社内でDXを推進するチーム(以下、DXチーム)がAIエージェントで直接部門の仕事を減らしたら、DXチームは直接部門で浮いた時間を金額に直して記録します。その記録が、DXチームの付加価値を示す数字になります。
しかし、仕事が減って楽になり、成果が上がるのは直接部門です。DXチームの手元に成果の数字を残すには、何をどう数えればよいのでしょうか。
DXチームの成果は直接部門の側に出る
AIエージェントで改善する対象は、たいてい営業や現場など直接部門の仕事です。時間が浮くのは直接部門で、DXチームの手元には数字が何も残りません。成果の測り方を決めずに始めると、成果が出ても、DXチームの付加価値は示せません。
IPA(情報処理推進機構)の「DX動向2025」によると、DXの成果指標を設定している企業の割合は、日本が27.4%、米国が89.8%、ドイツが82.7%です。同じ調査は、目標が定められていない場合、成果が出てもそれを適切に評価することは難しいと書いています。
DXチームが直接部門から料金を取ると、部署同士が対立する
では、成果を数字にするために、DXチームが直接部門から料金を取ればよいのでしょうか。1件いくらで料金を取れば、DXチームの収入として成果は見えます。
しかし、同じ会社の中でお金のやりとりが生じると、DXチームと直接部門が、請求する側と請求される側に分かれます。成果が大きいほど請求額も増え、「DXチームが儲けすぎている」と見られます。料金を取ると、成果が出るほど直接部門との関係がこじれやすくなります。

直接部門が自分でエージェントを動かしても、修正はDXチームの仕事として残る
DXチームに料金を払うくらいなら、自分たちでエージェントを動かすと言い出す直接部門も出てきます。直接部門の担当者がエージェントの使い方を覚えれば、ファイルを置く、出来上がりを確かめる、止まったものを手で直す、までは直接部門でできます。
ただ、直接部門が使っているサイトの画面が変わったときにエージェントを直すことや、仕事のやり方が変わったときに手順を組み直すことは、直接部門の担当者には難しいままです。ここが止まると、仕事は手作業に戻ります。直接部門が自分でエージェントを動かす形にしても、エージェントの修正はDXチームが担い続けることになります。
料金のやりとりはせず、浮いた時間とその金額を記録する
料金を取らなくても、DXチームの付加価値を数字で残す方法があります。直接部門で浮いた時間を、金額に直して記録することです。出し方は以下のとおりです。

DXチームの付加価値は、直接部門ごと、月ごとの浮いた時間と金額で示せます。
記録は、直接部門には報告として届き、DXチームには評価の根拠として残る
直接部門に届くのは、「今月はこれだけ時間が浮いた」という報告です。DXチームにとっては、生んだ価値を金額で示す材料になります。直接部門は楽になり、DXチームは評価されます。この2つが同時に成り立ちます。
DXチームが部署ごとの数字を毎月見せ続けると、直接部門が自分でエージェントを動かすかどうかを考えるときの判断材料にもなります。
よくある疑問
Q:社内ポイントで評価する形ではだめでしょうか。
A:ポイントにすると、1ポイントがいくらかの説明から始めることになり、経営に伝わりにくくなります。時間と金額で記録すれば、そのまま経営に伝わります。
Q:1件あたりの削減時間がわからないときは、どうすればよいでしょうか。
A:エージェントに任せる前の手作業で、1件にかかっている時間を実際に測ります。
料金は取らずに、浮いた時間の記録を始める
直接部門から料金を取ることを考えているなら、料金の代わりに、エージェントが処理した件数と1件あたりの削減時間の記録を始めてみてはいかがでしょうか。記録が毎月積み上がれば、料金を取らなくても、DXチームの付加価値を金額で示せます。



