飲み会で人が一方的に語り始める理由として、アルコールが動作を止める力を落とすことが挙げられます。この力の低下は人を対象にした実験で確かめられていますが、説教や自慢話につながるかは確かめられていません。
しかし、説教に付き合う時間は聞く側の私的な時間です。その時間を費やさなければならない理由は分からない、という疑問は残ります。
この記事は、脳の仕組み、説教をする人の背景、角を立てずにその場を離れる方法を順に説明します。
アルコールは動作を止める力を落とす
飲酒は、動作を止める力を落とします。人を対象にした実験が、これを示しています。
Nikolaouら(2013年、PLoS ONE)は、社交の場で飲む健康な39人を、低用量(体重1kgあたり0.4g)、高用量(0.8g)、プラセボの3群に分けました。画面の合図で動作を止める課題をfMRIの中で行わせると、低用量でも高用量でも動作を止めるまでの時間は遅れ、2つの用量の間に差はありませんでした。低用量では前頭前野を含む皮質の活動も変わりました。
前頭前野は、動作を止める指令を出す領域の一つとされます(Nikolaouらの論文の説明)。
承認欲求と支配欲が出るという説明
動作を止める力が落ちると、認められたい気持ちは自慢話に、人を従わせたい気持ちは説教になって出る、という説明があります。この点は、人を対象にした研究では確かめられていません。
承認欲求は、他者から認められたい、自分の価値を示したいという気持ちです。支配欲は、自分の考えを伝えたい、他者を自分の管理下に置きたいという気持ちです。
飲み会は組織内の力関係が表れやすい場なので、役職や年齢が上の人に、承認欲求や支配欲が出やすいのだと思います。
説教をする人の背景にあるという見方
説教の背景は、個人の性格に加えて、仕事環境の変化と世代間の価値観の違いから見ることができます。
説教をする人は過去の成功体験にこだわるという見方
ビジネス環境の変化が速く、過去の成功体験が通用しない場面で、適応しにくいと感じている人は、自分の存在価値が揺らぐ不安を抱え、過去の成功を語って若手を指導することで価値を確かめようとするのだと思います。
飲みニケーションの役割と世代の違いという見方
かつての飲み会は情報交換や意思決定、関係づくりの場でもあり、上司が仕事論や人生論を語ることは教育的な指導として受け止められており、その世代には説教が「善意のコミュニケーション」でも、効率的で対等な関わりを重視する若手には精神的な負担になるのだと思います。
相手を否定せず、自分の都合で離れる
長時間つらい話に付き合うのが負担なら、その場を離れてかまいません。罪悪感を抱く必要はありません。
角を立てないコツは、相手の話の内容に触れず、時間や体調といった自分の都合を理由にすることです。理由が物理的な制約なら、相手の話を否定する形になりません。応答の例を挙げます。
- 「大変恐縮ですが、明日朝早い予定がございますので、このあたりで失礼いたします」
- 「申し訳ありません、終電の時間が迫っておりますので、お先に失礼します」
- 「少しアルコールが回ってきたようですので、ご迷惑をおかけする前に失礼させていただきます」
次の飲み会の前にできること
説教を相手の事情の表れと見れば、深刻に受け止めずに済むのかもしれません。事前に退席時間を伝えておくと、当日は円滑に離れられます。会が始まる前に「本日はありがとうございます。大変恐縮なのですが、21時には失礼させていただきます」と幹事や上司に一言伝えてみてはいかがでしょうか。






