LPの会社概要に書くべき事項のうち、法律で求められるものは、事業者が実際に行っている行為で決まります。免許や登録を求める法律の多くは、「〜を業として行う者」という書き方で、行為を基準に対象を決めているからです。
しかし、自分の業種の名前で調べると、その業種に関わる免許や表示義務が一通り出てきます。出てきたものを全部LPに書くべきかどうかで、迷う人は多いと思います。
この記事では、記載事項が決まる仕組みと、自分の事業に当てはまる規制を確かめる手順を順に説明します。
会社概要の基本の項目は、ほぼ決まっている
LPに載せる会社情報の項目は、ほとんど決まっています。企業名、代表者名、事業内容、所在地、電話番号の5つは、どの解説を読んでも大きく変わりません。
解説でよく挙がる注意点は、次の3つです。
- 会社名・住所・電話番号を、画像ではなくテキストで載せる
- フッターに、特定商取引法に基づく表記とプライバシーポリシーへのリンクを置く
- 「No.1」のような表現を使うときは、客観的な調査の根拠を示す(消費者庁は2024年9月にNo.1表示に関する実態調査報告書を公表しています)
多くの解説は、このあと「一部の業界では、法律で表示が義務づけられている場合もあります」と書いて終わります。自分の事業がその「一部の業界」に入るかどうかを決めるのは、業種の名前より、事業で実際に行っている行為です。業種ごとに法律が違うので、どの業種にも向けた解説では、そこまで書けないのだと思います。
免許や登録の義務は、行為を行う人に課される
免許や登録を求める法律は、たいてい「〜を業として行う者」という形で対象を決めています。会社が自分の業種をどう名乗っているかでは決まらず、その行為を実際に行うかどうかで決まります。
「業として行う」は、一般に、不特定多数の相手に対して、繰り返し続けて行うことと解されています。規制を受けるかどうかの条件は、会社の名乗りの側にはなく、行う行為の側にあります。
同じように相談を受ける事業でも、相談のあと契約を結ぶところまで行うかどうかで、受ける規制は変わります。相談だけで終える事業と、契約まで結ぶ事業は、業種の名前が同じでも、法律の上では別の事業として扱われます。
業種の名前で調べると、行っていない行為の規制まで出てくる
業種の名前で検索すると、その業種の事業者が行うことのある行為の規制が、まとめて検索結果に出てきます。自分が行っていない行為の規制も同じ画面に出てくるので、全部を自分に関係する規制だと読んでしまいがちです。
私も、あるLPの記載事項を整理したときに、この読み違いをしました。AIに相談すると、業種に関係する免許番号の表示、監督官庁の名前、その業種に特有の表示義務が返ってきました。私はそれを、そのまま開示すべき項目として提案しました。
提案を見た人から返ってきたのは、「その取引はしないのに」という一言でした。その事業者が行うのは相談を受けることだけで、その免許の対象になる行為は行っていませんでした。
事業の内容は、最初の説明にきちんと書いてありました。それでも私は、業種の名前を見て規制を選んでいました。確かめるべきだったのは、その免許の対象になる行為を、事業者が行うかどうかの1点です。
助言は、記載を増やす方向に偏りやすい
ここからは私の解釈で、確かめられた議論ではありません。記載を増やす方向の助言は、相手がAIでも人でも出やすいと思います。
「念のため書いておきましょう」という助言は、外れても助言した人が責任を問われません。「書かなくてよい」という助言は、外れたときに助言した人が責任を問われます。そのため、助言は記載を増やす方向に偏りやすいのだと思います。
記載を減らす判断は、事業を行っている人にしかできないと思います。この判断を他人に任せると、記載事項は増え続けます。
注意書きの多いページは、読む人を身構えさせることがある
記載を増やしても害がないなら、増やしておけば済みます。ただ、申し込みボタンの手前に免責・但し書き・注釈が並ぶと、読む人は「そこまで断る必要のある何かがあるのか」と身構えることがあります。
