外部ツールからの漏えいを防ぐために会社が社員へ指示することは、ログインの認証を強くすることと、使っているかわからない外部ツールを解約することです。
しかし、個人情報が入っていない外部ツールなら、そのままにしておいてもよいのではないでしょうか。
IDAREから個人情報が漏れた経路は、業務で使っていた外部ソフトだった
キャッシュレスアプリ「IDARE」を運営するFivotは、2026年10月13日に、退会した人を含む12万9,659人の個人情報が漏えいしたと発表しました。漏れたのは電話番号、メールアドレス、生年月日、残高、取引履歴などです。
攻撃者は、Fivotがカスタマーサポートなどの業務で使っていた外部ソフトの脆弱性を突いて、データベースから情報を抜き取りました。 ソフトの名前は公表されていません。
外部ツールを経由した漏えいは、ほかにも続いています。以下のとおりです。
| 公表 | 経由した外部ツール | 起きたこと |
|---|---|---|
| 2025年8月 | 営業支援の連携アプリ(Salesloft Drift、海外) | 連携に使う鍵を盗まれ、Cloudflareなど複数の会社のSalesforceのデータを抜かれた |
| 2026年9月 | 採用管理のサービス(ApplyNow) | サービス側が使うデータ分析ツールの脆弱性を突かれ、応募者の情報が漏れた可能性 |
| 2026年10月 | 問い合わせ管理のシステム(委託先のスカラコミュニケーションズ) | 5社の問い合わせの情報が漏れた可能性 |
| 2026年10月 | 業務で使っていた外部ソフト(IDARE) | 12万9,659人の電話番号、残高、取引履歴などが漏えい |
多要素認証を使い、多要素認証が無いツールではパスワードを15文字以上にする
1つ目の指示は、ログインの認証を強くすることです。多要素認証の機能がある外部ツールでは必ず多要素認証を使い、機能が無いツールではパスワードを15文字以上にします。 管理者が全員に多要素認証を強制できるツールなら、管理者が強制します。
多要素認証は、パスワードに加えて、スマートフォンに届くコードなど別のもので本人かどうかを確かめる仕組みです。Microsoftは2019年に、多要素認証でアカウントの乗っ取りの99.9%以上を防げると公表しています。IDAREも、ログインに多要素認証が必須なので、漏れた情報だけでは不正にログインできないと説明しています。
多要素認証が無いツールでは、パスワードを長くしてアカウントを守ります。米国の国立標準技術研究所(NIST)はSP 800-63B-4で、パスワードだけでログインする場合に15文字以上を求めています。IPAも2026年10月9日の注意喚起「不正アクセスによる漏えい等の事案を踏まえ、速やかに実施すべき対策等について」で、利用している外部サービスの認証機能(多要素認証・パスワード)の強化を挙げています。
使っているかわからない外部ツールは解約する
2つ目の指示は、使っているかわからない、インターネットにつながったアプリやサービスを解約することです。解約すれば、そのツールを経由して入られることはなくなります。
IPAは10月9日の注意喚起で、組織全体だけでなく部署単位で使っているものも含めて、利用している外部サービスを「すべて洗い出してください」と求めています。一覧にしたうえで、使っているかわからないものを解約します。
個人情報が入っていないツールも、踏み台にされる
個人情報が入っているかどうかは、解約するかを決める基準の1つにすぎません。個人情報が入っていないツールでも、乗っ取られると、そこを足がかりにほかのサービスや社内のPCへ入られます。 乗っ取ったツールを足がかりにして別の場所へ入ることを、踏み台にするといいます。入られる経路は、以下のとおりです。
| 経路 | 何が起きるか |
|---|---|
| パスワードの使い回し | そのツールから漏れたパスワードで、同じパスワードを使っているほかのサービスに入られる |
| ほかのサービスとの連携 | 連携したアプリを乗っ取られると、連携先のデータまで見られる。2025年8月のSalesloft Driftの件では、連携に使う鍵を盗まれ、Salesforceのデータを抜かれた |
| PCに入れたソフトの穴 | 更新していないソフトから、そのPCと社内ネットワークに入られる |
よくある疑問
Q:多要素認証と15文字以上のパスワードは、どちらか一方でよいのでしょうか。
A:多要素認証の機能があるツールでは、多要素認証を使います。機能が無いツールでは、パスワードを15文字以上にします。
Q:個人情報が入っていないツールまで解約すると、業務が止まりませんか。
A:解約するのは、使っているかわからないツールです。業務で使っているツールは、多要素認証か15文字以上のパスワードで守ります。
社員に指示を出す前に、各部署が使っている外部ツールを一覧にしてみてはいかがでしょうか。

