2026年初頭に半導体部品へ投資できた人は、何を考えていたのか? 現在にスライドさせるなら、どのような考え方ができるか?

2026年初頭に半導体部品へ投資できた人が考えていたことは2つです。

では、その考え方を現在にスライドさせると、どのような考え方ができるのでしょうか。

目次

年初に考えていたことの1つ目は、AIへの投資が増えたとき、どの部品の供給が足りなくなるかだった

年初に投資できた人は、AIへの投資が増えたときに、どの部品の供給が足りなくなるかを見ていました。2026年初頭の答えは、メモリでした。メモリは、データを一時的に置いておく半導体で、DRAM、HBM、NANDが代表です。HBMは、AI向けの計算チップのすぐ横に積み重ねて置く、速いDRAMです。

メーカーは、HBMをふつうのDRAMと同じ工場で作ります。SKハイニックスは2026年1月5日の見通しで、生産の資源をHBMへ回すほど、ふつうのDRAMの需給が締まると書いています。メモリメーカーがAIのサーバー向けを優先したので、スマホやパソコン向けのメモリまで足りなくなりました。

投資銀行のプロも、メモリの不足に注目していました。モルガン・スタンレーのアナリストは2026年1月2日のリポートで、SKハイニックスについて、2026年にDRAMの価格が62%、NANDの価格が75%上がると予測しました。

メモリの不足は、すぐ価格に表れました。台湾の調査会社TrendForceは、2026年1〜3月期の契約価格の予測を、1か月で大きく引き上げています。以下のとおりです。

前期比の値上がり1月5日の予測2月2日の予測
DRAM55〜60%90〜95%
NAND33〜38%55〜60%

年初に考えていたことの2つ目は、その不足がいつまで続くかだった

どの部品が足りないかが分かっても、その不足がすぐ解消するなら、値上がりは続きません。年初に投資できた人は、メモリの供給が少なくとも2026年中は増えないと見ていました。

マイクロンは2025年12月17日の決算資料で、需給の逼迫は2026年を越えて続くと書きました。HBMの市場は、2025年の約350億ドルから2028年に約1,000億ドルへ広がると見込んでいます。同じ資料では、アイダホ州の新しい第1工場がウエハーを出し始めるのは2027年半ばです。

新しい工場が動き出すまで、メモリの生産量は増えません。生産量が増えないまま価格が上がると、上がった分がメーカーの利益になります。野村アセットマネジメントの解説(2026年8月5日)によると、マイクロンの2026年3〜5月期の営業利益率は約80%でした。日経半導体株指数は、2025年4月の6,161ポイントから2026年6月の36,378ポイントへ、約6倍になっています。

年初の考え方を現在にスライドさせると、次に供給が足りなくなる部品を探すことになる

年初に考えていた2つのことは、メモリ以外の部品にも当てはめられます。現在にスライドさせるなら、AIへの投資が続くとき、次にどの部品の供給が足りなくなるかを探す、という考え方ができます。

次に足りなくなる部品の候補は、半導体の会社が公表した資料や発言に出ています。以下のとおりです。

候補何をするものか公表されていること
先端パッケージング複数のチップを1つの部品にまとめる工程TrendForceは、2.5D・3Dのパッケージングの能力が足りていないとし、2027年に少し和らぐと見ている。TSMCは2027年までにCoWoSという方式の能力を60%以上増やす計画(2026年4月30日)
ABF基板計算チップを載せて配線する土台の板TSMCの先端パッケージング担当の副社長が、メモリとABF基板の逼迫が今後数年続く可能性を挙げた(TrendForce、2026年8月11日)
EUV露光装置最先端の回路を焼き付ける装置ASMLは、メモリ向けの売上が2026年に75%増えると見込み、2027年に生産能力を30%増やす計画(EE Times、2026年7月)

候補を見つけたら、その不足がいつまで続くかを確かめます。工場や装置が増える時期が先にあるほど、不足は長く続きます。表の3つのうち、不足が和らぐ時期まで公表されているのは先端パッケージングです。ABF基板とEUV露光装置は、和らぐ時期を自分で追うことになります。

メモリについては、価格の高さより上がり方の変化を確かめる

年初に足りなかったメモリにも、同じ2つのことを当てはめ直します。メモリの価格は高いままですが、上がり方は鈍っています。ソウル経済新聞(2026年10月3日)がまとめた、月ごとの値上がり率は以下のとおりです。

前月比の値上がりDDR4(DRAMの一種)NAND
2026年4月—36.29%
2026年7月14.29%4.26%
2026年8月4.17%1.42%
2026年9月4%0.44%

上がり方が鈍ることと、値下がりすることは別の話です。TrendForceは2026年10〜12月期も、DRAMが10〜15%、NANDが15〜20%上がると見ています(同じ記事)。マイクロンは2026年9月の決算資料で、2027年度と2028年度の需給は2026年度よりずっと逼迫すると書いています。

半導体株の今後を考えるときは、価格の高さとは別に、上がり方の数字も追うことになります。

確かめるための数字を先に書き出しておく

次に足りなくなる部品も、メモリの今後も、確かめるための数字を決めておけば追い続けられます。書き出しておく数字は3つです。

  1. 価格の上がり方:メモリの契約価格の前期比(TrendForceが四半期ごとに公表)
  2. 工場が動き出す時期:各社の決算資料にある新工場の稼働予定
  3. AIの設備を買う側の投資:大手クラウド企業の設備投資計画

3つ目は、AIへの投資がこの先も続くかを確かめるための数字です。

マイクロンの2026年9月の決算資料には、新しい工場の稼働予定が次のとおり載っています。

拠点生産開始の予定
シンガポール(HBM)2027年初め
アイダホ州 第1工場2027年半ば
台湾(銅鑼)2027年半ばに本格出荷
日本(DRAM)2028年後半
アイダホ州 第2工場2028年後半
ニューヨーク州2030年

予定が早まれば不足は早く解消し、遅れれば長く続きます。2027年から2028年にかけて新しい工場が続けて動き出すので、メモリについてはこの時期の予定を追うことになります。

よくある疑問

Q:半導体株の今後を考えるとき、年初の考え方はそのまま使えますか。

A:どの部品の供給が足りなくなるか、その不足がいつまで続くか、という2つのことは使えます。答えのほうは、現在の数字で出し直します。2026年初頭の答えはメモリでしたが、現在の数字では、メモリの価格は高いまま上がり方が鈍り、新しい工場が2027年から2028年にかけて動き出します。

Q:次に供給が足りなくなる部品は、どうやって見つければよいですか。

A:半導体の会社や装置の会社が、決算資料や講演で「供給が足りない」と名指ししたものを拾います。拾ったら、その不足を解消する工場や装置がいつ増えるかを、同じ会社の資料で確かめます。

次に足りなくなりそうな部品を選び、供給が増える時期を書き出す

年初に投資できた人が見ていたのは、供給が足りない部品と、その不足が続く期間でした。候補の表から気になる部品を選び、その供給が増える予定の時期と、確かめるための数字を書き出してみてはいかがでしょうか。なお、この記事は特定の銘柄の売り買いを勧めるものではありません。投資の判断はご自身で行い、必要に応じて金融の専門家に相談してください。

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