「中電病」と呼ばれる運転士の体調不良の原因は、現在のところ確認されていません。JR東日本も、原因は特定できないとしています。
しかし、中央・総武線各駅停車のオーバーランが中野電車区に集まっていたと報じられたため、偏りには理由があるのではないかという疑問が残ります。
この記事では、報道で確認できる事実、管理の強さを原因とする見方、それ以外の見方を順に並べます。
確認できるのは、件数の多さと原因が不明という点
東京新聞は、2024年7月18日付で、中野電車区で過去3年間に約40件のオーバーランが起きたと報じました。運転士の間では、この体調不良が「中電病」と呼ばれていました。確認できる事実は、件数の多さと、JR東日本が原因を特定できていないことの2点です。
同じ路線を担当する習志野運輸区の運転士では、オーバーランや体調不良が目立つことはないと伝えられています。また、中野統括センター所属の運転士によるオーバーランは、2024年11月を最後に起きていないと同じ報道を引いた記事にあります。
管理の強さを原因とする見方
秒単位の遅れや停止位置のずれまで厳しく追及される環境が、運転士に強い緊張を与え続けたことが原因だという見方があります。この見方を裏付ける調査や公表資料は、確認できませんでした。
2018年の春闘で、会社側は、JR東労組と結んでいた労使共同宣言の失効を通告しました。組合側は、労使の信頼関係を壊したと反発しています。
ただし、この出来事の後に中野の現場管理がどう変わったかを示す資料はありません。強い緊張が長く続くと体調に影響するという一般論はありますが、中野の件数がそれで説明できるかは確かめられていません。
組織の構造から立てられる仮説
上司と若手の間に調整役が少ない組織では、上からの要求が弱まらないまま若手に届きます。この仕組みが中野に当てはまると考える人がいますが、中野の年齢構成を示す公表データは確認できませんでした。
この仮説は、組織論の一般的な説明を中野に当てはめた解釈です。事実として確かめられたものではないと思います。
偶然や別の原因とする見方
鉄道ジャーナリストの梅原淳氏は、乗務員は早朝や深夜の勤務で生活リズムが乱れ、体調を崩しやすい職業だと述べています。そのうえで、劣悪な労働環境のような事情がなければ、トラブルが著しく増える要因にはならないとし、多発は偶然に近いと見ています。
ホームドアのある駅とない駅が混在する時期には、停止位置を自動で合わせる装置の有無を勘違いしてオーバーランが起きる可能性がある、と梅原氏は述べています。
原因を見極めるには、どんなデータが必要か
原因を絞るには、月ごとの件数の推移、勤務時間、人員配置、運転士の体調不良の内訳が必要です。これらは外から確かめられる形では公表されていません。
報道を読むときは、確認された事実と原因の推測を分けて読んでみてはいかがでしょうか。







