記事を書くために検索ボリュームを調べる意味は、AIで調べ物をする人が増えた今、ほとんどありません。
しかし、需要の大きさを数字で見ないと、誰も読まない記事を書いてしまうのではないでしょうか。
やめるのは月間検索数を測ることの1つで、代わりに見るものは3つです。3つとも無料で、1語につき数分で終わります。数字が何を表しているか、その数字が判断を変えたか、代わりに何を見るか、の順に書きます。
検索ボリュームの数字は、丸めた推定値である
まず、その数字がどう作られているかから見ます。月間検索数として表示される数字は、丸めた推定値です。Google広告のヘルプには、検索ボリュームの統計は四捨五入されている、と書いてあります。有料のキーワードツールが出す月間検索数も、Googleのキーワードプランナーのデータをもとにしています。
丸めの影響がいちばん大きいのは0です。月間検索数が0と表示された語も、1桁の回数は打たれています。私はこの0を、打つ人がいない、と読んで、書く語を1つ捨てたことがあります。捨てた理由は、丸めの中に消えた1桁の数字でした。
検索ボリュームの数字は、記事の判断を1回も変えなかった
数字の作り方が分かったところで、その数字が実際に何を決めたかを振り返ります。私は個人のメディアで、1本ずつ記事を書く前にキーワードを決めています。2026年8月から、候補の語を3つ出して有料ツールで月間検索数を測ることを1か月と少し続けましたが、実数の大小で語を選び直した回は0回でした。
語を選び直したのは、別の理由です。ある語をサジェストに打ったら空で返ってきた、上位10本を読んだら全部が違う問いに答えていた、という2つです。どちらも、検索回数の数字は関係ありませんでした。
よく検索される語は、サジェストに並んでいる
では、需要の大きさは何で見るのか。Googleの検索窓に語を打つと出てくる候補、サジェストで見ます。Googleは2018年4月20日の公式ブログで、サジェストは実際に行われた検索を見て、よく打たれる語と急上昇中の語を出している、と書いています。
その語がサジェストに出るなら、打つ人がいます。出ないなら、ほとんどいません。出た語の並びで、その主語のうしろに人が何を付けて打つかも分かります。「検索ボリューム」と打つと、「調べ方」「無料」「キーワードプランナー」が並びます。読者は、どう調べるかと、無料でできるかを聞いています。
月間検索数を出す有料ツールは、月726円から2,722円です(ラッコキーワードの有料プラン、税込、2026年9月時点)。サジェストは無料で、ログインも要りません。私は、この差額に見合う情報を実数から得ていませんでした。
月間検索数を測るのをやめて、代わりに3つを見る
サジェストで見ると決めたら、記事を書く前にやることは3つに減ります。数えるものは1つもなく、3語なら朝の30分で終わります。
1つ目、候補の語をサジェストに打ちます。空で返る語は候補から外し、出た語の中から差し替えます。2つ目、その語で検索して上位10本のタイトルを並べ、答えている問いを1行で書きます。自分が書く記事と同じ問いに答えていなければ、その語では読まれません。3つ目、AIによる概要と「関連する質問」を読みます。そこに書いてあることは、もう自分の記事の空白ではありません。
かかる時間は、3語をサジェストに打つのに5分、1語ずつ上位10本のタイトルと、AIによる概要を読むのに10分ずつです。有料ツールにログインして数字を取っていた時間は、ここに回します。
AIで調べ物をする人は、1年で3倍になった
ここまではGoogle検索の中の話です。Google検索の外を見ると、数字を測る意味はさらに薄くなります。総務省の令和7年版情報通信白書によると、日本で生成AIを使った個人は2024年に26.7%で、前年の9.1%から1年で約3倍になりました。
調べ物がAIに移ると、その分はGoogleの検索回数に出てきません。検索ボリュームは、Googleで打たれた回数だけを数えた数字です。読者の一部がAIに聞くようになった今、その数字は読者の一部しか映していません。
AIで聞かれる回数を出すツールも、Googleの数字に係数を掛けた推定値である
ならば、AIで聞かれる回数を測ればよいかというと、そうでもありません。AI検索ボリュームを推定するツールは出てきていますが、その数字はGoogleの検索ボリュームにAIの市場シェアを掛けたものです。Googleの数字が丸めた推定値なら、それに係数を掛けた数字は、もっと粗い推定値です。作った本人も、これは実測値とは別のモデル値で、幅を持った目安として扱うように、と注記しています。
記事を書く側がAIに対してできるのは、問いと答えが1つの段落に収まった文章を書くことです。AIはそういう文章を引用しやすいので、回数を測るより先にやることです。
よくある疑問
Q:検索ボリュームが0の語で記事を書いて、読まれるのでしょうか。
A:0は丸めた表示で、1桁の回数は打たれています。サジェストに出るなら、打つ人はいます。サジェストにも出ない語なら、その語は読者の言葉ではないので、サジェストに出た言い方に差し替えます。
Q:広告の予算を決めるときも、検索ボリュームは要らないのでしょうか。
A:この記事が扱うのは、記事を書くときの語の選び方です。広告の入札や予算配分は数字で見積もる場面なので、そこは別の話です。
Q:AIに聞く人が増えると、検索向けの記事は要らなくなりますか。
A:多くの生成AIは、答えを作るときにウェブの文章を検索して読んでいます。読者がGoogleで打つ言葉と、AIに聞く言葉は、大きくは変わりません。サジェストで見つけた言葉で、問いと答えを1段落に収めて書く形は、両方に効きます。
検索ボリュームの数字を見るのをやめると、そのぶん読者の言葉を見る時間が増えます。有料ツールの更新日が来たら、その数字が先月の判断を1回でも変えたかを、数えてみてはいかがでしょうか。







