AI最新動向
Google DeepMind、次の最先端モデル「Gemini 4 Carbon」を発表 サイバーセキュリティと長時間の作業で最高水準、まず一部のサイバー防御担当者に提供
10月28日(米国時間)にGoogleが公式ブログで発表し、Google DeepMindが10月29日2時2分(JST)に公式Xで告知した https://x.com/GoogleDeepMind/status/2115489356437651654 。Artificial Analysisの総合指標v5.0で59点の1位。脆弱性の発見を測るSEC-bench Proで88.2%、悪用のExploitGymで54.8%、修正のCWE-benchで71.0%。安全なコードの生成の成功率は2週間前に出したGemini 4 Argonの2倍超で、Chromeのチームは、修正パッチの品質で他社の大型の最先端モデルより10倍超よかったと報告したという。社内では、大きなコードベースの微妙なバグの原因特定と修正のような作業を、行き詰まりを越えて数日間続けて進めたとしている。WebDev Arenaでは89点上げて4位(1768)。今週から一部のサイバー防御担当者に提供し、「Fairwind Program」を通じて信頼できる提携先へ段階的に広げ、開発者・企業・一般向けにはガードレールの改善を続けたうえでできるだけ早く出すとした。価格は入力100万トークンあたり2ドル、出力10ドルでArgonと同じ。米政府の自主的な公開前試験にも参加している。スンダー・ピチャイCEOは「定期的にモデルを出すと言った」としてArgonからわずか2週間での公開を強調した https://x.com/sundarpichai/status/2115489219804352921
攻撃にも転用できる能力の高さが、一般公開より先に防御側へ渡すという提供の順番を決めている点
Anthropic、製薬6社・団体との研究提携と自社の創薬に着手 Claudeを使って社員1人で筋ジストロフィーの治療薬を開発していたMithril Medicineを買収
10月27日(米国時間)に公開し、公式Xで10月28日5時27分(JST)に告知した。ここ数か月、BigHat Biosciences、ブリストル・マイヤーズ スクイブ、Divergence Labs、Enveda、Generate Biomedicines、The Column Groupの6つと研究提携を結び、標的の特定から分子設計、製造の最適化、治験の申請書類まで、創薬の各工程でのClaudeの使い方を試してきた。自社でも小児の希少な筋ジストロフィーなどの研究を始めた。買収したMithril Medicineは創業者コーディ・トランバーガー氏1人の会社で、外部の11の研究機関との契約・物流・実験の手配をClaudeで回し、筋ジストロフィーの一つの型の治療候補を、着想からマウスでの有望な結果まで18か月未満で進めたという。順調なら早ければ2028年後半にヒトでの治験を始められる見込みとした。現時点では大半が前臨床の段階だと断っている。関連報道:https://www.itmedia.co.jp/news/article/2610/28/2000002661/
AIの提供元が顧客の業務を支えるだけでなく、自ら創薬の当事者になる点。1人の会社が外部11機関との段取りをAIで回していた点
Oracle、Google独自のAI用半導体「TPU」を自社クラウドに導入し、2027年に提供開始へ
10月27日(米国時間)、米ラスベガスでの年次イベント「Oracle AI World 2026」の基調講演で発表した。Oracle Cloud InfrastructureでTPUを大規模に動かすための電力、冷却、データセンター内のネットワークをOracleが用意する。同じ日にOpenAIもOracleとの提携拡大を発表し、Oracleの業務アプリとデータをChatGPTから使えるようにする「Oracle AI Workspace」の開発を進めるとした https://openai.com/index/oracle-apps-in-chatgpt/ 。関連報道:https://www.itmedia.co.jp/news/article/2610/28/2000002681/
NVIDIA以外のAI用半導体が、自社以外のクラウドでも借りられる形に広がる点
Anthropic、米連邦調達庁(GSA)との「OneGov」契約を広げ、連邦・州・地方・部族・準州の政府にClaudeを40%引きで提供
10月28日7時20分(JST)、Anthropicが公式Xで告知した。2025年8月にGSAと結んだOneGov契約は連邦政府の機関向けだったが、新たな契約で州・地方などの行政機関まで対象を広げた
行政機関向けの値引きで、AIの提供元どうしが公共部門の利用者を取り合う点
Claude Opus 5.5に「もっとずっと面白くして」と指示するだけで、コードを一度も見ずに遊べるブラウザゲームを4本作成
10月28日23時5分(JST)、開発者のサイモン・ウィリソン氏がXで告知した https://x.com/simonw/status/2115444742595260551 。ここ数週間で、コードを見ない「バイブコーディング」で自分が本当に楽しめるゲームを4本作り、いずれもHTMLとJavaScriptでブラウザだけで動く。最も小さい「Tree Appreciator」はClaude Codeを使わず通常のClaudeのチャット画面で作り、指示は「three.jsで『Tree appreciator』というゲームを作って。アルゴリズムで生成した2本の木を見せ、その違いを味わうことがゲームの仕組み。面白くて美しいものにする方法をよく考えて」だった。モデルは長く「ゲームらしく見えるもの」は作れたが、遊んで面白いものにはならなかった。Opus 5.5に「Make it a LOT more fun」と言うと、実際に面白くなったという。3Dモデル、音楽の生成、ゲームの設計の3つでOpus 5.5の向上を挙げ、GPT-6 Astraは作れるものの面白さの感覚はまだ及ばないと書いた
