ショートスリーパーの炎上で粘着する人々はなぜ書き込み続けるのか?

ごく短い睡眠で足りるという主張には、社会に害が出るおそれがあります。真似して睡眠を削る人が出るからです。

それでも、社会問題はほかにいくらでもあるのに、主張に反論するだけでなく、ショートスリーパーの睡眠時間について何度も書き込み続ける人々がいます。反論を超えて書き込み続ける人の中には、自分のこれまでの習慣や常識を否定されて、自分の正しさを確認したい人がいます。炎上を動画で取り上げ続ける人の中には、広告収入のためという人もいるかもしれません。

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ごく短い睡眠で足りるという主張には、反論されるだけの理由がある

厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」は、成人に1日6時間以上の睡眠を確保するよう勧めています。同じガイドは、睡眠時間が6時間未満になると死亡リスクが上がったという、92万人分のデータの解析を紹介しています。

真似して睡眠を削る人が出るのを心配して反論するのは、正当なことです。反論なら一度書けば済むので、同じ人に何度も書き込み続ける理由は、正義感の外にあります。

自分のこれまでの習慣や常識を否定されると、人は自分の正しさを確認したくなる

何時間眠るかは、誰もが毎晩くり返している習慣です。ごく短い睡眠で足りるという主張は、毎晩しっかり眠ってきた人にとって、自分のこれまでの習慣を否定されたように聞こえます。

自分の習慣を否定されたと感じた人は、相手を低く評価して、自分の正しさを確認します。ミンソンさんとモナンさんの2012年の研究では、肉を食べる人の47%が、菜食の人について否定的な言葉を自分から挙げました。菜食の人に責められていると予想した人ほど、挙げた言葉は否定的でした。

ミンソンさんらが調べたのは食事の習慣ですが、睡眠の習慣を否定された人も、相手を低く評価するはずです。主張に反論しても自分の正しさを確認しきれない人は、主張する人を低く評価する書き込みを続けます。

常識がひっくり返るのが怖い人は、何度も書き込みに戻ってくる

習慣や常識は、その人が自分をどういう人間だと思っているか、つまりアイデンティティの一部です。これまでの常識がひっくり返るのが怖く、習慣や常識を否定されたままではアイデンティティが保てない人は、自分の正しさを確認するために、何度も書き込みに戻ってきます。

人は、アイデンティティを守るために、都合の悪い情報を受け入れません。シャーマンさんらの2000年の研究では、カフェインと乳がんの関係を伝える記事を、カフェインをよくとる女性ほど受け入れませんでした。ところが、記事を読む前に自分を肯定する作業をした人は、同じ記事を受け入れました。

情報を受け入れないのは、アイデンティティを守るためだということです。習慣を否定されることが、そのままアイデンティティを否定されることになる人ほど、粘着します。

炎上を取り上げた動画は、再生回数が増えるほど多くの広告収入につながる

炎上を動画で取り上げ続ける人の中には、広告収入が目的の一つになっている人もいるかもしれません。炎上を取り上げると再生回数が回るので、広告収入につながるからです。

YouTubeは、動画の再生ページに表示された広告の純収入の55%を、動画を作った人に支払っています。再生回数が増えるほど、表示される広告も増えます。

反論を超えて書き込み続ける人の中には、自分の正しさを確認しないとアイデンティティが保てない人がいる

反論を超えて書き込み続ける人の中には、自分のこれまでの習慣や常識を否定されて、自分の正しさを確認しないとアイデンティティが保てない状態にある人がいます。炎上を動画で取り上げ続ける人の中には、広告収入が目的の一つになっている人もいるかもしれません。社会問題はほかにいくらでもある中で、わざわざ対応する必要のない人の睡眠時間に、それでもここまで粘着する理由は、ここにあります。

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