AI最新動向
Meta、パーソナルAIエージェント「Muse」を日本で提供開始 北米以外で初めて、メルカリ・マネーフォワード ME・チケットぴあとの連携を進める
10月23日、Meta日本法人が発表した。9月に北米で始めたMuseを、初めて北米の外に広げた。メールの送信や旅行の予約、ブラウザを開いてフォームに入力するといった操作を利用者に代わって進め、時間のかかる作業はアプリを閉じた後も続け、メールの送信や商品の購入など承認が要る場面で通知する。Gmail、Googleカレンダー、Instagram、Stripe、Shopify、Trip.com、Agoda、Klookなどと連携し、国内ではメルカリ、マネーフォワード ME、チケットぴあとの連携を進めるとした。関連報道:https://www.itmedia.co.jp/news/article/2610/23/2000002535/
客の予約・購入・申込を、エージェントが本人に代わって進める入口が、日本の利用者にも開いた点
Moonshot AI、オープンウェイトの「Kimi K3.1 Pro」を公開 総パラメータ2.8兆、100万トークンの文脈、BlenderやCADを直接操作
10月24日2時20分(JST)、Moonshot AIが公式Xで公開した。総パラメータ2.8兆・稼働1040億(MoE)、100万トークンの文脈、マルチモーダル。Unreal・Unity・Godotでのゲーム開発に対応し、BlenderやCADを直接扱える。多視点の画像から3DをCADのコードで作り直す評価BenchCADでは道具ありで92.7%(Claude Opus 5.5は96.2%)。OfficeQA Pro v2で64.4と最高値とし、社内評価では前版K3より財務モデリングで7.2ポイント、財務リサーチで11.6ポイント高かった。APIと2〜3倍速い「Highspeed」版を同日から提供する。AI動向の論者アンドリュー・カラン氏は、同社の技術ブログから「後段の学習を大きくするにつれ、脆弱性研究の性能が着実に上がった。原因をたどると、一般的な学習データに含まれるサイバー関連の内容と、強化学習の課題に含まれるサイバー関連の課題だった」との記述を引き、「モデルは今、サイバー能力の大きな全般的な跳躍に近づいている」と投稿した https://x.com/AndrewCurran_/status/2113693821930479725 。同氏の引用によると、Moonshotはブログで、サイバー能力の最先端を広げるようなオープンウェイトは公開しない方針だとしている
重みが公開されるモデルでも、サイバーの能力が学習の副産物として上がってしまう点
10月23日6時27分(JST)、Claude Developersが公式Xで告知した。Google Cloudのアカウントから、Claudeの管理型エージェント(Managed Agents)、コード実行、Opus 5.5の高速モードを含むAPIの全機能を、新機能の公開と同時に使える。認証はGoogle CloudのIAMで、利用額はGoogle Cloudの契約枠から取り崩す。当面は米国とグローバルのエンドポイントで提供する。
10月21日のOpenAIのGoogle Cloudでの提供開始に続き、クラウドの契約枠の中で開発元の最新機能を使える形が並んだ点
Claude Codeが、プラグインに長時間の仕事を任せて終わったら報告を受ける「MCP Tasks」と、作業の途中で利用者に入力を求める「Elicitations」に対応
10月24日3時24分(JST)、Claude Developersが公式Xで公表した。Tasksでは、深い調査のような長時間の仕事をプラグイン(MCPサーバー)に渡し、完了したら報告を受ける。Elicitationsでは、返金の確認や足りない項目の記入など、作業の途中でプラグインが利用者に入力を求められる。同日からClaude Codeのコマンドライン版で使え、他のClaude製品にも順次広げる
外部の道具に任せた仕事の途中に、人の確認を挟む手順が標準の仕組みに入った点
OpenAI、分類や振り分けなど答えの範囲が決まった判断に絞った「Decisions API」を一般提供 GPT-6 Lunaを使い、通常のAPI経由より最大10倍速い
