの期間の組み合わせで、記憶に残る量が変わると報告しています。対象は単語の再生などの記憶課題が中心で、技能の習得にそのまま当てはまるとは限りません。
理由としては、学んだ内容が長期記憶に移るまで(記憶の固定化)に時間がかかるためだと説明されます。
休憩中にも、技能は上達する
2019年にボンストルプらは、27人の成人に、左手で5つのキーを決まった順に打つ課題を10秒の練習と10秒の休憩の繰り返しで学ばせました。上達の多くは練習中ではなく休憩中に起き、脳磁図では休憩中の特定の脳波の変化が上達の大きさと結び付いていました。
著者らは、休んでいる間に、練習中と同じ脳の活動がもう一度起きている可能性を挙げています。この関係は因果まで確かめられておらず、10秒の休憩での結果なので、数分から数十分の休憩に同じことが言えるかは分かっていません。
細切れ学習を実践する2つの時間管理術
細切れ学習の代表的な型は、ポモドーロ・テクニックと90分サイクルです。前者は短い作業を繰り返す型、後者は長めの作業を1ブロックとする型です。
1. ポモドーロ・テクニック
ポモドーロ・テクニックは、1980年代後半に、イタリアの大学生だったフランチェスコ・チリロが考案しました。25分の作業と5分の休憩を1セットとし、4セット繰り返したあとに15分から30分の長い休憩を取ります。
- 向いている作業:細かく分けやすい作業(コーディング、ブログ執筆、メール処理など)
- ルール:25分の間は、ほかのことをしません
短い休憩の効果は、アルブレスクらが2022年に、複数の研究をまとめて分析しています。短い休憩は活力を少し高め、疲労を少し減らしましたが、作業の成績への効果は全体では有意ではありませんでした。成績が上がったのは、頭をあまり使わない課題でした。
2. 90分サイクル
約90分作業して、15分から20分休む型です。人の覚醒度には約90分周期の波がある、という考えに基づいています。
ただし、睡眠中の周期が約80〜100分であることは知られていても、起きている間の集中に決まった90分周期があるという根拠は乏しいとされています。時計で区切るより、集中が落ちてきたと感じたときに休む目安として使います。
- 向いている作業:まとまった思考が要る作業(企画立案、複雑な問題解決、資料作成など)
細切れ学習の弱点は、深い集中に入りにくいこと
細切れ学習では、没入した状態(フロー)に入る前に作業が終わりやすくなります。集中に入る練習を、細切れのメニューに入れると補えます。
対策として、ポモドーロの1セット目は、本題の勉強をせず、どれだけ早く集中に入れるかを試します。これを1日に何度も繰り返すと、集中に入るまでの時間が縮むかもしれません。これは筆者が提案する方法で、効果を直接調べた研究を示せるわけではありません。
短期集中と細切れ学習を、自分の学習に当てはめてみてはいかがでしょうか
全体像をつかむ最初の段階は短期集中で一気に知識を入れ、その知識を定着させて応用する段階は細切れに切り替える、という使い分けもあります。
まずは今日の学習で、タイマーを25分にセットしてみてはいかがでしょうか。







