Amazonギフト券の10%オフは、リスクの値段ではなく、30分だけの保証の値段である

Amazonギフト券を安く買えるサイトがあります。10,000円分が9,000円で手に入るので、1,000円得をする計算になります。Amazonでよく買い物をする人なら、年間の利用額に掛け算をしてみて、これは無視できない額だと思われるのではないでしょうか。

よく言われる注意は、だいたい3つです。Amazonの規約に違反している。アカウントが停止されることがある。使えないコードをつかまされる可能性がある。

ただ、この3つを読んでも、なぜか手は止まりません。実際に使っている人は大勢いますし、そのうちの誰も困っていないように見えるからです。この記事が立てる問いは違います。その1,000円の値引きは、いったい何に対して払われているお金なのでしょうか。

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割引率は、売り手がいつ現金を欲しいかで決まっている

ギフト券が安く買える理由を、買い手が負うリスクの大きさだと考えている方は多いと思います。実際に割引率を動かしているのは、売り手の側の事情です。

2020年から2021年にかけて、6つの売買サイトの価格を1年ほど記録した個人のメモが公開されています。それによると、最低価格は71%から89%のあいだを行き来しており、1か月足らずで10%動くこともありました。価格を押し下げるのは出品の量です。

同じ市場を観察している別の記事では、週明けやクレジットカードの締め日明けに出品が増え、値が下がりやすいと書かれています。締め日明けに現金化を急ぐ人が増えるということです。つまり、あなたが払っている1,000円の差額は、売り手がいつ現金を手にしたいかという事情に対して付いた値段であって、あなたが何を引き受けるかを計算した結果ではありません。

買った側が確認できるのは、登録した最初の30分だけである

売買サイトの多くは、購入から短時間に限った救済の仕組みを持っています。

先ほどの記録によれば、当時の主要な6サイトはいずれも、購入から30分以内であればサイトに報告して取引を無効にできる仕組みを用意していました。番号を自分のアカウントに登録してみたら残高が0だった、という場合に返金される仕組みです。この記録を書いた人は、不良率はどのサイトも1%前後だと書き、自分は一度も当たったことがないとも書いています。

ここで一点、事実と解釈を分けておきます。30分という数字は、2020年時点の個人の観測です。すべてのサイトの現在の規約を確認したものではありません。ただ、購入直後のごく短い時間に限って救済を用意するという設計そのものは、複数のサイトに共通していました。

損失が確定するのは、最長で120日後である

一方、このコードが本当に使えるものだったのかは、購入から数か月経つまで決まりません。

盗まれたクレジットカードでギフト券が買われた場合、本来の名義人が明細を見て気づき、カード会社に異議を申し立てます。カード会社が売上を取り消して名義人に返金する、この手続きがチャージバックです。決済代行会社の解説によれば、チャージバックの申し立て期限は取引日からおおむね120日とされています。理由や国際ブランドによって前後します。

名義人が明細を見るまでのあいだ、そのコードは何の問題もなく動きます。登録できますし、買い物にも使えます。このコードの正常さは、まだ誰も申し立てていないという意味の正常さです。

表示されている不良率は、120日後の分を数えていない

売買サイトが表示している1%という数字は、30分以内に判明した不良の率です。120日以内に無効化された率ではありません。

30分と120日を並べると、桁が4つ違います。買い手が確認できる窓と、損失が確定しうる期間が、この幅でずれています。そして後者を集計している主体は、どこにも存在しません。売買サイトは取引が終わった後を追えませんし、買った人は自分の1件しか知りません。Amazonは把握していますが、公表しません。

売買サイトの側も、そこを隠してはいません。ある大手サイトは自社の告知に、登録後にキャンセルされる事例が報告されていること、出品者側でも原因が明確に分からないこと、責任の所在が分からず解決が難しいことを、そのまま書いています。数字が出ていないのではなく、誰も数えられないところに損失が置かれているということです。

値段が付くためには、率が測られている必要があります。自動車保険の保険料が年齢や車種ごとに違うのは、区分ごとの事故率が何十年も集計されているからです。火災保険も同じで、建物の構造や地域ごとの損害率が積み上がっているから、そこに掛け率を乗せられます。逆に、測られていない危険には保険という商品が用意されません。この市場の10%という数字は、そうやって算出された保険料ではないということです。