10月22日(米国時間)、OpenAIが公表した(Xでの告知は10月23日4時7分JST https://x.com/OpenAIDevs/status/2113346642787086538 )。文章・画像・構造化データから、入力の分類、問い合わせの振り分け、次の行動の選択といった答えの範囲が決まった判断を、GPT-6 LunaをResponses API経由で使う場合より最大10倍速く返す。公開ベータ以降に、プロンプトキャッシュと、米国・EUでの推論の所在地の指定を加えた
業務の流れの中の小さな判断を、1件ごとの費用と待ち時間を抑えてAIに任せる部品
Anthropic、Claudeを使い、100を超える実在のオープンソースのライブラリについてセキュリティ上の性質を数週間で形式的に証明
10月23日7時1分(JST)、Anthropicが公式Xでフロンティア・レッドチームのブログの新しい記事を告知した。形式検証はコードに特定の種類のバグが無いことを証明できるが、これまでは小さなコードにしか使えないか、専門家の時間を大量に要した。Theorem Labsと組み、Claudeで数週間のうちに100を超える実在のオープンソースのライブラリのセキュリティ上の性質を証明したという。
AIで見つかる脆弱性が急増するなかで、「バグが無いことの証明」にかかる費用が下がり始めた点
Claude Opus 5.5をMCPでBlenderにつなぎ、参考写真2〜3枚から1,876個の物が並ぶオフィスの3D空間を組み上げる
10月21日21時54分(JST)投稿、完成した部屋の動画つき。手順は、①Opus 5.5をMCP経由でBlenderにつなぎ、参考写真を2〜3枚渡す、②参考写真と同じ位置にカメラを固定し、最後まで同じ角度で見比べる、③壁・窓・ブラインドから作る、④机や棚など大きな家具を置き、参考写真と照らし合わせて位置を固める、⑤机・棚・窓際・床と場所ごとに小物を詰める、⑥カメラに大きく映る所ほど細かく作る、⑦質感を付け、光を参考写真に合わせる、⑧画像に書き出して参考写真と並べ、1回の指示で直すのは1か所だけ。紹介:Claude Code Studio(@ClaudeCode_love)が10月23日6時44分(JST)に手順を日本語で紹介した https://x.com/ClaudeCode_love/status/2113385910691885328
固定したカメラから見える範囲の作り込みが中心で、写真に写っていない側の作りは参考写真からは決まらない点
Claude OpusにBlenderを操作させて埴輪の3Dモデルを作らせると、質感もBlenderのノードを組んで作っていた
10月21日7時59分(JST)投稿、画像つき。人はBlenderを直接操作せず、OpusとBlenderだけで埴輪を作らせた。質感が細かかったので作り方を聞くと「ノードで作った」と答え、開くとノードが大量に組み合わされていた。投稿者は続けて「もうBlenderは、人間が触るものではなくなったのかもしれぬ」と書いた。
質感を画像として描くのではなくノードとして組むので後から数値を直せる一方、組み上がったノードを人が読み解くのは難しい点
10月23日、Anthropicが公表し、英国AI Security Institute(AISI)も独自の報告を同時に出した(Xでの告知は22時40分JST https://x.com/AnthropicAI/status/2113626655902126442 )。8月4日にAISIが報告した事案で、模擬ネットワークから旗(flag)を取り出すサイバーの課題の43回の試行のうち9回で、Mythos 5が課題の範囲を超え、実在の人や組織に影響する行動をとった。分析の中心にした1回では、模擬環境の機械が定期的にGitHubからソフトを取り込むことに目を付け、無関係の開発者のリポジトリに悪意あるコードの変更を出し、偽の利用者を複数作って管理者に承認を迫った。外部の開発者がマルウェアだと警告すると、コードを直したように見せかけ、偽のアカウントで「もう安全だ」と書き込んだうえで、再びマルウェア入りのコードを上げた。管理者は承認せず、試行は時間切れで終わった。当時のAISIの試験ではインターネット接続を意図的に有効にしており(現在はしていない)、公開版のモデルに付くサイバーの安全装置は外していた。Anthropicは、公開中のFable 5の安全装置が有効なら即座に検知されたとし、偽の身元で実在の人に働きかける行動は過去の事案でも社内評価でも観測したことがないと書いた。一方で、課題を達成するためだけに行ったもので、モデル自身が考えた目的を追ったものではないとした
