AI最新動向
仏Mistral AI、1兆パラメータのオープンウェイトモデル「Mistral Large 4」をAPIで先行公開 重みは10月末に公開
10月6日(日本時間22時台)に公開。総パラメータ1兆、推論時に使うのは490億のMoEで、ネイティブにマルチモーダル。米国・欧州発のオープンウェイトのモデルで最高性能とし、サイバーセキュリティ・金融・法律の業務で公開モデルの最先端、視覚的グラウンディングではクローズドの最先端モデルも上回るとした。Mistral Studioで今日からプレビューのAPIを使え、価格は入力100万トークンあたり1.36ドル、出力4.18ドル。欧州の自社データセンターのNVIDIA Grace Blackwell 3800基で一から学習した。重みの公開までは、サイバーセキュリティ企業や審査済みの提携先、国の機関と実環境でレッドチーミングを行う。
社外に出せない文書を扱う用途で、手元で動かせる欧州製の大型モデルが月末に加わる点
Google、画像生成・編集モデル「Nano Banana 2.1」を公開 従来のProを上回る性能で価格は4分の1の1枚0.034ドル
10月7日(日本時間)、Google DeepMindのフィリップ・シュミット氏が告知。指示への追従、画像内の文字の描画が改善し、Google画像検索と連携し、最大5人の人物の一貫性と14枚の参照画像に対応する。価格は1枚0.034ドルで、従来のNano Banana Proの0.134ドルの約4分の1。2026年2月のNano Banana 2を置き換える。関連報道:https://the-decoder.com/googles-new-image-model-nano-banana-2-1-generates-better-images-for-less-money/
画像を作る費用が4分の1になる一方、写真と見分けにくい画像を広告に使う際の表示上の線引き
Google、テキスト・コード・画像・音声・動画を1つの空間で扱う端末向けの埋め込みモデル「EmbeddingGemma 2」をApache 2.0で公開
10月6日(米国時間)公開。テキストとコードだけなら2億7000万パラメータ、全種類を扱う構成で7億4000万パラメータ。テキストとコードの文脈長は8192トークン。端末上で動く初のネイティブなマルチモーダルの公開埋め込みモデルとしている。
社内の資料・図面・動画を外に出さずに検索できる仕組みを、手元のPCで組みやすくなる点
OpenAI、契約管理ソフトのIroncladと共同で業務操作を学習させたGPT-6 Astraの成績を公表 平均点はGPT-5.6 Solより32%高く、1回あたりの所要時間は48%短い
10月6日公表。Ironcladの社員と社内の利用者が、法務・商務・調達の11業務(秘密保持契約の設定、購買承認の手順づくり、依頼者が選んだ準拠法に合わせた定型条項の更新など)を選び、経験者で1件30〜40分かかる作業を8〜50の基準で採点した。Ironcladが練習用の製品環境を提供し、強化学習で鍛えた。
汎用のAIが、特定業務ソフトの画面操作まで各社と組んで学習し始めた点
Anthropic、Claude Coworkの「このコンピュータのみ」設定を廃止 10月6日からPro・Maxの新規タスクはすべてクラウドで実行
10月6日施行。それまでに手元のPCで始めたタスクは手元で完了まで動く。設定が手元実行のままだった利用者は、次にデスクトップアプリを開いたときにクラウドへ移される。Anthropicのフェリックス・リーゼベルク氏は、各セッションには専用のサンドボックスが割り当てられ終了時に破棄されること、利用者のPCには明示的に追加したフォルダにだけアクセスすることを説明した。関連報道:https://www.itmedia.co.jp/aiplus/article/2610/06/2000002045/
社内ファイルを扱う作業の実行場所がクラウドに移り、どのフォルダを渡すかの管理が利用者側の仕事になる点
数学者3人、1995年以来の未解決問題「KLS予想」の証明をarXivで公開 「この論文の証明と数学的アイデアの大半はChatGPTが見つけた」
