なぜ健康・人間関係・お金の悩みは尽きないのか
悩みが尽きないのは、健康・人間関係・お金の3つが互いに影響し合っていて、1つが悪化すると残りの2つも悪化するからです。
しかし、「3つは別々の悩みだから、1つずつ片づければよい」と考える人は多いはずです。1つを直している間に別の1つが悪くなり、状況が元に戻ってしまいます。
この記事では、3つの悩みの関係、連鎖を減らす2つの方法、今日から始められる行動を順に説明します。
悩みは健康・人間関係・お金の3つに分けられる
私たちの悩みは、健康・人間関係・お金の3つに分けられます。3つは互いの土台になっているので、1つが弱ると他の2つも悪くなりやすくなります。
- 健康:体も心も、あらゆる活動の土台です。健康を損なうと、仕事も人付き合いもできる範囲が狭まります。
- 人間関係:相手との関係がよいかどうかで、精神的な幸福感が左右されます。良好な関係は成長の支えになり、悪い関係は負担になります。
- お金:お金があると、生活の質を保て、選択の自由も持てます。適切に管理できていると、将来への不安が減り、気持ちが安定します。
個別に対処しても続かないのは、3つが連鎖するから
どれか1つの悩みだけを解決しようとしても、他の2つが原因でまた悪化します。たとえば、健康のために運動を始めても、仕事のストレスで続かなくなります。資産形成の勉強をしたくても、人間関係に疲れて時間も気力も残らなくなります。
3つがどう連鎖するのか、起点ごとに例を挙げます。
- お金が起点:お金の問題で強いストレスがかかり(健康)、お金をめぐる口論が増えます(人間関係)。集中力が下がって仕事の成果が出にくくなり、お金の状況がさらに悪くなります。
- 人間関係が起点:人間関係で精神的に疲れ(健康)、自己投資に使える時間が減ります(お金)。心身の不調で人付き合いの余裕がなくなり、関係がさらに悪くなります。
- 健康が起点:体調を崩すと活動する意欲が下がり、収入が減りやすくなります(お金)。人付き合いも億劫になり(人間関係)、孤立感が強まって、健康がさらに悪くなります。
2013年の研究のまとめでは、約3万4千人分の研究を合わせると、無担保の借金がある人は、ない人より精神的な問題を抱える確率が3倍以上でした(サウサンプトン大学の発表)。ただし、借金が不調の原因なのか、不調が借金の原因なのかは、この研究では分かっていません。
連鎖を減らす2つの方法:24時間の配分と、人との距離の取り方
連鎖を減らす方法は、時間の使い方の見直しと、人との距離の取り方の見直しの2つです。1つ目は24時間を目的別に配分すること、2つ目は相手ごとに連絡の頻度と付き合いの深さを決めることです。
1. 24時間を目的別に配分する
時間を「仕事」と「プライベート」の2つでしか考えないと、体や心や人のための時間を確保できません。お金を複数の資産に分けて持つのと同じように、24時間を目的別に配分します。仕事の時間が長い日は、次の3つの時間が先に削られます。
- 体を動かす時間:WHOは、身体活動がうつや不安の症状を軽くし、脳の働きを高めると説明しています(WHOの身体活動のファクトシート)。
- 心を休める時間:趣味、瞑想、何もしない時間です。休息を先に予定へ入れておくと、仕事に使い切らずに済みます。
- 人と向き合う時間:家族や親しい友人と話す時間です。人間関係を保つために必要です。
長時間労働は、この配分を仕事に偏らせます。WHOとILOの推計では、週55時間以上働く人は、週35〜40時間の人より、脳卒中になるリスクが35%、虚血性心疾患で亡くなるリスクが17%高くなります(WHO、2021年)。配分を自分で決めることが、残りの2つの要素を整える最初の一歩になります。
2. 人との距離を相手ごとに決める
SNSで常に連絡が届く状態では、人間関係の負担が休みなく続きます。連絡の頻度や付き合いの深さを、相手ごとに自分で決めることが対策になります。
- 自分が心地よい距離を知る:どんなやり取りなら負担に感じないかを振り返ります。
- 相手ごとに距離を変える:すべての人と同じように親しくする必要はありません。関係に応じて、連絡の頻度と話す内容を調整します。
- 付き合いの数を減らす:付き合いの数やSNSで繋がる人数を、自分が対応できる範囲に絞ります。
コミュニケーション能力は、うまく話す力に加えて、この距離を調整する力でもあると思います。
今日から始める、3つの要素に同時に効く行動
1つの行動が複数の要素に良い影響を与えるものから始めます。大きな目標を立てず、実現できる小さな行動を選びます。
- 朝の15分の散歩:運動不足を解消できます(健康)。家族やパートナーと歩けば、話す機会になります(人間関係)。頭が働きやすくなり、日中の仕事に使える集中力が増えます(お金)。
- 週2回の自炊:栄養バランスを整えやすくなります(健康)。家族と一緒に作れば、共同作業になります(人間関係)。外食費が減ります(お金)。
- 週末30分の家計簿の見直し:金銭的な不安が減ります(健康)。家族と共有すれば、将来を話し合う機会になります(人間関係)。お金の状況を把握できます(お金)。
悩みの出発点を1つ選んでみる
眠れない、気分の落ち込みが続くなど、心や体の不調が強いときは、医師や専門の相談窓口に相談してください。
いま抱えている悩みが、健康・人間関係・お金のどれから始まり、他の2つにどう及んでいるかを書き出してみてはいかがでしょうか。そのうえで、上の3つの行動から1つ選び、今日から始めてみてはいかがでしょうか。







