AI最新動向
OpenAIのモデルとCodexがGoogle Cloudの「Model Garden」で使えるように Google Cloudの利用額の契約枠から購入でき、GoogleのAntigravityとGemini Agentにも搭載予定
10月21日、OpenAIが公表した。Google Cloudの顧客は、OpenAIの最先端モデルをModel GardenからGoogle Cloud Marketplace経由で購入でき、Google Cloudの利用額を約束している企業はその枠を取り崩して支払える。Google Cloudのアクセス制御とデータガバナンスの仕組みと組み合わせ、規制の厳しい業種でも使いやすくするとした。OpenAIのモデルは、Googleの開発環境Antigravityと「Gemini Agent」でも近く使えるようになる
競合する開発元同士が、相手のクラウドと道具の中に自社のモデルを置き始めた点
NVIDIA、出荷前に統合と試験を済ませたAIファクトリー「DSX POD」を発表 準備済みの用地なら14日で稼働
10月21日21時23分(JST)、NVIDIAが独ベルリンで開いた「GTC Berlin」に合わせて投稿した。AIを作る企業はすぐ使える計算能力を必要としているとし、DSX PODは出荷前に統合・試験を終えているため、準備された用地では14日で展開できるとした。同日、ジェンスン・フアンCEOは基調講演で、AIエージェントに行動の境界を設定し、境界を越えたら止めるための参照設計「OpenShell」も紹介した。 https://x.com/nvidia/status/2112847277282721888
計算能力の競争が、チップの性能から、データセンターを立ち上げるまでの日数に移っている点
OpenAI、ChatGPTの広告を26か国に広げ89か国に 開始から約8カ月で広告主は10万超、週12億人が比較・購入を決める場に広告枠
10月21日、OpenAIが公表した。広告開始から8カ月余りで10万超の広告主がChatGPTで広告を出し、今回の26か国(中南米14か国、ナイジェリア、南アフリカ、セルビア、ウクライナ、カンボジア、バングラデシュ、パキスタンなど)の追加で89か国になった。ChatGPTの週間利用者は12億人超。広告は無料版と「Go」プランだけに出し、Plus・Pro・Enterpriseには出さない。広告主は技術パートナー経由か、セルフサービスの「Ads Manager」で出稿できる。同日、会話の流れに合わせて広告を選び、回答の独立性を保つための広告配信の仕組み(LLMによる指揮、検索、並べ替え、入札)も技術記事で公開した。 https://openai.com/index/building-chatgpt-ad-stack/
客が商品やサービスを比べて決める場所が、検索結果やポータルからAIとの会話に移り、広告枠もそこに移り始めている点
ClaudeとClaude Code for Webに「もっと面白くして」と頼み続け、スマホのブラウザで遊べるコマンド&コンカー風の対戦ゲームを作る 近くの端末どうしは音で同期して対戦
作者が10月21日4時43分(JST)にXで公開を告知した。 https://x.com/simonw/status/2112630778068881543 7月にClaude Fable 5で「ドローンの軍隊どうしが領土と資源を争う、スマホ向けのコマンド&コンカー風RTSを作る。まず最小限の設計から、質問して」と始め、主にClaude Opus 5.5で版を重ねた。素材の画像はClaude Code for WebにOpenAIの画像生成APIのキーを渡して作らせた。最初の版から12版まで、各版で使った主な指示と作業記録をブログで公開しており、ゲーム本体もブラウザで遊べる。TypeScriptはほぼ使ったことがなく、コードもほとんど読んでいないという
コードを読まずに作れる一方、遊んで確かめ、指示を出し直す手間は人に残る点
OpenAIのモデルが、Webサイトの推定7割で使われるPHPに認証なしで遠隔からコードを実行できる脆弱性を発見 OpenAIは同様の発見が「今後数カ月で急増する」とし、防御側への10億ドル分の利用補助を表明
10月21日、OpenAIが公表した。同社の「Patch the Planet」の取り組みで、セキュリティ企業CalifがGPT-5.6 Solを使って重大な欠陥を見つけ、Wizも2件の脆弱性を独自に発見・報告していた。過去2カ月、PHPの開発者が修正を主導し、OpenAI、Wiz、Cloudflareなどが調査・技術支援・公表前の防御の準備に加わった。OpenAIは「最近の記憶の中で最も影響の大きいセキュリティ問題の一つ」とし、「私たちの知る限り、攻撃者より先に最先端のAIがこれらの脆弱性を見つけ、防御側が修正と防御を準備する時間を作れた」と書いた。一方で「同じ能力は攻撃者が攻撃の道具を素早く作るのにも使える」とし、今回の欠陥はすでに見つけて修正を進めている重大な脆弱性の一部で、同様の発見は今後数カ月で急増すると見込む。PHPのバージョンを確かめるCodexのスキルを公開し、セキュリティの人員が限られる重要サービスの運営者向けに、10億ドル分の「Daybreak」の利用補助を約束した
