AIエージェントで消える仕事と、価値が高まる仕事は何か?

AIエージェントが人から引き取るのは、データ入力、書類の確認、定型の報告書づくりのように、手順が決まっている仕事です。価値が高まるのは、何を解くべきかを決める仕事、人と合意をつくる仕事、複数の分野の知識をつなぐ仕事です。

しかし、技術が進めば、いまAIが苦手なことも、AIがこなせるようになるのではないか、という疑問が残ります。この見立ては現在のAIの得意不得意にもとづくもので、将来の技術の進み方によって変わります。

この記事では、AIエージェントとは何か、代替されやすい業務、価値が高まる3つの力、今後の働き方の順に整理します。

目次

AIエージェントは、目標を受けて複数の手順を自分で進めるAI

AIエージェントは、与えられた目標に対して自分で計画を立て、複数の手順を順に実行するAIです。たとえば「来週の出張に合う航空券とホテルを予約する」という目標を渡すと、検索、比較、予約までを進めます。

ChatGPTのような生成AIは、指示を受けて文章や画像を出力するところまでが役割です。両者の違いを表にまとめます。

特徴生成AI(例:ChatGPT)AIエージェント
目的文章や画像などの作成目標に向けた作業の実行
動き方指示を受けるたびに1回出力する目標に向けて複数の手順を自分で進める
継続性1回ごとの指示で完結する目標が終わるまで続ける
自律性低い高い

2024年7月に、OpenAIがAIの進歩を5段階で示していると報じられました。段階は、チャットボット、推論者、エージェント、イノベーター、組織の順で、エージェントは3番目です(Axios)。

手順が決まっている業務が、AIエージェントに移りやすい

データ入力、情報の収集と整理、定型の報告書づくりのように、手順と判断の基準が決まっている業務ほど、AIエージェントに移りやすくなります。これは特定の業界に限りません。

業界ごとの例を挙げます。

  • 金融:市場データの分析、リスク評価、財務報告書の作成
  • ソフトウェア開発:コーディング、バグの検出と修正、テストの実行
  • 人事・経理:採用の書類選考、経費精算、月次決算の処理
  • 法務:契約書のレビュー、判例の調査

部下の進捗を確認して共有する管理業務も、情報を集めて報告する点で同じ性質を持ちます。AIエージェントは休まず動かせるので、企業が導入する理由は成り立ちます。どの職種がどの程度移るかは、この記事の時点で確かめられた数字がなく、見通しの域を出ません。

価値が高まる力は、問いを立てる力、人と動く力、分野をつなぐ力の3つ

手順を実行する部分をAIエージェントが担うと、人に残るのは、目的を決める役割、人と合意をつくる役割、知識を組み合わせる役割です。この3つが人の価値になるという見立ても、現在のAIの限界にもとづく推測で、長期の調査で確かめられたものではありません。

1. 問いを立て、戦略を決める批判的思考力

AIは与えられた問いに答えを出せますが、「そもそも解くべき問いは何か」は人が決めます。市場の変化を読み、事業の進む方向を決め、AIを何のために使うのかを定める力が、この領域にあたります。

  • 常に「なぜ」を自問する
  • 複数の情報源から多角的に分析し、自分の仮説を立てる
  • 自社のビジネスモデルと業界の構造を理解する

2. 人を動かし、共感を得る感情知能(EQ)

チームの意欲を高める、他部署と交渉する、顧客が言葉にしていない要望をくみ取る仕事は、信頼関係の上で成り立ちます。AIを部下のように使うリーダーシップや、複雑な人間関係の調整もここに入ります。

  • 相手の話を遮らず、最後まで聴く
  • 自分の意見を言う前に、相手の立場と感情を想像する
  • 1on1ミーティングで、メンバーとの信頼関係をつくる

3. 領域を越えて価値をつくる創造性と学習能力

一つの専門だけにとどまらず、新しい知識を学び続け、異なる分野の知見を組み合わせる力が要ります。AIとデータを扱う基礎知識も、全てのビジネスパーソンが持っておくべき知識です。

  • 専門分野以外の本を読む、セミナーに参加する
  • プログラミングやデータ分析の基礎を学ぶ講座を受ける
  • 新しいツールや働き方を、失敗を前提に試す

定型業務をAIがこなすのにつれて、人の仕事は判断が中心になる

AIが定型業務をこなす分、人は目的を決めることと、最後の判断をすることが仕事の中心になります。ただし、普及の時期と速さは、現時点では確かめられていません。

組織の形や新しい職種についても、確かな予測はありません。この記事では、時期や職種名を挙げることを控えます。

自分の仕事を、手順の部分と判断の部分に分けてみてはいかがでしょうか

手順が決まっている部分は、AIエージェントに移る可能性が高いです。目的を決める部分、人と合意をつくる部分、知識を組み合わせる部分は、人の仕事として残りやすいです。

まず、いまの仕事を1週間分書き出し、手順が決まっているものと判断が要るものに分けてみてはいかがでしょうか。判断が要る部分に使う時間を増やす方法を考えることが、最初の一歩になります。

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