電子ドラムは、エレキギターとアコースティックギターのように別の楽器として別の未来があるのでは?

私はローランドのV71を使っています。電子ドラムの記事を読むと、ほとんどが生ドラムにどれだけ近いかで書かれています。跳ね返りが違う、叩き方の差が音に出ない、だから生ドラムも叩かないと上手くならない。どれも正しい指摘だと思います。

一方でエレキギターは、アコースティックギターにどれだけ近いかでは測られていません。歪みは、アコースティックギターからは出ない音です。代用として世に出たのに、いま誰も代用だとは呼びません。

808が出てから46年が経って、電子ドラムだけがアコースティックドラムへ寄せています。理由を探したのですが、一つも見つかりませんでした。

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生ドラムにいちばん近い電子ドラムは、V71である

2026年9月の時点で、生ドラムにいちばん近いのはローランドのV71です。

近さを決めているのは音源モジュールです。パッドを替えると打感は変わります。音のほうは、ブラインドテストを20回続けてやったとして、プロでも完璧に聞き分けられる人はいないと思います。統計があるわけではなく、私の推測です。

同じサウンド・エンジンは、下位のV51とV31にも載っています。ローランドは3シリーズ、5シリーズ、7シリーズで音源を共通化しました。だから予算で選んでも、音の出発点は同じところにあります。

それでも、叩き心地は近くならない

音が近づいても、叩いた感触は近づきません。とくにシンバル系が違うのは、生のシンバルなら2発目を叩くときに1発目の振動が板に残っているからです。

V71はいまのローランドの最上位ですが、ここは埋まっていません。機種を上げて解決する差ではないと思っています。

電子ドラムだけが、まだ代わりかどうかで測られている

叩き心地の差を認めたうえで、比べる対象をもう一度エレキギターに戻します。エレキギターは、バンドの中で音量が足りないという理由で作られました。増幅の途中で出た歪みが、そのまま新しい音になりました。

ドラムでは、それが起きていません。電子ドラムの比較記事を並べると、ほとんどが生ドラムの練習になるかどうかで書かれています。40年を超える歴史がありながら、ギターがとうに使わなくなった比べ方で、電子ドラムはいまも測られています。

電子ドラムが生ドラムに寄せられている理由は何か

楽器そのものを一つずつ見たのですが、理由になるものがありませんでした。

形が生ドラムに似ているから、という説明は成り立ちません。エレキギターもアコースティックギターと似た形をしています。バンドの中の位置が同じだから、というのも成り立ちません。エレキギターも同じ位置にあります。

演奏者が音を作れないから、という説明も違います。作れます。音の長さが違うから、というのも成り立ちません。808は減衰の長いキックを出しましたし、それを使った曲が実際に売れています。

躯体についても同じです。あの筒は音に関与していません。私は自分の躯体を、自己満足のためのものだと思っています。

電子ドラムという独立した楽器としての音色が、まだ無い

理由が無いのに、現実は寄っています。ここに残っているのは、事実のほうです。

電子の音そのものは、1980年に出た808で認められました。生ドラムに似ていなくても良い音だと、そこで決まっています。無いのは、叩いて鳴らす音のほうです。パッドを叩いて出す音で、生ドラムに似ていない良い音、というものがまだありません。

私が自分のキットで鳴らしているのも、結局はアコースティックドラムの音です。生ドラムに似ていれば良い音とされ、似ていなければ安い音とされます。その外には、まだ何も置かれていません。

言葉も同じです。打ち込みをする人はビートメイカーと呼ばれますが、叩く人に電子ドラマーという呼び方は、まだ定着していません。

V71には、音を作る道具が揃っている

では、なぜ無いのか。道具のほうは、ここ数年で揃っています。

従来のV-Drums音源モジュールは、中身を拡張できませんでした。V71はInstrument Expansionをダウンロードして音を足せますし、サンプル・インポートを使えば自分で録った音も入ります。各パッドに3つまで重ねられます。

生ドラムに無い音を出す手段は、すでに手元にあります。使われていないだけです。

アコースティックドラムは、アコースティックドラムとして残る

では、生ドラムはどうなるのか。アコースティックドラムは、アコースティックドラムとして残ると思います。電子ドラムの音が良くなって生ドラムを追い越す、という形にはならないと思います。エレキギターが普及したあともアコースティックギターが残ったのと同じです。

生ドラムのほうでも、別の動きがあります。ローランドはTM-6 PROとRT-MicSを2018年に出しました。生ドラムに取り付けて、電子の音を足す機材です。ローランドはこれをハイブリッド・ドラムと呼んでいます。生ドラムを叩く人も、電子を道具として使いはじめています。

つまり電子ドラムに残っているのは、まだ誰も置いていない場所です。理由が無いのにやられていない、ということは、そこが空いているということでもあります。V71か、同じエンジンのV51かV31を使っているなら、サンプル・インポートで自分の音を1つ入れて、生ドラムには無い音のキットを1つ作ってみる。そこから始めてみてはいかがでしょうか。

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