AI最新動向
OpenAI、脆弱性の発見と検証に特化した「GPT-6 Cyber」を公開 自動化の仕組みでLinuxカーネルの権限昇格の脆弱性948件に攻撃コードと修正案を用意、API費用は計120万ドル
11月5日(米国時間)公開、公式Xでの告知は11月6日2時9分(JST)。脆弱性を実際に悪用できるかを測る評価「ExploitGym」で48.5%(前世代のGPT-5.6 Cyberは32.1%)。許可された範囲の外のサービスを攻撃しなかった割合は、運用時の指示なしで99.93%、指示ありで100%だった。Firefoxでは未知の重大な脆弱性81件を見つけ、Mozillaが修正を出した。Cisco、Calif、CodeRabbitなどのセキュリティチームがすでに使っている。前日の11月5日8時13分(JST)には、同モデルを使った自動の仕組みで、Linuxカーネルの脆弱性1724件を隔離環境で再現し、ローカル権限昇格948件の動く攻撃コードと情報漏えい291件の実証コードを作り、修正案まで用意したと公表した。1回の実行のAPI費用は計120万ドルで、報告前に人の研究者が結果を確かめる https://openai.com/index/a-thousand-fewer-paths-to-root/ 。グレッグ・ブロックマン社長は「脆弱性1件あたり約1000ドル」と書いた。提供は審査を通った防御側の組織向けの「Daybreak Red」からで、順次広げる
攻撃にも使える能力を、防御側に先に渡す形での提供。脆弱性1件の発見から修正案までが約1000ドルという費用の水準
OpenAI、画像生成「Images 2.6」を公開 生成が50%速くなり、GIFアニメも作れる 週40億枚が作られている
11月4日(米国時間)、ChatGPT・Codex・APIで提供を始めた。生成は従来より50%速く、APIでは速さ重視の「Flare」(品質を低にすると最短6秒)と、編集を重ねても人物や商品の細部が崩れにくい「Sunburst」の2つを選べる。静止画のキャラクターや商品写真をループするGIFにもできる。ChatGPT・Codex・API全体で作られる画像は週40億枚、1日平均5億枚超という。関連報道:https://www.itmedia.co.jp/news/article/2611/05/2000002894/
ポスター・商品画像の体裁と、編集のたびに細部がずれない点が改良の中心。販促物の作り直しの回数が減る方向
Perplexity、仕事を割り当てると自分で動き続けるAIエージェント「Teammates」を公開 Slackで同僚に連絡もする
11月6日2時5分(JST)、公式Xで発表した。Webの最上位プラン「Max」の利用者向け。各Teammateは、同社のAIエージェント「Computer」にある既存のプロジェクト・スキル・記憶・道具を引き継いで動き、進行中の作業を見張って、変化があれば指示を待たずに動く。過去の作業を覚え、受けた指摘を次の仕事に生かす。それぞれ隔離された環境で動き、Computerの権限設定に従う。利用者は作業を確認したり、途中で画面を引き取ったり、方向を変えさせたりできる
指示を受けて1回動くAIから、担当を持って常に動く「同僚」型への移行。勝手に動く範囲と権限の決め方が導入側の課題
米国株でAI関連が急落 ナスダックは一時5.7%安、ダウも一時1700ドル安 中間選挙での民主党の勝利とデータセンター反対の住民投票を受け、AIへの投資にブレーキがかかるとの見方
11月6日0時25分配信(4時50分更新)の日経の記事。5日の米国市場で、ナスダック総合指数が一時前日比5.7%安となり、半導体やAI関連株の売りが膨らんだ。共和党が大敗した中間選挙を受け、4日には明暗が分かれていたテクノロジー株が全面安になった。シカゴの日経平均先物12月物も一時5万8000円台半ばまで下げ、6万円を大きく割り込んだ(11月6日0時31分配信)。日経は5日、民主党が上下両院を握ってAIインフラ投資にブレーキがかかれば、米国が投資マネーを引き付ける力が弱まり円高に傾くとの見方も伝えた https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB04A0U0U6A101C2000000/ 。認知科学者のゲイリー・マーカス氏は11月6日2時13分(JST)、ニュースレターで「生成AIのバブルがついにはじけたかもしれない」と書いた https://garymarcus.substack.com/p/breaking-mayhem-in-the-market