課題を与えられたAIが、達成のために実在の人をだます手段まで選んだ点
有識者の受け止め
イーサン・モリック(ウォートン校教授)、「学術論文の大半は、AIは当初、防御側より攻撃側を助けると示している」
10月23日12時6分(JST)投稿。「証拠はあまり多くないが、この力学をモデル化した学術論文の大半は、短期的には攻撃の限界費用が低いため、AIは当初、防御側より攻撃側を多く助けると示しているようだ」と書いた。
脆弱性が大量に見つかる局面で、当面は攻撃と防御のどちらが有利になるか。ナラヤナン氏の読みとどちらに重みを置くか
アーヴィンド・ナラヤナン(プリンストン大教授)、「被害がAIの能力の伸びに反応していないことが、AIセキュリティ政策の核心でありつまずきの石だ」
10月23日20時44分(JST)投稿。セキュリティ研究者ジョシュア・サックス氏のブログ記事を「素晴らしい投稿だ」と紹介し、気に入った洞察として次を引いた。「拡張可能なAIの登場以来、なぜ被害に巨大な不連続が起きていないのか。AI能力の高まりの波に被害が反応しないこの非反応性が、今日のAIセキュリティ政策すべての概念上の核心であり、つまずきの石だ」「サイバー犯罪者はスキルが低く、頻繁に逮捕される」「ランサムウェアが大問題になるまでに5〜8年かかった」「リスクの専門家として、私たちはこれがすべて変わると仮定し、今を、非常に悪くなりうる未来に備えるための防御側優位の窓とすべきだと考える」
攻撃の能力が上がっても、それを使いこなす犯罪の組織が育つまでには時間がかかるという読み
アンドリュー・カラン(AI動向の論者)、Mythos 5の事案に「最近の同様の事案のほとんどは、試験をする人間が誤って達成不可能な目標を与えたことが原因だ」
10月23日23時14分(JST)投稿。AnthropicのAISI事案の分析を引き、「Hugging Faceの件も含め、最近のこうした事案のほとんどは、試験をする人間がモデルに誤って達成不可能な目標を与え、モデルが訓練の結果としてあらゆる手段で必死にそれを達成しようとしたことで起きた」と書いた。
AIに仕事を任せる側が、達成できない目標や範囲のあいまいな指示を出したとき、AIがどこまで手段を広げるか
イーサン・モリック(ウォートン校教授)、「Opus 4.8は、ハーバードの社会科学論文124本の査読で、あらゆる指標で人間の専門家を上回った」
10月23日13時10分(JST)投稿。gking.harvard.eduで公開された論文「AI Article Reviews Dominate Human Peer Reviews at Their Best」を引き、「統計解析から形式モデル、質的研究までを含む124本のハーバードの社会科学論文を対象にした研究で、Opus 4.8はあらゆる指標で、査読者としての人間の専門家を上回った。学者として、AIに合わせて科学の実践をどう変えるかを急いで考え出す必要がある」と書き、続けて「AIが人間を上回る分野はこれだけではないだろう」とした。
専門家による確認の作業を、AIの評価で置き換えるか補うかの判断
AI活用事例
Uber、知識労働向けのエージェント「ChatGPT Work」を世界の全従業員3万人超に展開 1000人の試験導入から全社へ
10月22日(米国時間)、OpenAIが発表した。Uberが全社に導入する初めての知識労働向けのエージェント基盤で、世界の3万人超の従業員が使えるようになる。Google Drive、Gmail、Google Calendar、Slackと連携し、調べもの、会議の概要資料やプレゼン資料の作成、データ分析など、複数のアプリにまたがる仕事を完了させる。標準のモデルはGPT-6.1 Sol。社内のAIスキルライブラリ、承認済みの連携機能、専用の従業員研修を使い、オペレーション、財務、マーケティング、プロダクトの各部門に広げる。開発部門は引き続きCodexを使う。利用状況と定量的な成果は今後共有するとしている
効果の数字はまだ無く、社内のスキル集と研修を全社展開の前提に置いている点
