電子ドラムの防振台は、椅子を載せて初めて効く。だから、やわらかくするのをやめて横だけを止める

バランスディスクの上に合板を載せた防振台を、昔作ったことがあります。ふわふわシステムね、と呼んでいました。これは昔作ったんだけど、グラグラしすぎてやめたんだよ、というのが当時の結論です。乗ると沈み、踏むと戻ってきます。その戻りが毎回ずれるので、叩けたものではありませんでした。2階に電子ドラムを置いていて、隣家から振動のことで声がかかったのが、作りはじめたきっかけでした。

自作の作り方として出てくるものは、だいたい同じ形をしています。やわらかいものの上に板を載せる。使う材料と重ね方が違うだけです。そのうちのいくつかは、椅子を防振台の外に置くように書いています。台に載せると自分まで揺れるから、という理由です。

この記事が渡すのは、やわらかさを上下と横に分ける見方と、沈み込みの数値です。椅子を台の外に置いた時点で、その防振台は効いていません。踏み込んだ力が、椅子の脚から床へ抜けていくからです。

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椅子を床に置くと、踏み込んだ力は椅子から床へ抜ける

ペダルを踏むと、床を押した力と同じ大きさの力が体に返ってきます。体は椅子に座っているので、椅子の脚が床に直接立っていれば、返ってきた力はそこから床へ入ります。

防振台の上に載っているのがキットだけなら、床に触れているところは2か所あります。1か所はパッドとペダル、もう1か所は椅子で、防振材が塞いでいるのは、そのうち1か所だけです。

両足も同じです。ハイハットを踏む左足も、キックを踏む足も、台の縁からはみ出していれば、そこから床へ入ります。踏み込みの反力を台の内側で閉じるというのは、キットと椅子と両足を全部、同じ板の上に載せるという意味です。

揺れるから椅子を外に出す、という判断は、順番が逆になっています。椅子を載せても揺れない台にしてから、載せます。

ゴムは、縦より横のほうが3倍やわらかい

ゴムを上から押しつぶす向きと、横にずらす向きでは、硬さが違います。横にずらす向きのことを、せん断と呼びます。せん断の硬さは、押しつぶす向きのおよそ3分の1から4分の1と言われます。材料と形で幅があるので、はっきり何倍とは言えません。

つまり、上下をやわらかくすると、横はその3倍以上やわらかくなります。しかも、防振に効いているのは上下だけです。横のやわらかさは演奏性を捨てているだけで、静かさを何も生んでいません。

やわらかくするか硬くするか、という一本の線で考えている限り、この分け方は出てきません。硬くすると性能が落ちる、としか言えないからです。上下と横は別の動き方だと分けたところで、上下を残したまま横だけ止める、が言えるようになります。

やわらかくして稼げるのは、9dBしかない

沈み込みが深いほど、台が揺れる固有振動数は下がります。沈み込みが4mmならおよそ8Hz、1.5mmならおよそ13Hzです。

キックの主な成分を60Hzとして絶縁の量を計算すると、8Hzのときは約35dB、13Hzのときは約26dBになり、差は9dBです。これは式から出る計算値であって、私の台で測った値ではありません。

9dBは小さくありません。ただ、その9dBのために、乗ると沈んで戻りがずれる台になります。ここは引き換えです。硬めに振るというのは、その9dBを捨てるという意味になります。

やわらかくしすぎたときの副作用も、もう一つあります。防振が効きはじめるのは固有振動数の1.4倍より上の周波数からで、それより低い揺れは素通りし、固有振動数の近くではむしろ増幅します。地盤が緩くて振動が結構するんですよ、という場所では、この帯域が最初から揺れています。ドアを閉じる音でドーンってなる、あの揺れです。やわらかくしすぎると、そこを増やすことがあります。

沈み込みを1mmから2mmに収める

基準は一つです。乗ったときにゴムが何mm縮むか。これを1mmから2mmに収めます。

測り方は定規です。まず、何も載っていないときのゴムの厚みを測り、次に、キットと椅子と自分が全部乗った状態で、同じ場所の厚みを測ります。引き算した差が沈み込みです。目で見て決めません。

深すぎるなら、ゴムの数を増やすか、受ける面積を広げるか、硬いゴムに替えます。浅すぎるなら逆です。荷重が変わらないのであれば、面積で調整するのがいちばん簡単です。

最初は2.5mmから4mmを目標にしていて、計算上も、そのほうが静かになります。ですがその数値は、前に作ってやめた台をもう一度作る数値でした。1mmから2mmへ振り直したのは、そこに気づいたときです。

防振材を外側に置き、横だけを止める部品を四隅に立てる

防振材は、台のいちばん外側、つまり四隅と辺の端に置きます。同じ数のゴムでも内側に寄せると台が前後に首を振りますが、首の振りにくさはばねを置いた間隔の二乗で効くので、外へ出すほど振れにくくなります。

そのうえで、横方向だけを受けるガイドを四隅に立てます。台の側面のすぐ外に、床から立てた当て木を置く形にすると、上下には自由なまま、横にだけ当たります。

隙間は1mmほど残してください。ここをゼロにして締め付けると、上下の動きまで止まります。締め付けた瞬間に、台はただの重い板になります。防振材を何枚入れていても、力は当て木を通って床へ抜けます。

テニスボールを半分に切って使う案は外しました。横方向にほとんど踏ん張りがなく転がるので、グラグラの原因そのものになります。

この四隅のガイドには、まだ裏づけがありません。今回の検討で組み立てた形で、実際に作って測ってはいないからです。こうすれば横だけ止まるはず、というところまでです。

防振台に椅子を載せると、座面が10cm以上上がります。椅子の高さを取り直さないまま叩くと、腰や膝に負担が出ることがあります。痛みが出るなら、その姿勢のまま続けないでください。長く続く場合は、専門家に相談することをおすすめします。

作り直す前に、いまの防振台に椅子を載せられるかどうかだけ見る

最初に見るのは、材料ではなく広さです。キットと椅子と両足が、全部同じ板の上に載るか。載らないなら、やわらかさをどれだけ詰めても、力は椅子から床へ抜け続けます。

順番も決まっています。広さを確保する。沈み込みを1mmから2mmに合わせる。防振材を外側へ出す。四隅に横だけ止めるガイドを立てる。この順で進めば、やわらかさを足す方向には一度も戻りません。

毎日叩いているんだ、いま。だから、静かさより先に、叩けることが要ります。使わなくなった台は、性能がどれだけ高くても、何も減らしてくれません。

いま床に置いている椅子を、そのまま台の上に載せてみると、どれくらい揺れるでしょうか。揺れ方を見れば、次に直すのが広さなのか、沈み込みなのか、四隅の横なのかが決まります。あなたの防振台には、椅子ごと載せられる広さがありますか。

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