推し活のアクスタを旅行に持って行き、景色と一緒に写真を撮るのはなぜか?

推し活で、旅行先の景色の前にアクスタを立てて写真を撮るのは、推しを物に宿らせて、一緒に旅をするためだと思います。物に誰かを宿らせて一緒に移動する形は、日本に昔からあります。

しかし、アクスタに写っているのは推しの絵や写真です。絵と一緒に撮った写真が、なぜ推しと旅をした記録になるのでしょうか。

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アクスタは、推しを宿らせて持ち歩くための物である

アクスタ(アクリルスタンド)は、推し活で使われるグッズの1つで、推しの絵や写真をアクリル板に印刷して、立てて飾れるようにした物です。旅先でアクスタと写真を撮る人にとって、アクスタは推しがその場にいることを示す物になっていると思います。

神霊がよりつく物には、依代という名前があります。小学館の日本大百科全書は、依代を「神霊のよりつく代物」と説明し、物体を指す語としています。木や石のような物でも、神霊がよりつくことで祭りの対象になります。

推しのぬいぐるみと写真を撮る「ぬい撮り」も、同じ形です。SHIBUYA109 lab.が2025年1月に15歳から24歳の女性507人に聞いた調査では、33.6%が「ぬい」を人格化していると答えました。

物に宿らせて一緒に移動する形は、神輿と四国遍路の杖にもある

アクスタを持って旅をする形と同じ形は、神社の祭りの神輿と、四国遍路の杖にあります。神輿も遍路の杖も、神仏を宿らせて、一緒に移動するための物です。

滋賀県の日吉大社は、神輿は神様を一時的にお祀りして運ぶためのものだと説明しています。神輿ができる前は、神様を神木の枝に乗せて移していました。

四国遍路の巡礼者は、笠や杖に「同行二人」と書きます。四国八十八ヶ所霊場会によると、これは巡礼者に弘法大師が常に付き添っているという信念を表した言葉です。杖は弘法大師の魂が形になったものとされ、巡礼者は1日の終わりに杖の先を洗います。

信仰の中身は違っても、誰かを物に宿らせて、その物と一緒に移動する形は共通しています。この古い形を、アクスタという新しいグッズで行っているのは、極めて面白い文化だと思います。

旅先でアクスタを入れて写真を撮るのは、推しと一緒に旅をした記録を残すためである

推し活で、推しを宿らせたアクスタを旅行に持って行き、景色と並べて写真を撮ると、その写真が旅の記録になります。その1枚は、推しと一緒にその場所へ行ったことを残す写真です。

SHIBUYA109 lab.の同じ調査では、「ぬい」を日常的に持ち歩いたりお出かけしたりする人が39.4%、モノや景色と一緒に写真を撮る人が37.9%でした。グループインタビューでは、ぬいを友達や家族のような存在として扱い、一人ではない安心感を得ている人がいたと報告されています。

神輿は祭りの日に町を回り、遍路は88か所の寺を回ります。旅先のアクスタも、推しを連れて場所を回り、その場所に推しがいたことを写真に残しているのだと思います。

推しと一緒に写るのは、推しと一体になっている感覚の表れである

推しと一緒に写る写真を撮りたくなるのは、推しと一体になっている感覚があるからだと思います。推し活の研究では、推しと一体になっている感覚を持つファンほど、推し活を続けたいと考えていました。

成蹊大学の井上淳子氏と上田泰氏は、550人のアイドルファンを調べ、『マーケティングジャーナル』43巻1号(2023年)に結果を発表しました。ファンが推しに抱く「自分のものだ」という感覚は、推しと一体になっている感覚と、自分が支えなければという責任の感覚に分かれていました。

推しと一体になっている感覚は、まず同じ推しのファンを仲間だと思う気持ちを強めます。その仲間意識が、推し活を続けたいという意向を高めていました。

この研究は、アイドルファンが推しに対して持つ意識を調べたもので、写真を撮る行動は調べていません。旅先でアクスタと並んで撮った1枚は、その一体感を目に見える形にしたものだと思います。

よくある疑問

Q:推し活でアクスタを旅行に持って行き、写真を撮るのは、最近始まった文化なのでしょうか。

A:グッズとしてのアクスタは新しいものです。一方で、誰かを物に宿らせて一緒に移動する形は、神輿や同行二人のように昔からあります。旅先のアクスタは、この古い形と同じことを、新しいグッズで行っているものだと思います。

Q:ぬいぐるみと写真を撮る人と、アクスタと写真を撮る人は、違うことをしているのでしょうか。

A:どちらも推しを物に宿らせて持ち歩き、景色と一緒に撮る点は同じです。ぬいは抱えられる柔らかさがあり、アクスタは薄くて立てて撮れる形をしています。

アクスタと撮っている人は、推しと一緒に旅をしている

旅先で、景色の前にアクスタを立てて撮っている人を見かけたことはありますか。その1枚には、推しと一緒にその場所へ来たという記録が残っています。

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