AI最新動向
OpenAI、金融機関向けの「ChatGPT for Financial Services」を提供開始 モルガン・スタンレーとエバコアとの設計協業から出発
9月10日公表。ChatGPT Workを金融向けに仕立てたもので、GPT-6 Astraの推論と、あらかじめ組み込んだ金融データを組み合わせる。データはDaloopa、PitchBook、LSEG News、Crunchbaseなどから供給され、OpenAI側が索引付けして保持する。これにより数字や記述を出典まで遡れる細かい引用が付き、分析を進めながら根拠を確かめられるとする。投資銀行業務と株式リサーチから着手しており、モルガン・スタンレーとエバコアとの設計協業が出発点。企業は接続先とアクセスを一元管理でき、ChatGPTの企業向けの安全・統制機能が働く。想定用途としてLBOモデリング、買い手候補の絞り込み、決算分析、提案資料の作成を挙げた。表示202万。
業種を限った版が、モデルの性能ではなくデータの調達と出典表示を売りにしている点
OpenAI、音声モデル「GPT-Live-1」をAPIで提供開始 割り込みの扱いで学習者への割り込みが約80%減
9月10日公表。聞きながら同時に話せる全二重の会話をAPIへ持ち込むもので、深い推論と道具の呼び出しはGPT-6 Astraなど後段のテキストモデルへ委ねられる。音声認識・言語モデル・音声合成をつなぐ従来の構成が抱えていた遅延と受け渡しの脆さを、入ってくる音声と出ていく音声を一つのモデルで同時に扱うことで避けるとする。語学学習のSpeakによる初期評価では、GPT-Live-1にしたことで学習者が考える時間が増え、従来の交互発話型に比べて割り込みが約80%減ったという。開発者は指示文で口調・速さ・話し方を指定でき、背景の雑音と沈黙の扱いも改善したとする。
電話の一次応対を、聞き取りと回答を分けずに一つのモデルで受ける形が既製品として出てきた点
OpenAI、「Agents API」を公開 Codexの実行基盤をそのままクラウドのエージェントとして提供
9月10日公表。同社のX投稿では「着想から動くエージェントまでを速く」として、Codexの実行基盤(harness)でクラウド上のエージェントを構築・実行でき、その全体をOpenAIが運用すると説明した。処理の組み立て、長時間走り続けるセッションの維持、文脈の管理は同社側が引き受けるとしている。
エージェントを動かし続ける土台そのものを、利用側が持たない形に移している点
DeepSeek、「DeepSeek-V4.1-Flash」を発表 8月13日の値上げから一転して同日値下げ
9月10日(現地時間)発表。入力内容に応じて内部の一部だけを動かすMoE型で、全体のパラメータ数は5520億。自社の上位版「DeepSeek-V4-Pro」やOpenAIの「GPT-5.6 Sol」、Anthropicの「Claude Opus 5」を一部のベンチマークで上回るとする。過去の計算内容を保持して再利用するKVキャッシュの量を減らす新しい構成で入力側の費用を下げ、8月13日のAPI値上げから一転して発表と同日に値下げを適用した。オフピーク時で入力0.003ドル(キャッシュヒット)/0.15ドル(キャッシュミス)、出力0.6ドル。旧料金はそれぞれ0.007ドル、0.22ドル、0.66ドル。ピーク時は2倍。
上位モデルではなく安価な版のほうで最先端に並ぶと主張し、価格を下げる方向へ動いている点
Epoch AI、FrontierMath Tier 4の全問題がAIに解かれたと公表 最後の1問はGPT-6 Astra
9月11日5時ごろ、アンドリュー・カラン氏がEpoch AIの投稿を引いて伝えた。Epochが2025年7月11日にTier 4を公開したときの最高得点は5%で、GPT-6 Astraが最後に残っていた1問を解いたことで飽和したとする。Epochは、数学者から「AIが自分たちのTier 4の問題を解くときに、意図していなかった近道を見つけることが多い」との指摘があったとも書いている。
難問集として設計した評価が1年2カ月で使えなくなり、能力の物差しの寿命が短くなっている点
OpenAI、別のミレニアム懸賞問題で「相当な進展」をニューヨーク・タイムズへ認める 発表準備中
9月11日1時18分、アンドリュー・カラン氏が投稿。OpenAIがNYTに対し、直近5日間で別のミレニアム懸賞問題に「相当な進展」があり発表の準備をしていると認めたとする。48時間ほど前から、OpenAIがホッジ予想を、Anthropicがバーチ・スウィナートン=ダイアー予想を解いたという噂が流れており、NYTへの説明がホッジ予想の噂を強く裏づけるものになったと書いた。また、約2週間前に学習を終えた未公表のOpenAIのモデル(カラン氏はAeonという名になると考えている)はAstraより数学が大幅に強く、ナビエ–ストークスを最初から最後まで88時間で解いたのはこのモデルだとする。いいね6648、リポスト887。
未公表モデルの存在と成果が、製品発表ではなく報道への確認という形で先に出ている点
