変動金利で住宅ローンを借りている人は、次の金利見直しで金利が上がります。3,000万円を30年で借りている場合、金利が0.25%上がると、毎月の返済額は約3,300円増える計算です。固定金利で借りている人の返済額は変わりません。
しかし、自分の返済額がいつ、いくら変わるのか、何をすればよいのかが分からないという方もいるでしょう。
この記事では、政策金利と住宅ローン金利の関係、返済額の変化、取れる選択肢の3つを順に説明します。
日銀が政策金利を0.25%程度に引き上げた理由
日本銀行は2024年7月31日に、政策金利を0.25%程度へ引き上げました。理由は、賃上げが広がり、賃金の上昇が物価に反映される動きが強まったと判断したためです。
物価と賃金の動き
2024年6月の消費者物価指数(生鮮食品を除く)は、前年の同じ月より2.6%上がりました。日本銀行が目標とする2%を、27カ月連続で上回っています。
春季労使交渉では賃金が大きく上がり、その上昇は幅広い業種や企業規模に広がりました。植田総裁は記者会見で、経済と物価が日銀の見通しどおりに動いていることと、賃金の上昇がサービス価格に反映されていることを、利上げの理由に挙げました。
政策金利とは何か
政策金利は、日本銀行が金融機関どうしの短期の貸し借りの金利(無担保コールレート)を誘導するときの目標です。2024年7月からの目標は0.25%程度です。
住宅ローンの変動金利は、短期プライムレートという金利を基準に決まります。短期プライムレートは、政策金利をもとに各金融機関が決めます。そのため、政策金利が上がると変動金利も上がります。
政策金利の上昇が住宅ローンに与える影響
変動金利のローンは金利が上がり、返済額が増えることがあります。すでに固定金利で借りている人の返済額は変わりません。新しく固定金利で借りる人は、長期金利の動きに応じて金利が変わります。
変動金利への影響
変動金利は、多くの場合、短期プライムレートに連動します。政策金利が0.25%上がれば、金融機関の判断によりますが、変動金利も同じ程度上がる可能性があります。
変動金利のローンの金利は、一般に半年ごとに見直されます。元利均等返済のローンでは、返済額は「5年ルール」により5年ごとに見直され、見直し後の返済額は直前の125%までに抑えられます。金利が上がっても、返済額がすぐには変わらない人もいます。
固定金利への影響
全期間固定金利のローン(例:フラット35)で借りている人は、契約期間中の金利が変わりません。
これから借りる固定金利は、短期金利ではなく、長期金利(10年物国債の利回りなど)を基準に決まります。政策金利の引き上げは、長期金利を押し上げる方向に働くことがあります。
金融機関ごとの違い
金利の引き上げ幅とタイミングは、金融機関ごとに違います。短期プライムレートに上乗せした基準金利も、そこから引く優遇幅も、金融機関が決めるためです。
返済額は毎月いくら増えるのか
借入額3,000万円、借入期間30年、元利均等返済のローンでは、金利が0.3%から0.55%に上がると、毎月の返済額が約3,300円、年間で約39,000円増えます。
- 借入額:3,000万円
- 借入期間:30年
- 返済方法:元利均等返済
- 金利:見直し後の0.55%が続く場合
| 金利 | 毎月の返済額 | 差額(月) | 差額(年) |
|---|---|---|---|
| 0.300%(見直し前) | 約87,100円 | – | – |
| 0.550%(0.25%上昇後) | 約90,400円 | 約+3,300円 | 約+39,000円 |
家計への影響
返済額が年間で約39,000円増えると、その分のお金を貯蓄や投資、レジャーに使えなくなります。自由に使えるお金(可処分所得)が減るので、生活費の見直しが必要になる場合があります。
収入に占める返済額の割合(返済負担率)が高い家庭ほど、同じ増額でも負担は重くなります。まずは、自分のローンの残高、金利、次の見直し時期を確認します。
変動金利で借りている人の選択肢
変動金利のローンで取れる選択肢は、現状維持、繰り上げ返済、固定金利への借り換えの3つです。どれが合うかは、今後の収入の見込みと家計の余裕で変わります。
賃金の見通し
日本銀行は、賃金が上がり続けると見て、政策金利を引き上げました。返済額が増えても、それ以上に収入が増えれば、実質的な負担は軽くなります。自分の収入が物価や金利の上昇に見合って増えるかどうかが、判断材料の一つです。
3つの選択肢
- 現状を維持する:今後十分な賃金上昇が見込める場合や、金利が上がっても家計に余裕がある場合は、変動金利の低い金利をそのまま使えます。
- 繰り上げ返済する:手元資金に余裕があれば、元金の一部を前倒しで返します。元金が減るので、今後金利が上がっても利息がかかる額は小さくなります。
- 固定金利へ借り換える:借り換えた時点の固定金利で、将来の返済額が確定します。家計の見通しを立てやすくなります。
借り換えの注意点
借り換えには、次の3つの注意点があります。
- 諸費用:登記費用、保証料、手数料などがかかります。
- 金利差:借り換えが得になる目安として、金利差1%以上、ローン残高1,000万円以上、残り返済期間10年以上が挙げられます。金利差を0.3%以上とする説明もあり、目安は一定していません。
- 審査:新たに住宅ローンの審査を受けます。
借り換えは、諸費用を払っても得になるかを試算して決めます。
自分のローンの金利タイプと見直し時期を確かめる
金利が上がるというニュースは不安を招きますが、返済額がいつ、いくら変わるかは、金利タイプ、残高、見直しの時期で決まります。借入先の返済予定表で、金利タイプと次の見直し時期を確かめてみてはいかがでしょうか。