自分で買っていない人にも、同じことが起きている

このリスクが、買うという判断に付いていないことを示す記録があります。

2022年11月、あるエンジニアが自分のAmazonアカウントの閉鎖を記録に残しています。この人は売買サイトで買っていません。人からもらったギフト券がいくつかあっただけです。ある日の買い物の直後に中国語のメールが届き、アカウント閉鎖、ギフトカード残高の無効化、未発送の注文のキャンセルが通知されました。文中には、Amazonのギフトカード規約のページが参照先として書かれていました。

その後の10日間の記録が、この件の性質をよく表しています。問い合わせると「不正行為は見つかりませんでした」と返ってきたのに閉鎖は続き、次は「閉鎖する必要があることが判明いたしました」と返り、その2日後に「アカウント閉鎖が誤りであることが判明いたしました」と解除され、買い物をしたらまた同じ中国語のメールが届きました。理由は最後まで説明されていません。

慎重に選ぶ、実績のある出品者から買う、少額から試す。こうした工夫は、30分以内の不良に対しては効きます。コードがどの決済から生まれたかに対しては、何も効きません。買い手が見られる情報の中に、答えが入っていないからです。

この記事の主張のコストを、正直に書いておく

大半の人には、何も起きません。ここは薄めずに書いておきます。

Amazonギフト券の流通量に対して、無効化やアカウント閉鎖が実行される件数の割合は、おそらくかなり低いはずです。だからこそ市場が何年も生き残っていますし、「使っているけれど平気だった」という話がいくらでも見つかります。その体感は間違っていません。母数に対する率が低いことと、当たったときの損失が大きいことは、両立します。

正規のルートにも割引はありますが、幅は正直に言って小さいです。現金でチャージした場合のポイント還元は、プライム会員でも最大2.5%程度で、初回のキャンペーンを足しても10%には届きません。ですから、この記事は「正規ルートでも同じくらい得ができます」とは言いません。差額は実在しますし、それを取りにいきたくなる気持ちは自然なものです。

よくある疑問

Q:売買サイトで買ったAmazonギフト券は、実際どのくらいの確率で無効になるのでしょうか。

A:公表された数字はありません。売買サイトが表示している1%前後という不良率は、登録した直後に残高が0だった割合であって、いったん使えた後に無効化された割合ではありません。後者を集計して公開している主体は、買い手側にも売り手側にもAmazon側にも存在しません。確率が低いのではなく、確率が測られていない状態です。

Q:もう買って登録してしまいました。どうすればよいでしょうか。

A:登録済みのコードを買い手の側から取り消す方法はありません。できるのは、そのアカウントに置いてあるものを把握しておくことです。Kindleで買った本、出品用アカウントの権限、定期購入、プライムの契約。閉鎖されたときに一緒に止まるのはこの範囲です。先ほどのエンジニアの記録では、問い合わせを繰り返した末に解除されていますが、これは保証ではなく、その人の場合はそうなったという1件です。

判断基準は、値引きが何に対して払われているかである

持ち帰っていただきたい基準は一つです。値引きを見たら、売り手が保証している期間と、損失が確定しうる期間を、それぞれ声に出して言ってみてください。

この2つが同じ長さなら、値引きはリスクの対価として機能しています。中古品の初期不良保証も、家電の延長保証も、この形になっています。壊れるとしたらいつ壊れるかが分かっているから、その期間を保証して、その分を値段に乗せられます。

ずれている場合、値引きは短いほうにしか払われていません。Amazonギフト券を安く買う場合であれば、保証は30分、確定は最長120日です。10%という数字は、30分で判明する1%の不良に対しては、むしろ払いすぎなくらいです。残りの119日と23時間30分には、値段が付いていません。付けようがないからです。

数字が出ていない場所を、安全だと読み替えないでいただきたいのです。測られていないことは、低いことではありません。

あなたが払おうとしている1,000円は、どちらの期間に対する値段でしょうか。

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