Anthropic、これまでで最も詳細な脅威インテリジェンス報告を公開 2025年12月〜2026年8月の悪用7分野を開示
9月11日3時ごろ公表。過去8カ月に脅威インテリジェンスチームが特定し停止させた悪用の事例をまとめたもので、対象期間は2025年12月から2026年8月。分野はサイバー作戦、影響工作、監視、詐欺、生物学的悪用、通常兵器の開発、蒸留の7つ。使われたのはClaude Haiku・Sonnet・Opusで、Fable級・Mythos級のモデルが使われた例は蒸留の1件を除いてなかったとする。関与した主体として、国家が背後にいるとみられる集団、金銭目的の犯罪者、商用スパイウエアの事業者、国家の宣伝機関、政治的な動機を持つ個人を挙げた。影響工作では偽のSNSアカウントを数百作り、1週間かけて同じ政治的主張を増幅させる例があり、発信元はロシア、イラン、トルコ、湾岸・南アジア・アフリカ・欧州にまたがり、標的は6大陸に及んだとする。いずれの事例も停止させ、学んだ内容を安全策の強化に使い、必要に応じて当局や業界と情報を共有したとしている。
悪用の主体と手口を、能力の高いモデルほど使われていないという内訳まで含めて出している点
有識者の受け止め
イーサン・モリック(ペンシルベニア大学ウォートン校 教授)、「いま数学で起きていることはジャギッド・フロンティアの帰結であり、他の職業で起きることの先触れだ」
9月11日1時ごろ投稿。「数学者は数学をするが、それだけではない。学生を指導し、科学の共同体を保ち、分野の将来を守り、数学への愛を育てるという、AIにはできない仕事も自分たちにとって重要だと考えている」「数学者が抱いている懸念のひとつは、数学者の仕事のうち最も派手で分かりやすい部分(証明を作ること)にAI企業が焦点を当てることで、AIにはできない他の仕事のほうが損なわれる、というものだ。AIは人間を超える証明を見つけられるが、それは数学という職業のすべてではないし、実際、数学者にとって重要な他の側面への注意をむしろ減らし、掘り崩しうる。最も目に見える部分が取り去られたとき、数学者が担う他の多くの仕事の価値を外の世界に対して弁護することは難しくなる」。いいね510、表示2.8万。
職業の中で最も外から見えやすい作業が置き換わったときに、残りの仕事の説明が難しくなるという順序
9月10日18時23分公開の記事。イーサン・モリック氏がXで「Googleはもはやフロンティアモデルを持っておらず、数学とセキュリティ分野への貢献機会を逃している」と書いたのに対し、キルパトリック氏が上記のように反論した。Gemini 3.8 Flash CyberはGoogleが9月3日に発表したサイバーセキュリティ向けのモデルで、脆弱性の検出と自動パッチ適用でフロンティアモデル級の性能を出すとし、ベンチマーク「CyberGym」などでClaude Mythos 5を上回ったとしている。キルパトリック氏はやりとりの中で「我々のGemini 4モデルがサイバー分野の最先端を押し広げる」とも述べ、未発表の「Gemini 4」に言及した。
最前線にいるかどうかの判定が、総合的な性能ではなく分野ごとのベンチマークの取り方で割れている点
ピーター・ワイルドフォード(予測分析)、「OpenAIの従業員が、規制もせず最前線の開発の速度も落とさなければ、3年で70%の確率で人類が絶滅すると述べている」
9月11日1時ごろ投稿。OpenAIの従業員の発言を引いたうえで、「これは主要なAI企業すべてにわたって、最前線のAIを作っている技術者の間でごく一般的な見方だ」と書いた。前日にはAnthropicのエヴァン・ヒュービンガー氏が「個人的には今後10年で10%を超えると思う」と述べ、同社を退社したジェイコブ・コクソン氏の「AIを作っている人たちは、それが10年のうちに我々全員を殺しうると真剣に信じている。これは宣伝のための演出ではない」という投稿(表示3720万、いいね5.46万)が広がっていた。
開発している当人たちの数字が、外部の批判者の数字より高く出ているという構図
ゲイリー・マーカス(認知科学者)、「アンダーソン・クーパーが心配する必要はない。AIが2030年までに人類を滅ぼすことはない」
9月11日0時50分公開。コクソン氏がCNNのアンダーソン・クーパー氏に「人類は5年後にいないかもしれない」と語ったことを受けたもので、「私はここで、アンダーソン・クーパーがそのシナリオを心配する必要はないし、あなたも心配する必要はないと言いに来た」と書いた。そのうえで、コクソン氏の人格を攻撃する動きは誤りだと断ったうえで、企業の内部の人が本当にそう信じている証拠はあるが、彼らの見立てが正しい理由は示されていないとする。実際にAIがどうやって人類を絶滅させるのかを描いた最良の試みとしてユドコフスキー氏とソアレス氏の著書を挙げつつ、その部分は「弱く、とりとめがなく、説得力がない」と評した。AIが既に害を生んでおり現実のリスクも多くあるとしたうえで、終末論に注意が集中し続けたことが状況をむしろ悪くしたと書いている。
同じ日に、当事者の高い確率の見立てと、その見立てに根拠がないという批判が並んで出ている点


