Google Workspaceのコスト削減で、まず考えるのはプランを下げることだと思います。ところが、エディションは人ごとに変えられません。1人だけ下のエディションに移す、という操作が用意されていないからです。
そうなると、削れるのはアドオンです。そして、いま金額がいちばん大きいアドオンはAI系です。AI Expanded Accessは、月額プランなら1人あたり月3,700円で、その金額が人数分そのまま乗ります。ただしGoogleは、この金額は地域の通貨と契約期間で変わると案内しているので、自社の数字は管理コンソールで確認します。
ただし、使っていない人から順に外す、という話ではありません。AIのアドオンは、配ったあとに使ってもらう働きかけをします。そのうえで、それでも使わなかった人から外します。
個人ごとのアドオンの解除は、使った回数で決めます。管理コンソールの画面に出ている「使用レベル」や「上限到達日数」では決まりません。そしてもう1つ、割り当てを外しても、その時点では請求額は下がりません。下がるのは、契約しているライセンス数を変えたときです。
外す相手を決めて、請求額が下がるまでの手順は7つです。順に並べます。突き合わせの部分は、AIエージェントに投げられます。
基本エディションの枠を、機能ごとに一覧にする
最初にやるのは、いま契約しているエディションの枠を、機能ごとに一覧にすることです。アドオンを付けていない人でも、AIの機能はある回数まで使えます。この回数が、あとの判定の物差しになります。使った回数がこの枠に収まっているなら、アドオンを外しても、その人の手元では何も変わりません。
たとえば画像生成は、基本エディションで月30回です。AI Expanded Accessを付けると月300回に上がります。同じように、ドキュメント、スプレッドシート、ドライブ、Vidsにもそれぞれ別の枠があり、機能ごとに数字が違います。自分のエディションの枠は、Google Workspace管理者ヘルプの「AI Expanded Access」のページに機能ごとに並んでいるので、そこから写します。
使用状況レポートから「使用回数をダウンロード」を選ぶ
枠の一覧ができたら、次は実際の回数です。管理コンソールのレポートで、Gemini in Workspaceのユーザーレベルの使用状況を開きます。
使用状況の画面には、ダウンロードの導線が2つあります。「表をダウンロード」と「使用回数をダウンロード」です。選ぶのは後者です。前者に入っているのは使用レベル、つまり高・中・低・ゼロという4段階までで、回数が入っていません。4段階では、一覧にした枠と突き合わせられません。後者には、ユーザーごと、アプリごとの実回数が入っています。
組織部門でフィルタをかけて、組織部門ごとに落とします。組織部門を使っていない場合は、全体を1本で落としてから、所属で分けます。
落としたデータには前提が2つあります。1つは、表示されるのが前日までの過去28日で、当日分が入っていないこと。もう1つは、管理コンソールで加えた変更が、このデータに載るまで時間がかかることです。ライセンスの変更で最長24時間、組織部門の変更で最長72時間です。直前に異動した人がいるなら、その行はまだ前の所属に入っています。
AIエージェントに、使用回数と枠を突き合わせさせる
この突き合わせが、AIエージェントに投げられる部分です。人がやると、落としたCSVを1枚ずつ開いて、ユーザーごとに機能の列を目で追うことになります。
エージェントに渡すのは、落としたCSVと、最初に作った枠の一覧です。指示は、CSVを1枚のスプレッドシートに統合し、ユーザーごとに機能ごとの回数を並べ、枠と1つずつ比べること。どれか1つの機能でも枠を超えている月があれば、その人にはアドオンが要ります。全部の機能が枠内なら、回収候補です。
出てくる表には、氏名、メールアドレス、機能ごとの使用回数、枠を超えたかどうか、の列を持たせます。判定は、超えていれば継続、超えていなければ回収候補の2つだけです。
全機能が枠内でも、回収候補から3種類を除く
回収候補に挙がった人から、そのままアドオンを外してはいけません。枠内でも残す人が3種類います。
1つ目は、アドオンを割り当ててから28日経っていない人と、使い方の案内がまだ届いていない人です。前者はデータが28日分そろっていないので判定そのものができません。後者は、使わなかったのではなく、使えることを知らなかっただけです。2つ目は、休職中の人、異動の手続き中の人、入社した直後の人です。この人たちの使用回数は、これからの使い方を表していません。