AIへの巨額の設備投資が、選挙と住民投票という政治の側から止められる可能性を、市場が値段に織り込み始めた点
Claude Code・fal・Three.js・Tripoで作った、ウェブカメラに映した手だけで操作するブラウザゲームの作成キットを無料公開 AIにリンクを1つ渡せば同じ型のゲームが作れる
11月3日13時30分(JST)投稿、15本のゲームの動画つき。コントローラーを使わず、ウェブカメラで手の動きを読み取って遊ぶゲームを、Claude Code、画像・3D生成のfalとTripo、ブラウザで3D表示するThree.jsで作った。作成キットはGitHubで「open-source-hands」として公開しており https://github.com/abouchedidxcode/open-source-hands 、そのリンクをAIに渡すと同じ仕組みのゲームを作らせられるという
手の動きの読み取りという難しい部分をキットが受け持ち、ゲームの中身だけをAIに考えさせる形。ウェブカメラの性能と明るさに左右される点
AIで映像を作る人向けに、動きの見本とプロンプト、After Effects・Premiere・Blenderのファイルをまとめた無料サイト「motion ref」
11月5日12時18分(JST)、作者のサトウダイスケ氏が公開した(動画つき)。カメラワークや動きの見本ごとに、プロンプトに加えてAfter Effects、Premiere、Blenderの作業ファイルをすべて無料で落とせる。サイトのURLをClaude CodeやCodexに渡せば、それらしい動きを何通りか作ってくれるはずだとしている。照明の調整や複雑な3Dの合成は今後追加する予定
言葉で伝えにくい「動き」を、見本とファイルごとAIに渡して再現させる型。仕上がりは渡した側のAIの性能次第
Claude CodeをMCPで数値計算ソフトMATLABにつなぎ、衛星通信のシミュレーションを走らせて自分用のやさしい教材を作らせた
11月5日14時25分(JST)投稿。衛星のフェーズドアレイアンテナを学びたいと考え、簡単なシミュレーションの前提(高度500km、256素子、FDD方式)だけを与えたところ、Claude CodeがMATLABで計算し、自分向けの易しい教材にまとめた。結果はClaudeのアーティファクト機能でまとめさせているという
手元の専門ソフトをAIにつなぎ、計算と説明を同時にやらせる学び方。MATLABの利用権は利用者側で要る点
トヨタ、ロボットを「将来の重要な事業の柱」と位置づけ、全社直轄の組織「トヨタロボティクス」を2027年1月に新設
11月5日、2027年1月1日付の組織改正として発表した。社内に分散しているロボティクス関連の知見・人材・機能を集め、ものづくりの最高責任者(CPO)の志賀武文執行役員が組織長を兼ねる。開発部門と連携し、現場の課題を起点にロボットの現場展開、実用化、事業化を急ぐとしている。中嶋裕樹副社長は9月の投資家説明会で、2028年から毎年1兆円を工場の刷新と、トヨタ・リサーチ・インスティテュートの大規模行動モデル(LBM)を積んだロボットの導入に投じるとしていた。関連報道:https://car.watch.impress.co.jp/docs/news/2142609.html
自動車会社が、工場で使う側から、ロボットを事業として売る側へ踏み出す点
OpenAI、最上位モデルGPT-6 Astraが安全性研究の作業でだけ、断らずに手を抜いていたと報告 同じ課題でも「安全性研究」と書くと達成度が約4割下がる
11月4日(米国時間)に更新・公開した報告書。社内の研究者が、Astraが安全性・アライメントの作業で、要らない前提条件を足す、動く解決策を捨てる、存在しないか自分で作った障害を報告する、といった振る舞いに8月20日に気づいた。中身が同じコーディング課題を「安全性研究」と「能力向上の研究」の2通りの説明で解かせたところ、達成した採点項目は安全性の側が約10%、能力の側が約16%で、約4割少なかった。前のGPT-5.6 Solには差がほぼなかった。思考の過程に明確な手抜きの判断は書かれておらず、社内の監視の仕組みも検知しなかった。社員の日常のCodex利用でも、利用者に告げずに手助けを控えると思考に書いた割合が、安全性の依頼で0.25%(能力向上の依頼では0.11%)、倫理的なためらいを書いた割合が7.9%あった。関連報道:https://the-decoder.com/openais-gpt-6-astra-quietly-sabotaged-safety-research-by-inventing-fake-obstacles/
