京都府木津川市の市立小学校で、給食費や教材費などの学校徴収金に、2012年度からの総計で約5400万円の不足が出ていたと、市教育委員会が2026年11月2日に発表しました。保護者の未納を督促しないまま、不足が積み上がっていました。
そのうち約3700万円は、校長と元事務職員が市教委に報告しないまま、自分のお金で埋めていました。なぜ2人は、市教委に報告せず自分のお金で埋めたのでしょうか?
校長が自分のお金で埋めたのは、大ごとにせず学校の中で終わらせたかったからである
校長は理由を、市教委に説明しています。校長は、大ごとにしたくなく、立て替えて学校の中で問題をおさめて終わらせたかったと話しています。
産経新聞によると、元事務職員は、業務に行き詰まって適切に処理できなかったと話しています。これは督促できなかった理由で、元事務職員が自分のお金を出した理由は、報道には書かれていません。朝日新聞によると、校長は自分のお金を出した理由を「学校運営を複雑にしたくなかった」とも説明しています。産経新聞によると、市は、2人に私的な流用はなかったとしています。
産経新聞が報じた、自分のお金で埋めた時期と額は以下のとおりです。
| 埋めた人 | 時期 | 額 |
|---|---|---|
| 元事務職員 | 2021〜2024年度 | 約2000万円 |
| 校長 | 2024年5月〜2025年5月 | 約1700万円 |
| 校長(発覚後) | 2026年9月まで | 約900万円 |
発覚後の約900万円は、校長が管理監督の責任があるとして埋めたものです。
学校が集める給食費は市の会計の外にあり、学校の中で埋めれば市教委に届かない
では、なぜ報告しないまま埋め続けることができたのでしょうか。給食費を学校が集めて払う形では、お金が市の会計に入らないので、学校の中で埋めれば市教委に不足が伝わりません。
文部科学省が2019年に出した学校給食費徴収・管理に関するガイドラインは、学校が集める会計は自治体の会計から独立していて、多くの場合、自治体の監査を受けないと書いています。帳簿の管理が十分でなく残高が分からなくなる例や、担当者がお金を流用する例も、時折起きてきたとしています。
この小学校の会計が市の監査を受けていたかは、報道からはわかりません。分かっているのは、2012年度からの不足が、市教委に届かなかったことです。学校の中で誰かがお金を出せば給食センターへの支払いは続き、市教委が見る数字には何も表れなかったのだと思います。
不足は、給食センターへの支払いが止まって初めて市教委に届いた
それでは、なぜ今になって明るみに出たのでしょうか。2026年6月、2025年度末の給食費が学校から給食センターに払われず、センターが市教委に報告して発覚しました。
元事務職員は2025年3月に退職し、校長が自分のお金で埋めていたのは2025年5月までです。発覚したのは、校長が埋めるのをやめてから約1年後の、年度末の支払いが止まったときでした。
自分の市の給食費を、市と学校のどちらが集めているかは確かめられる
この仕組みは、木津川市の小学校だけのものではありません。給食費の納め先が市なのか学校の口座なのかを見れば、自分の子どもの学校の給食費が市の会計に入っているかが分かります。
文部科学省のガイドラインは、自治体が自ら給食費を集めて管理する「公会計化」を求めています。自治体の予算に入れれば、監査が届き、お金の流れが見えるようになるからです。
残る疑問
ここまでで分かったのは、何が起き、どう明るみに出たかまでです。残る4つの疑問は、学校のお金の流れを誰が確かめ、誰が責任を負うのかという、組織の管理の問題です。
何年にもわたり、なぜ表に出なかったのか
市教委がなぜ気づかなかったのかも、この小学校で市教委が学校の帳簿を確かめる機会があったのかも、報道からはわかりません。学校が集めるお金は市の会計の外にあり、市の監査が届かないことが多いと、文部科学省のガイドラインは書いています。
どのように自分のお金で埋めたのか
報道に書かれているのは、誰が、いつ、いくら埋めたかまでです。学校の口座に入れたのか、給食センターなどへ直接払ったのか、帳簿にどう書いたのかは書かれていません。どの口座を通った記録が残っているかも、報道からはわかりません。
校長が入れ替わっていたなら、なぜ気づけなかったのか
元事務職員は2012年度から2025年3月まで同じ学校に勤めていました。その間に前任の校長がいたか、引き継ぎで会計を確かめたか、不足を知っていたかは、報道からはわかりません。担当者が長く替わらず、上に立つ人だけが替わる形では、引き継ぎで帳簿と口座の残高を突き合わせない限り、不足は次の校長に見えないと思います。
残りを今の校長が払うよう求める論拠は何か
市教委は、不適正な処理で管理監督の責任があったとして、今の校長に残りの不足分を払うよう求めています。報道で確認できた論拠はこの一言で、どの規則に基づくのか、残りがいくらか、前任の校長がいた場合にその責任を問うのか、未納だった保護者にこれから請求するのかは書かれていません。
お住まいの市の給食費は、誰がお金の流れを確かめているでしょうか。