書いた人は、誠実さを示すつもりで注意書きを置きます。それでも、読む人の信頼を高めるために置いた注意書きが、読む人を警戒させることがあります。
これは私の観察で、数字で測ったものではありません。フォームの直前は読む人が慎重になる場所なので、そこに情報を足すときは、足す理由を説明できるようにしておくとよいと思います。
行為で絞り込めない記載事項も2つある
行為で絞り込めない記載事項もあります。景品表示法と、広告媒体の審査基準の2つは、業種や行為にかかわらず最初から守る前提で扱ったほうが早いと思います。
LPの記載事項を求めるものを、出どころ別に並べると次のとおりです。
| 出どころ | 対象になる条件 | LPで求められること |
|---|---|---|
| 免許・登録を求める業法 | その法律が定める行為を業として行うこと | 免許番号などの表示(法律ごとに異なる) |
| 特定商取引法 | 消費者に対して、Webなどで申込みを受けて商品やサービスを売る取引(通信販売)を行うこと | 事業者の名称・住所・電話番号などの表示 |
| 景品表示法 | 業種を問わず、商品やサービスの表示をするすべての事業者 | 実際より優れている、または有利だと誤解させる表示をしない |
| 広告媒体の審査基準 | その媒体に広告を出すこと | 広告主の名称・所在地などの記載(例:LINEヤフー広告のガイドライン) |
広告媒体の審査基準は法律ではありません。それでも、審査に通らなければ広告は配信されません。景品表示法と広告媒体の審査基準は、どの事業でも最初から守る前提で扱うものです。
記載を減らした人は、減らした判断の責任を自分で負うことになります。法令が当てはまるかどうか判断しにくい場合は、弁護士など専門家に確認することを検討してください。
自分の事業に当てはまる規制は、3つの手順で確かめる
自分の事業に当てはまる規制は、行為を書き出し、行為ごとに調べ、業種名で出てきた規制と照らし合わせる3つの手順で確かめられます。調べる語を、業種の名前から、行っている行為を表す動詞に変えることが手順の中心です。
- 事業で実際に行っていることを動詞で書き出す。たとえば「相談を受ける」「見積もりを出す」「契約を結ぶ」「代金を受け取る」「他社に取り次ぐ」のように書く
- 書き出した動詞ごとに、関係する規制を調べる。業種の名前で調べるより、検索結果に出てくる規制が少なくなる
- 業種の名前で調べて出てきた規制を1つずつ見て、条文が対象にしている行為を確かめる。条文が「〜を業として行う者」と書いていれば、自分がその行為を行っているかどうかを見る。行っていなければ、その規制に基づく表示をLPに書く必要はない
よくある疑問
Q:LPに会社概要を載せないと、法律違反になるのでしょうか。
A:LPに会社概要を載せること自体を、すべての事業者に義務づける法律はありません。ただし、消費者向けの通信販売を行っているなら、特定商取引法に基づく表記が必要です。法律とは別に、広告媒体の審査基準も広告主の表記を求めています。義務の出どころが3つに分かれているので、出どころごとに分けて考えると答えが出ます。
Q:業種の名前で調べてはいけないのでしょうか。
A:業種の名前で調べてもかまいません。気をつけるのは、出てきた規制をそのまま自分の事業に当てはめてしまうことです。出てきた規制ごとに対象の行為を確かめれば、自分が行っていない行為の規制を外せます。
LPに書く事項が増えるのは、事業で行う行為が増えたときである
LPに書く事項は、業種の名前より、事業で実際に行っている行為で決まります。そのため、書く事項が増えるのは、事業で行う行為が増えたときです。
たとえば、相談を受けるだけだった事業が他社への取り次ぎも始めると、取り次ぎに関係する規制を確かめる必要が出てきます。紹介するだけだった事業が契約まで結ぶようになったときも、同じように書く事項が増えます。
反対に、事業で行う行為は変わっていないのに記載事項だけが増えているなら、増えた分は「念のため」に足したものだと思います。あなたのLPに並んでいる注意書きのうち、実際に行っている行為に関係するものはいくつあるでしょうか。