3つ目が、いちばん間違えやすいところです。レポートには「上限到達日数」という列があります。この列は、その人にいま適用されている枠に対する到達回数です。つまりアドオンを持っている人は、基本エディションの枠を超えていても、拡張された枠には届いていなければ「−」と表示されます。だから「−」を、使っていない証拠として読めません。逆に、この列が1以上なら、拡張された枠にすら当たっているということなので、基本の枠では確実に足りません。回収候補から外します。
迷った行は、継続に寄せます。除外理由の欄に、何で迷ったかを書き残します。推測で回収の側に倒すと、必要な人の手元から機能が消えます。
エージェントに触らせないものを、先に4つ決める
判定を任せるなら、任せない範囲を先に指示書へ書いておきます。書くのは4つです。
エージェントには、基本エディションのライセンスを外させません。自動ライセンス割り当てルールで付いていることが多く、外すとGmail、ドライブ、カレンダーが使えなくなります。ユーザーの停止と削除もさせません。生成AIとアプリの組織部門設定も触らせません。契約ライセンス数も変えさせません。
あわせて、画面の表示が指示書と違っていたら、エージェントが推測で進めずにその場で止めて、こちらへ報告するように書いておきます。管理コンソールの画面は変わります。指示書に書いてある文言が見つからないときに、似た文言を探して進まれると、どこで何をしたかが追えなくなります。
承認の返信を確認してから、1人ずつライセンスを外す
判定リストができたら、決裁する人に出して、回収してよいかの返信を待ちます。返信を確認するまで、ライセンスは外しません。
承認された行だけを、1件ずつ処理します。管理コンソールのユーザーから対象の人を開き、ライセンスをクリックして、アドオンの行のトグルをオフにし、保存します。そのあと画面を再読み込みして、状態が「未割り当て」になっていることを確認します。保存を押さずに画面を離れると反映されないので、1人ごとに保存と確認をセットにします。
外したはずの割り当てが戻っていたら、自動ライセンス割り当てルールが効いています。この場合は、作業を止めます。ライセンスの設定は変えません。ルールを直すのと、1人分を外すのは、影響の範囲が違います。
外し終えたら、契約ライセンス数を変える
7つの手順のうち6つを終えても、請求額はまだ1円も下がっていません。割り当てを外すと空きライセンスが増えるだけで、契約しているライセンス数は残るからです。
下げるには、お支払いのサブスクリプション画面で契約数を変えます。年間プランや定期プランの場合、契約期間の途中でライセンスを減らしても、更新日まで請求額は変わりません。更新オプションで「ライセンス数を減らして契約を自動更新する」をオンにしておくと、更新のときに、そのとき登録されているアカウント数で契約が結び直されます。フレキシブルプランの場合は、ユーザーを削除した数に応じてライセンス数が減り、月額が下がります。これはGoogle Workspace管理者ヘルプの「ユーザー ライセンス数の削減」に書かれている内容です。
この画面で押してはいけないものが1つあります。「購入またはアップグレード」です。この導線は、契約している全ライセンスをまとめて上位のプランへ上げるためのものです。コストを下げに行った画面で、押すと契約金額が上がります。
そして、この操作は人がやります。エージェントには渡しません。契約金額が変わる操作だからです。
よくある疑問
Q:最終ログインから何日経ったか、で判定してはいけませんか。
A:アカウントそのものが要るかどうかなら、最終ログインからの日数で決まります。アドオンが要るかどうかは決まりません。毎日ログインしていても、画像生成を月に数回しか使わない人はいます。逆に、ログインの少ない人がスプレッドシートのAI機能を大量に回していることもあります。アドオンが要るかどうかを決めているのは、機能ごとの回数と枠の関係です。
Q:データを取って判定リストを作るところまで、AIエージェントに任せて大丈夫ですか。
A:大丈夫です。第三者に見えるものを変える操作が入っていないので、間違えてもやり直せます。逆に、ライセンスを外す操作と契約数を変える操作は、承認の返信を確認したあとに人が行います。
Q:判定が分かれた人は、どちらに寄せますか。
A:継続に寄せます。回収を1件取り逃がしても、失うのは1人分の月額です。必要な人から外すと、その人の仕事が止まります。
来月の請求書を見て高いと感じたら、アカウントの一覧を開く前に、機能ごとの枠を一覧にしてみてはいかがでしょうか。
