ニューメディアは日本の世代交代を進めるのか?石丸伸二の事例から考える

ニューメディア(SNSなど、新しい情報の届け方)は、社会の中心にいる世代が長く入れ替わらない日本で、新しい人が注目を集める手段になります。2024年の東京都知事選で2位になった石丸伸二氏の事例が、その例です。

しかし、注目を集めても、世代交代が進んだと言える根拠はまだありません。石丸氏は2位で、当選はしていません。

話は、長寿化と世代交代、メディアの歴史、石丸氏の事例、国外からの働きかけの順に進みます。

目次

長寿化で社会の中心にいる世代が入れ替わりにくくなる

平均寿命が延びたため、社会の中心にいる世代が長く同じ立場に残ります。その分、新しい世代が意思決定に加わるのが遅れ、新しい政策やアイデアの導入も遅れます。

平均寿命は、江戸時代に35歳前後と推計され、2024年は男性81.09歳、女性87.13歳です。江戸時代の数字は0歳の平均余命なので、乳児の死亡を含みます。

長寿化が世代交代を遅らせ、停滞を生んだという因果は、研究では直接確かめられていません。

新しいメディアは情報の届け方と受け取り方を変えてきた

新聞・ラジオ・テレビは、1つの発信元から多くの人へ同じ情報を届けました。インターネットとSNSは、一般の個人が発信し、返信を受け取れるようにしました。

メディア日本での始まり情報の届け方
新聞1871年(横浜毎日新聞、日本初の日刊新聞)文字で、読者に同じ内容を毎日届ける
ラジオ1925年音声で、聞く人へ同じ時刻に届ける
テレビ1953年(NHKが東京で本放送を開始)映像と音声で、家庭へ届ける

石丸伸二氏はSNSで有権者に直接話しかけて注目を集めた

SNSは、既存の組織やテレビを通さずに、候補者の発言を有権者へ直接届ける手段になります。元安芸高田市長の石丸伸二氏は、2024年の東京都知事選に初めて立候補し、165万8,363票(得票率24.30%)で2位になりました。

YouTubeの切り抜き動画など、SNSでの露出が支持の大きな要因だったという分析があります(ネットメディア研究者の城戸譲氏、東洋経済オンライン)。

カナダの学者マーシャル・マクルーハンは、1964年の『メディア論』(Understanding Media)で、メディアを人間の能力の拡張として論じました。SNSは、個人の声を遠くまで届ける点で、その例にあたります。

2011年の「アラブの春」では、チュニジアとエジプトで、SNSが政治の議論をつくる中心的な役割を果たしたと、約300万件のツイートなどを分析した研究が結論づけています(Howardら、2011年)。この研究が測ったのは政治の議論での役割で、政権交代の原因までは示していません。

国内で世代交代が進みにくいとき、外からの働きかけが変化のきっかけになる

国内の世代交代が進みにくいとき、外国からの働きかけ(外圧)が変化のきっかけになります。この見方は、歴史上の事例を数えて確かめたものではなく、見立てです。

外圧の節目として、2028年のアメリカ大統領選があります。米国の有権者に占めるベビーブーマー以上の世代は、2012年の49%から2020年に4割を切る見込みと、Pew Research Centerは推計しました。米国で世代が替われば、対日政策も変わると思います。ただし、変わる中身を示す資料は確認できていません。

身近な組織で世代の入れ替わりは進んでいるか

あなたが所属する組織や地域で、意思決定に加わる人の年齢は、10年前からどう変わったでしょうか。SNSで見かける新しい発信者が、どの場で決定に関わっているかも、あわせて見てみてはいかがでしょうか。

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