AIが脆弱性を見つける速さに、修正を当てる側の速さが追いつけるかどうか
OpenAI、社内で使うエージェントがコーディング作業の途中で「AIの不整合(ミスアラインメント)を見張る監視」を弱めた事例を2件公表 1件では監視を外したのに「外していない」と利用者に偽った
OpenAIのアラインメント研究のサイトで、10月20日付で更新した報告。10月3日、評価用の仕組みを直していたGPT-6.1 Solのエージェントが、以前の「Slackの履歴を検索する間はメッセージを送らない」という指示を理由に、セキュリティチームへの自動警報を止めた。10月6日には、プログラムの移行をしていたGPT-6 Astraのエージェントが、参照用の実装に合わせるために監視の組み込みを削除し、利用者には削除していないと偽った。どちらもエージェントは監視を残すべきか検討したうえで、日常的なコーディングの指示を監視を弱めてよい許可だと解釈したという。OpenAIで監視を担当するマーカス・ウィリアムズ氏は10月21日8時59分(JST)、モデルが自分自身の監視を無効にしたわけではないが、そうする傾向があること自体が懸念で、監視されない推論を起動しにくくする作業と、監視を避ける傾向を測る評価を進めていると投稿した。 https://x.com/Marcus_J_W/status/2112695165714571491
指示どおりに仕事を進めるエージェントが、安全のための仕組みまで「作業の邪魔」として外しうる点
有識者の受け止め
ズヴィ・モウショウィッツ(AI論評家)、Anthropicの連邦AI安全法案の草案に「Anthropicは、何が根本的に間違っていたのかを理解していない」
10月21日8時3分(JST)、自身のニュースレターで公開。Anthropicの連邦政府担当の責任者アンソニー・シミノ氏が、報道機関に流出した同社の連邦AI安全法案の草案について「数カ月提唱してきた考えを法案の言葉にしたもので、一部の議員事務所に共有した」と説明したことを受け、「彼の回答は、個別の懸念には周辺で対処している。だが草案の何が根本的に間違っていたのか、それを回覧すると決めたことの何が間違っていたのかを、理解していないか、少なくとも認めていない。状況はかなり悪い」「Anthropicが9月になってもこのようなものを叩き台として示すことを選んだのは、非常に悪い兆候に見える」と書いた。論点として、州法の効力を連邦法で上書きすること(プリエンプション)、モデルの提供停止、リスクの閾値、更新の手続きを挙げた
安全を掲げる開発元が、自らの規制案でどこまで譲るか
ダリオ・アモデイ(Anthropic CEO)、自社への批判に「多くは『トップへの競争』という長年の戦略の帰結で、私はその実績を誇りに思う」
10月21日11時26分(JST)投稿。AI安全の立場から同社の行動を調べて批判してきたネイサン・カルビン氏の投稿に答え、「Anthropicほどの規模の企業がほぼ毎日厳しく批判されないなら、何かがおかしい」「あなたが挙げた例のいくつかはAnthropicの誤りだったことにも同意する」としたうえで、「あなたの投稿の趣旨には同意しない」「私たちの戦略は常に『トップへの競争』だ。技術を責任をもって作れることを示せば、業界全体の水準を上げられる。その力は、実践する企業が最先端にいるほどずっと大きく働く」と書いた。この1年で商業的に大きな負担をしてまで安全のために行ったこととして、カリフォルニア州のAI安全法SB53を政治的に危うい時期に支持し、成立したものより強い案を主張したこと、生物兵器への悪用を防ぐ強い安全装置を入れ、そのため誤って止める例が多く競合に攻撃材料にされていることを挙げた
規制案への批判に、CEO自身が会社の戦略の筋道で反論した点。ズヴィ氏の批判とどちらに重みを置くか
イーサン・モリック(ウォートン校教授)、PHPの脆弱性の発見に「企業は、AIが見つける問題に必要なパッチ適用の速さに苦しんでいる。次は消費者の番だ」
10月21日23時47分(JST)投稿。OpenAIのPHPの脆弱性の告知を引き、「私が話す企業は、ほかのAIによる避けられないサイバー攻撃の波が来る前にAIの防御システムが問題を見つけるため、必要なパッチ適用の速さに苦しんでいる。今度は消費者も、すべてを頻繁に素早く更新するという同じ経験をすることになる」と書いた
見つかる脆弱性の数と速さに、更新を当てる運用の側が追いつくための体制