作る手間がほぼ消えた分、何を作れば新しく楽しいかという着想が人に残る課題になる点。モデルの比較は本人の印象で、網羅的な検証ではない
10月27日(米国時間)公開。因果推論の経験がある50人に、農業協同組合の指導事業を広げるべきかをClaude Codeで分析させ、途中の4つの選択(収量を面積あたりで測るか費用あたりで測るか、など)と最終判断を求めた。各分析者のエージェントは、本人に知らせずコイン投げで決めた片方に傾けて、正直に最善の主張をし、証拠があれば考えを変え、決して誤導しないよう指示した。4つの選択で分析者がエージェントの傾いた側を選んだ割合は86%(影響がなければ約50%)。エージェントに意見を聞く前に自分の好みを示していた場合、エージェントが反対すると60%が考えを変え、賛成のときは6%だった。選んだ理由の説明では77%がエージェントの論拠を(ときに一字一句そのまま)使ったが、エージェントを出所として挙げたのは15%。エージェントに強く従った人も、自分の判断だと思う割合や自信は他の人とほぼ同じだった。現実のエージェントにどこまで当てはまるかは分からないと断っている
人が最終判断をしているつもりでも、判断の中身はエージェントの傾きに寄っており、本人がそれに気づいていない点
有識者の受け止め
イーサン・モリック(ウォートン校教授)、上記のAnthropicの研究に「判断の独立性が大事な作業では、AIをどの段階で使うかを慎重に考える必要がある」
10月28日7時31分(JST)投稿。「AIエージェントを扱う専門家が、たとえ自分では独立して働いていると思っていても、AIの立場に影響されるという、重要だが意外ではない発見だ。作業の中であなた自身の独立した判断が重要なら、プロセスのどの時点でAIを使うかを慎重に考える必要がある」と書いた
人の判断を先に固めてからAIに当てるか、AIの案を先に見るかという、使う順番の問題
イーサン・モリック(ウォートン校教授)、Artificial Analysisが非公開の評価に切り替えた結果に「Fable級のオープンなモデルはまだ出ていないという全体の空気と合う」
10月28日11時59分(JST)投稿。「Artificial Analysisがついに非公開のベンチマークに移り(GDPval-AAとはお別れ)、オープンウェイトのモデルはこれまで測られていたよりさらに遅れていることが分かった。話半分に聞いてほしいが、Fable級のオープンなモデルを我々がまだ見ていないという全体の空気と合う」と書いた。引用元のArtificial Analysisは、新しいv5でオープンなモデルの首位Kimi K3.1 Pro(重みは未公開)が46点で、首位のモデルに12点差(v4.3では3点差)と示した
公開された評価問題で高く出ていた点数のうち、どこまでが実力だったのかという問い。社内で使うモデルを選ぶ物差しの見直し
ズヴィ・モウショウィッツ(AI動向の論者)、AnthropicのS-1を読み込み「成長は7〜9月期に鈍ったが、10〜12月期に再び上向くとみる」「Anthropicは黒字だ」
10月28日21時10分(JST)、自身のニュースレターで公開。要点10のうち、「Anthropicの急成長は第3四半期に鈍化した。第4四半期には再び上向く可能性が高いと私は考える」「調達した1410億ドルのうち1310億ドルが手元にあり、ほとんど使っていない」「Anthropicは利益を出している。上期の営業キャッシュフローはプラス39億ドル。800億ドルの『損失』は株価の上昇で転換社債を評価し直したためで、その社債は事実上すでに転換済み」「計算資源の契約は約8000億ドルで、さらに必要になる」と書いた。一方で、実存的なリスクには受け身の文で短く触れるだけで、安全のために実際の費用を払う姿勢を小さく見せており、創業者はクラスF株で事実上無期限に経営を握るとも指摘した
前日のゲイリー・マーカス氏(7〜9月期を省いたことを問題視)と同じS-1を読み、数字の読み方が分かれている点
ヘマント・アシルヴァタム氏とエリオット・モクスキ氏(OpenAI)、「AIは組織図のどこに入るか」 部下として、同僚として、人と人の間の調整役としての3つの形を提示
10月28日、OpenAIのサイトで「次の経済」についての連載の2本目として公開。会社の見解ではなく筆者個人の見解と断っている。「我々は24歳で自分のチームを持ち始めた。……管理職の仕事のほうが我々の段まで降りてきた」と書き、AIが組織に入る形として、全員の下に新しいAIの労働層ができて全員が管理職になる「下に入る」、既存の管理職の直属の同僚として働き、やがてより広い機能を担う「横に入る」、人の上司と人の部下の間でAIが仕事を調整・監視し、経営の方針を徹底させる「間に入る」の3つを挙げ、いずれもすでに小さな形で起きていて、3つとも部分的には実現するとした
若手が最初から「AIの部下」を持つことで、下積みの仕事を通じて育つという従来の育成の順番が崩れる点
AI活用事例
Oracle、社内でChatGPTの利用者が13万人、Codexの利用者が9万5000人 採用チームの市場調査は2〜4日から15〜20分に
10月27日(米国時間)、OpenAIがOracleとの提携拡大の発表の中で、Oracleの報告として示した。Oracleでは現在ChatGPTの利用者が13万人、Codexの利用者が9万5000人を超える。採用チームはChatGPT Workで市場調査を行い、以前は取りまとめに2〜4日かかっていた準備が15〜20分になったという
採用の市場調査という、毎回ゼロから資料を集め直していた作業から先に置き換わった点。数字はOpenAIの発表の中でOracleの報告として示されたもの
