電子ドラムは、Bluetoothヘッドホンで叩けるのか。遅れは127ミリ秒で厳しい

うちにはローランドの電子ドラムとBluetoothのワイヤレスイヤホンがあります。叩いているあいだ、ヘッドホンのケーブルが体の前でぶら下がります。ケーブルを外せないかと考えて、2つがつながるかを調べました。

先に書くと、Bluetoothでは叩けませんでした。音は出ます。ただ、127ミリ秒遅れて届きます。

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音源からは、Bluetoothで音を送り出せない

そもそも、直接はつながりません。電子ドラムの音源に付いているBluetoothは、音を受け取る側だけです。

ローランドはTD-27のサポート記事にこう書いています。Bluetoothのオーディオ機能は、つないだ機器からTD-27へ送る一方向に限られる。ヤマハもDTX-PROXのBluetoothを、スマートデバイスとつないでオーディオに合わせて演奏を楽しむ機能として説明しています。メーカーが変わっても、向きは同じです。

送信機を挟むと音は出る。遅れは127ミリ秒

では、間に何か入れればどうか。PHONES端子に挿すBluetoothの送信機は売られていて、挿せば音は耳まで飛びます。

問題は遅れです。androplusというレビューサイトに、計測が出ています。Bluetoothのワイヤレスイヤホンを aptX Adaptive でつなぎ、ゲームモードにした状態で127ミリ秒でした。EarFunの公式仕様は50ミリ秒以下なので、その2.5倍にあたります。

叩いた音が、次の16分音符の位置で鳴る

127ミリ秒を、叩く側の単位に置き換えます。127ミリ秒は、テンポ120の16分音符1つぶんにあたります。

テンポ120では4分音符が500ミリ秒なので、16分音符は500ミリ秒の4分の1で125ミリ秒です。

叩いた瞬間の音が、次の16分音符の位置で鳴ることになります。

10ミリ秒を超えると、ずれが分かる

では、どこまでなら叩けるのか。ヤマハは楽器用ワイヤレスヘッドホンの製品ページで、プロミュージシャンが許容するのは10ミリ秒だと書いています。

2018年の研究も近い線です。プロの打楽器奏者10人のうち9人が、10ミリ秒と20ミリ秒の違いを挙げました(Jackら、Music Perception 36巻1号)。

127ミリ秒は、10ミリ秒の12倍です。

Bluetooth 6.0にしても、遅れは縮まない

番号が上がれば縮むのではないか。縮みません。

Bluetooth 6.0には、確かに遅れを縮める仕組みが入りました。ただし、遅れを縮める仕組みが働くのは、送る側と受ける側の両方が新しい方式に対応しているときだけです。BluetoothのワイヤレスイヤホンはBluetooth 6.0で、aptX LosslessもLDACもLC3も使えます。それでも127ミリ秒でした。

OneOdioのStudio Max 2というヘッドホンは、9ミリ秒の低遅延とBluetooth 6.0を並べて書いています。ただ、9ミリ秒は付属の2.4GHzのドングルを使ったときの数字で、Bluetoothでつなぐと150から200ミリ秒になります。箱に並んでいる数字が、同じつなぎ方の数字とは限りません。

叩くなら、有線か、Bluetooth以外の無線を使う

叩くための道は2つです。

1つは有線です。ローランドが出しているのは、VMH-D1という電子ドラム用の有線ヘッドホンで、ワイヤレスのヘッドホンは出していません。

もう1つは、Bluetooth以外の無線です。ヤマハのYH-WL500は2.4GHzの専用の電波を使って、4ミリ秒以下です。希望小売価格は49,500円。オーディオテクニカのATH-EP1000IRは赤外線を使いますが、メーカーの製品ページに生産完了と書かれています。

手持ちのワイヤレスイヤホンを流用する道は、消えます。買うとしたら、ヘッドホンです。送信機を買っても、遅れは残ります。

なお、叩かずに聞くだけなら、Bluetoothで足ります。曲を流す、音色を選ぶ、設定の画面を見る。少し遅れて困ることはありません。音源にBluetoothが付いているのは、聞くだけの使い方のためです。

ケーブルを外したいなら、音源のPHONES端子から先を、Bluetooth以外で組めるか見てみてはいかがでしょうか。

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