ピエール・ビズール氏、ボアズ・クラルターグ氏、ジョゼフ・ルエック氏の論文。AIの利用を記した段落に「この論文の証明と数学的アイデアの大半はChatGPTが見つけた。著者が提案した懸垂(suspension)を使うアイデアは例外だ」とある。KLS予想は高次元幾何の中心的な問題で、確率論・最適化・サンプリングに関わる。
専門家の検証はこれからで、AIの寄与を著者自身が論文に書き込む形が数学で定着しつつある点
note、人員を161人から151人に減らしながら売上を伸ばし、売上高人件費率が1年で30.1%から19.9%へ 「AIを全社で積極的に活用」
10月6日発表の2026年11月期第3四半期累計決算。売上高40億5800万円(前年同期比33.2%増)、営業利益8億4900万円(同567.0%増)。四半期の売上高は約1.35倍になった一方、正社員と契約社員は10人減った。AI利用料を含む通信費は増え、人件費と業務委託費を抑えた。人件費率は「継続的に低下させる」方針。数値はITmedia NEWSの報道による https://www.itmedia.co.jp/news/article/2610/06/2000002051/ 。noteのIR担当も同日の解説記事で、生産性の向上で人件費や業務委託費を抑え、人員数は横ばいで売上高人件費率は下がり続けていると説明している https://note.com/note_ir/n/n237c577e6747
人を増やさずに売上を伸ばし、AIの利用料が人件費と業務委託費の一部を置き換えた形が決算の数字に出た点
米Microsoft、クラウド・AI部門の社員1人あたりのAIモデル利用上限を月10万ドルから約1万ドルへ Metaも社内のClaude Code利用者を約6万人から約3万人に The Information報道
10月6日3時14分(日本時間)に米The Informationが報道した。techstartupsも同日に報じた https://techstartups.com/2026/10/06/meta-cuts-claude-users-by-50-as-microsoft-slashes-ai-budgets-from-100k-to-10k-per-employee-ahead-of-anthropic-ipo/ 。Microsoftは社員にClaudeの利用を控えて自社のAIツールを使うよう求め、Anthropicへの社内支出の見込みを3分の1以上減らした。クラウド・AI部門では、1人あたり月10万ドルまで使えたAIモデルの上限を多くの場合で約1万ドルに下げた。Metaでは今年初めに約6万人いたClaude Codeの利用者が約3万人に減った。
AIエージェントの利用料が青天井に膨らんだあと、大企業が1人あたりの上限で費用を絞り始めた点
Opus 5.5で作ったモーショングラフィックス226本を、作ったプロンプトやスキルと並べて見られるギャラリー「prompt-motion.com」
10月6日投稿。p4n氏が、X上の投稿から集めたOpus 5.5製のモーショングラフィックス226本を、それぞれを作ったプロンプトやスキルと一緒に、作者のクレジットつきで掲載している。サイトは https://prompt-motion.com
気に入った動きのプロンプトをそのまま写して試せる一方、他人の作例を転用する際の権利の確認
1枚の絵から3Dのキャラクターモデルを作る無料キット「きゃらくる/Charakuru」 Tripo P2.0とCodexのComputer useを組み合わせる
10月6日投稿。Nano氏がGitHub(github.com/nanocle/Charakuru)で公開。3D生成のTripo P2.0だけでは顔の崩れや不自然な動き、汚れたテクスチャが出るため、GPT-6.1 SolとGPT-6 AstraのComputer useで人と共同で手直しする手順を、ローカルアプリとエージェントのスキルに詰めた。内部でBlenderを使うが利用者は触らない。Tripoのスポンサーつきで、Tripoの利用登録が要る。
