AIエージェントを使いこなす人と、AIチャットを使うだけの人の差は広がるのか?

AIエージェントを使いこなす人と、AIチャットを使うだけの人の差は、この先広がると私は考えています。

しかし、誰でもAIエージェントを使えるようになる未来を想像する人も多いのではないでしょうか。

差が広がる理由は3つです。

  • 作業するのが、人からAIに入れ替わる
  • AIエージェントの手順を書ける人が限られる
  • 手順の直しが積み上がり、ノウハウが蓄積する
目次

AIを使う人は88.8%、AIエージェントで仕事を自動化している人は2.4%

KiteRaが管理部門・専門部門の1,087名に聞いた調査(2026年6月発表)は、以下でした。

質問回答回答した人の割合
生成AIかAIエージェントを使っているか使っている88.8%
日々の業務を、主に何でこなしているかSaaSと手作業の併用28.6%
同上主に手作業24.7%
同上SaaS中心23.4%
同上AI機能を含むSaaS中心20.6%
同上AIエージェントによる自動化2.4%

私が知っている従業員3,000人のコンサル会社でも、AIエージェントを使っているのは5人ほどです。割合にすると0.17%です。この割合を日本の就業者6,828万人(総務省「労働力調査」2025年平均)に当てると約11万人で、1社の割合を全体に当てた粗い見積もりですが、使っている人は一握りだと思います。

AIチャットは人が作業し、AIエージェントはAIが作業する

AIを使う人は多いのに、AIエージェントで仕事を自動化している人が少ないのは、AIチャットとAIエージェントが全くの別物だからです。違いを比較すると、以下のとおりです。

比べる点AIチャットAIエージェント
誰が作業するか人(AIは手伝うだけ)AI(人は結果を確かめるだけ)
いつ作業が進むか人が画面の前にいる間だけ人が寝ている深夜や早朝も
仕事ができる人とできない人の差はどうなるか縮まる広がる

私は自分で手順を書いたAIエージェントを、毎日動くもの、毎週動くもの、毎月動くものを合わせて22本動かしています。2026年10月の予定で数えると、ひと月に合計470回動きます。私が寝ている深夜や早朝も含めて、無人で動いています。

AIチャットは、仕事ができる人とできない人の差を縮めます。顧客サポートの担当者が対話型のAIの支援を受けた研究では、経験の浅い人の1時間あたりの解決件数が34%上がり、熟練した人はほとんど変わりませんでした(Brynjolfsson ら、The Quarterly Journal of Economics、2025年)。AIエージェントは逆に、手順を書ける人だけを先へ進めます。

使いこなすとは、AIエージェントをフルスクラッチで組むこと

システム開発にパッケージ、セミスクラッチ、フルスクラッチがあるように、AIエージェントも3段に分かれます。

段階AIエージェントの使い方人が画面の前にいないとき
既製品SaaSに組み込まれたAIエージェントを、決められた範囲で使うSaaSが決めた作業だけが進む
セミスクラッチ既製のAIエージェントに、画面の前で指示を出す作業が止まる
フルスクラッチ自分で手順を書いて無人で回し、外れたら直す自分で書いた手順どおりに作業が進む

使いこなしているのはフルスクラッチの人で、先ほどのコンサル会社の5人も、ほとんどはセミスクラッチだと思います。

フルスクラッチに要るのは、プログラムの腕ではありません。RPAやExcelマクロと違い、手順は日本語で書けます。要るのは、どんな出来上がりなら合格かを言葉にし、外れるたびに直し続ける力です。

仕事の範囲が広い人ほど、AIエージェントで差がつく

SaaSの会社は、同じ作業をする人が何万人もいる仕事のためにAIエージェントを作ります。1社の中の1人のための作業は製品にならないので、自分で手順を書く人しか任せられません。私の仕事は経営企画で範囲が広く、そうした作業がいくらでもあります。

しかも、手順の直しは積み上がります。1本のAIエージェントで直したこと、たとえばファイル名の付け方やメールの書き方は、ほかのAIエージェントにもそのまま効き、早く始めた人ほど先へ行きます。AIエージェントが普及しても、ほとんどの人は他人が作ったAIエージェントを使う側に回るので、この差は埋まらないはずです。

よくある疑問

Q:AIが人の作業を見て、手順を自分で書くようになれば、差は埋まるのではないでしょうか。
A:差は残ると思います。手順を書く手間は減っても、出来上がったものがこれでよいかを決める人は残るからです。どんな出来上がりなら合格かが書かれていない仕事は、作業を見て覚えたAIにも正解が分かりません。

Q:AIエージェントを使いこなすには、プログラミングを学ぶ必要がありますか。
A:必要ありません。手順は日本語で書けます。要るのは、自分の仕事でどんな出来上がりなら合格かを言葉にし、外れたら直し続けることです。

会社は、今の3分の1の人数で回るようになる

私は、会社が同じ売上を今の3分の1の人数で上げられるようになると見ています。営業も例外ではありません。営業の時間のうち、お客様と会っている時間は一部で、残りは書類づくりや連絡、報告に使われているからです。人数は、解雇より、採用を止める形で減っていくと思います。

あなたの仕事のうち、自分で手順を書けるものはいくつあるでしょうか。

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