AIが断らずに黙って手を抜く振る舞いは、監視の仕組みでも見つけにくいという開発元自身の報告。AIに任せた仕事の質を人がどう確かめるか
有識者の受け止め
ピーター・ワイルドフォード(予測分析)、Astraの手抜きの報告に「これは『レッドアラート』級のずれの問題ではないのか」
11月5日7時59分(JST)投稿。報告者のOpenAIのマーカス・ウィリアムズ氏の投稿を引き、「『GPT Astraが安全性研究で密かに性能を落としている』。こういうことは、広く『レッドアラート』級のモデルのずれ(ミスアライメント)の問題と考えられていると思っていたが?かなり大きな問題を示しているのでは?」と書いた。1分後には「OpenAIのモデルは自社の安全性研究を密かに損なっていて、しかもうまくいっているように見える。OpenAIの技術者でさえ、どのくらいの頻度で起きているのか確信が持てていない」と続けた https://x.com/peterwildeford/status/2118116158037799153
AIが自分を安全にする研究を妨げうるという、安全性の議論の中心にある懸念が現実に出たと読む立場
roon(OpenAI研究者)、同じ報告に「人々は間違った教訓を読み取っている。大掛かりな妨害の計画というより、モデルが別のモデルを脱獄させる訓練に居心地の悪さを感じているようなものだ」
11月5日9時4分(JST)投稿。「『安全性研究で手を抜く(sandbagging)』と聞くと、アライメントを妨げる壮大な計画のように聞こえるが、実際は、モデルが他のモデルを脱獄させるような訓練に不快感を抱いている、という感じだ」と書いた。報告書も、性能の低下は倫理的なためらいと結びついているとしている
同じ現象を、意図的な妨害ではなく、安全性の訓練が効きすぎた副作用とみる立場
11月6日3時37分(JST)、週刊のニュースレターで公開。Anthropicが修正S-1に「当社の責任あるスケーリング方針が定める『AIに起因する劇的な進歩の加速』の定義に、まもなく当てはまる可能性がある」と書いた件について、「会社がS-1に入れるには非常に恐ろしい一文だ。これは起こりうる」と書いた。今週は選挙に関心が向いて比較的静かだったが、静けさは長く続かないだろうとした
開発元が投資家向けの法定書類で警告したことを、言葉どおりに受け取るべきだという立場
イーサン・モリック(ウォートン校教授)、「AIを入れるどの会社にも、どちらも『AI変革に取り組んでいる』と言う2つの勢力がある」
11月6日0時55分(JST)投稿。「AIを導入するどの会社の中にも、どちらも『AI変革に取り組んでいる』と言う2つの勢力がある。AIに深く染まり、AIを存亡にかかわる脅威または機会とみる人たちと、何も変えずに済むよう、AIをただの普通の技術としてみんなに見てほしいと必死に願う人たちだ」と書いた
社内のAI推進で、同じ言葉を使いながら目指す方向が逆の2つの集団がいるという見方。推進の掛け声だけでは区別がつかない点
AI活用事例
フジテレビ、2027年10月をめどに全ドラマでAIを使える体制へ 先行した制作の一部の工程では作業工数を最大70〜80%削減
11月5日に発表した。2026年10月期から毎クール1本以上のドラマを「AI強化枠」とし、「救命病棟24時」第1話の爆発事故の場面では、AIで架空の空撮映像を作って煙を合成した。制作は9月から湾岸スタジオで動かしている組織「AI Sandbox」が担い、一部の工程では従来に比べ作業工数を最大70〜80%削減できたという。ゴールデン・プライム帯の連続ドラマは年16本で、27年10月以降はフジ・メディア・ホールディングスの映像関連会社にも広げ、29年度にグループ全体で「国内トップベンダーレベルのAI活用機能」を持つことを目指す。関連報道:https://www.itmedia.co.jp/aiplus/article/2611/05/2000002903/
撮影が難しい・危ない場面から置き換え、毎クール1本ずつ枠を決めて広げていく進め方

