相手から動画を2本送られて、見て感想を聞かせてほしいと言われました。合わせて2時間あります。見終わって返信を書こうとしたところで、手が止まりました。面白かったです、勉強になりました、でも相手が求めている感想はなんだろうか?
感想が出てこないのは言葉にする習慣が足りないからだ、という話をよく見ます。言い回しのパターンを持っておけばいい、とも言われます。どちらも、感想を言う力そのものを上げる話です。
ここで書くのは、相手が求めている感想に寄せる手順です。何を求めているかは、相手がそれを勧めた理由から決まります。相手がまだ見ていないものの感想を聞かれた場合は当てはまりません。相手が勧めたものを見て、感想を返す場面の話です。
相手は、感想そのものを知りたいわけではない
まず、相手が何を聞いているのかを見ます。感想を求めてくる相手は、こちらが何を感じたかを知りたいわけではありません。
感想は自分の内側で起きたことで、判断は外に向けて出すものです。面白かった、長かった、勉強になった。これは全部、内側で起きたことです。相手が待っているのは、勧めたものを見た人が自分の場所に当てはめて、そこで何が言えるかです。
相手が何を求めているかは、勧めた理由から決まる
では、相手が待っている判断は何についてのものでしょうか。相手がそれを勧めた理由から決まります。
私の場合、送られてきたのは講演の録画が2本でした。1本は2040年のAIと経済の話で、もう1本はAI時代の企業のシステムとサイバー防衛の話です。相手がこの2本を選んだ理由を、私は、うちの会社がこれからどうするかを聞きたいからだと読みました。
勧めた理由が読めた時点で、返信に何を書くかが決まりました。読めないうちは、何を書いても長くなります。
中身の繰り返しは要らない。相手は先に見ている
書くことが決まると、書かないことも決まります。講演の中身を要約して返しても、相手には1行も新しくありません。
勧めてきたということは、相手はもう中身を見ています。要約を返すのは、相手が知っていることを書き写して送り返す作業になります。中身は一言で足ります。
返信は3段で書く。中身を一言、自分に当てた判断、次にやる1つ
ここまでで、何を書くかは決まりました。あとは、書く順番です。
1段目に書いた中身は2つだけです。AIを使う企業に、AIを使わない企業が仕事を奪われるということ。そして、診断した63社のうち、脆弱性がまったく見つからなかった企業は1社もなかったということです。この2つは、相手が知りたいことに近いと読んだ順に並べました。
自分の会社に当てると、うちも同じ状態である可能性が高い、になります。そのうえで、次にやることを1つだけ書きました。脆弱性診断の実施状況を確認することです。2つも3つも書きません。1つだと、相手はそれをやるかやらないかだけを決められます。
分からないことは「確認したうえで」と書く
3段目を書くときに、分からないことが1つありました。自分の会社が脆弱性診断をやっているのかどうかを、私は知りませんでした。
知らないまま、やりますとも、やっていますとも書けません。だから「確認したうえで」と書きました。分からないことを分からないまま出すと、確認する、が最初の一歩になります。知っているふりをして書くと、この一歩が消えます。
端的に言えないなら、論点が的確でない
3段で書けたのは、書くことが1つに決まっていたからです。端的に表現できないものは、論点が的確ではないということです。
長くなるのは、相手に伝えたいことが定まっていないからです。定まっていないので、思ったことを全部並べることになります。読む側は、どこが要点か分からないまま最後まで読みます。
次に感想を求められたら、書き始める前に、相手がなぜそれを勧めてきたのかを一度考えてみてはいかがでしょうか。勧めた理由が決まると、書く量は自然と減ります。