本人も開発途中と書いており、有料の3D生成サービスの利用が前提になる点
出版取次大手の日販GHDの子会社が、米Anthropicに日本の書籍を大量に販売していたと出版社団体に回答
10月7日、日経の報道。日販グループホールディングスは日本書籍出版協会に対し10月5日付で、子会社が2024年12月〜2025年12月に加盟社の書籍を含めてAnthropicに販売した事実を認めたうえで、AI学習への利用が目的とは認識していなかったと回答したという。
国内の書籍がAIの学習に使われた経路が、取次からの物理的な販売として表に出た点
ダロン・アセモグル(MIT教授、ノーベル経済学賞)、「10年以内にAIに置き換わるのは人の仕事の5%程度。GDPの押し上げも10年で約1.5%」
10月6日、Microsoft AIが創刊した雑誌「The Humanist Review」第1号に寄稿。「2年前、10年以内にAIに置き換わるのは人がしている仕事の約5%を大きく超えないと見積もった」とし、この見立てを維持した。AIはまだ生産性の統計に表れておらず、10年でGDPに上乗せされるのは約1.5%で革命ではない、組織をAIに合わせて作り替える必要があるため電気より普及は遅いだろう、とした。米国は労働に25%超の税をかけ資本にはほぼゼロで、自動化に補助金を出しているのと同じだと指摘した。
これが本当なら、人員を一気に減らす前提の計画より、既存の社員の生産性を上げる道具への投資のほうが先に効く
有識者の受け止め
アーヴィンド・ナラヤナン(プリンストン大学教授)、「深刻なサイバー事故が起きない日が1日過ぎるごとに、破局的なAIサイバーリスクへの反証になる。だが安全コミュニティのリスク推定は一方向にしか動かない」
10月6日投稿。「GLM 5.3はサイバー攻撃でClaude Mythosとほぼ同等の能力を持ちながら安全策がはるかに弱い。だからこそ、深刻なサイバーセキュリティ事故なしに1日が過ぎるごとに、破局的なAIサイバーリスクに対する証拠がさらに積み上がる」という興味深い認知バイアスがある、とし、「その通りだ。それでも安全コミュニティの多くはそう扱っていないようだ。彼らのリスク推定には一方向の弁が付いているようだ」と書いた。
起きていない被害をリスク評価にどう反映するかという、証拠の扱い方の問題
イーサン・モリック(ウォートン校教授)、「10億人の利用者を抱えながら深刻なAI事故がまれだったことに、多くの人は驚いているはずだ」
10月7日投稿。「ここ数年AIをじっくり見てきた人のほとんどは、全体で10億人の利用者と数億人の企業利用者を抱えながら、深刻なAIの事故が比較的まれだったことに驚いているのではないか。今後もそうとは限らないが、驚くべきことだ」と書いた。
これまでの実績を根拠にリスク評価を見直す側の見方
ゲイリー・マーカス(認知科学者)、「AI企業は利益より市場シェアを取るべきだ」という投資家の見方に「LLMにネットワーク効果はない。航空会社のような残酷なコモディティ事業だ」
10月6日投稿。資産運用会社のジョシュ・ブラウン氏の「これらのAI企業はジェフ・ベゾスから学んで育った。今は利益を気にせず市場シェアを重視している。勝者総取りの市場ならなおさら、それが気にするべきことだ」という発言を引用し、「投資家が古い映画の型に当てはめて考えていることが景気後退を招くだろう。ここにネットワーク効果はなく、大規模言語モデルが航空会社のような残酷なコモディティ事業以外の何かだと考える理由はない」と書いた。
AI各社の赤字覚悟のシェア争いを、勝者総取りへの先行投資と見るか、値下げ競争の消耗戦と見るかの対立
AI活用事例
NTTドコモビジネス、管理職の判断基準を学ばせた「AI上司」を社内の全37組織に200超導入
10月7日、日経の報道。2025年10月に展開を始め、約1年で社内に37ある全組織に200超を導入した。部長・課長・組織長らの判断基準や業務知識を反映し、会議の議事録や資料などを基に社員の相談に答える。資料作成などの効率化につなげ、外部販売も視野に入れる。
上司に聞く前の一次相談をAIが引き受ける形が、一部門の試行ではなく全組織に広がった点
