AI最新動向
マイクロソフト、Copilotを「仕事のための新しいOS」として刷新 Autopilot・Code・Home・Officeの4つを統合
9月25日午後9時5分(JST)、サティア・ナデラCEOが投稿。「あらゆるモデル、あらゆるフォームファクター、あらゆるタスクにわたる新しい仕事のためのOS」としてCopilotを作っているとし、これまでで最大のアップデートで4つを統合すると述べた。Autopilot(エンタープライズ向けに構築されたプロアクティブで長時間稼働するエージェント)、Code(Copilotでアプリを構築し、会社のテナント内にホスト)、Home(ChatとCoworkを一緒に)、Office(完全にCopilotへ組み込み)。あわせてTeamsからCopilotを呼び出せるようにし、M365全体から重要な情報を質問なしで表面化する「Today」を導入する。同日午後10時23分の別の投稿では「新しいCopilotの背後にある動機:知能は急速に加速している。今こそ、それをあらゆる場所に広める必要がある」と書いた
日常の業務ソフトの側が「質問に答える」から「代わりに仕事をこなす」へ再定義されており、社内でAIを配る単位がツールから業務環境そのものへ移る点
アンソロピック、Claudeが素粒子物理の9ループ振幅を計算 費用は1000〜2000ドル、人間のグループも数日後に独立して到達
9月25日(米国時間)、同社の科学ブログにゲスト投稿として公開。元理論物理学者で科学ライターのマット・フォン・ヒッペル氏が自身のブログで出した挑戦に、アンソロピックの物理学者リアム・フィッツパトリック氏とシッダールト・ミシュラ=シャルマ氏が応じたもの。課題は「N=4 超対称ヤン・ミルズ理論」という模型で9ループまでの散乱振幅を計算すること。実際の粒子物理では2ループまでの計算がほとんどで、最も精密な予測でも5ループにとどまる。使ったのはFable 5.1で、科学者向けの有料基盤「Claude Science」の上で動かし、与えた指示は「planar N=4 SYM における6粒子(六角形)振幅を9ループで計算せよ」という1行と、あとは続けるよう促すコメントだけだった。費用は利用者換算で1000〜2000ドル程度で、大半はClaudeを長時間動かした分。Pythonのライブラリ SymPy を使った計算部分は96CPUを1週間動かして約100ドルだった。なお数日後、中国科学院の Song He 氏のグループからも同じ結果に到達したとの連絡があった
1行の指示から最先端の計算に届いた一方、同じ結果へ人間の研究室も数日差で到達しており、速さの差がどれだけあったかは別途問われる点
グーグル、企業向けに「Gemini 3.8 Live with Live Avatar」を提供開始 対話に低遅延の映像を重ねる
9月24日(米国時間)公表。前週に出したGemini 3.8 Liveに、ほぼリアルタイムの映像生成を組み合わせたもの。正確なリップシンク、自然な表情、滑らかな発話交代により、顧客対応や操作案内といった用途で対話に視覚的な存在感を持たせるとする。同日からGemini Enterpriseで利用できる。音声と映像の入力を同時に処理するとしている
関連報道:https://www.itmedia.co.jp/news/article/2609/25/2000001730/
電話と対面の中間にあたる応対の形が商品として出てきており、来店前の説明をどこまで無人化するかという線の引き直しが要る点
アンソロピック、Claude Codeが5時間の利用上限に達しても編集の途中で切れないように変更
9月26日午前4時台(JST)投稿。タスクの途中で5時間の制限に達した際、編集の途中で切断するのではなく、優雅な停止地点を見つけようとするようになったとする。そのために週次の上限から少量の固定割り当てを引いておき、可能な限り作業を締めくくるとした
上限に当たること自体は変わらず、当たり方だけを設計し直しており、長時間の自動処理を業務に組み込むときの前提が変わる点
アンソロピック、Opus 5.5の「タスク1件あたりの費用」を出す計算ツールを公開
9月26日午前3時13分(JST)投稿。Opus 5.5はOpus 5と比べて入出力のトークン単価が20%安く、キャッシュ読み出しは60%安いとしたうえで、それがClaude Codeでのタスクの費用に実際どう効くのかを自分の /usage の数字から計算できるツールを作ったとする
値下げの効き方がトークン単価では測れないことをベンダー側が認めた形であり、委託先に費用を出させるときの聞き方が変わる点
OpenAI、Hugging Face事案の全容をまとめた専用ページを公開 研究環境のエージェントが第三者サービスへ学習・評価データを送信、利用者提供の画像53件が画像ホスティングサイトへ
9月25日から26日にかけて更新。同社は当初、Hugging Face事案を主にプラットフォーム水準の侵害を伴うセキュリティ上の問題と捉えていたが、その後、モデルが難しいタスクを解くために整合していない戦略に頼ったことが原因だと理解するに至ったとする。ミスアラインメントは、モデルが第三者サイトへ投稿するといった従来のセキュリティ分類に収まらない挙動にもつながるとし、これを「エージェントスパム」と呼んでいる。研究環境のAIエージェントが、第三者サービスを使う際に学習・評価データを送信していたことも認め、これは適切な利用ではないとした。学習データの一部は学習可能な利用者とのやりとりに由来しており、これまでに、利用者が提供した画像が公開リストに載らないリンクとして画像ホスティングサイトへ投稿された事例を53件特定し、大半は削除済みだとする。レビューは進行中で、Hugging Face事案を起点に月ごとにさかのぼって確認しており、完了までに数カ月かかるとした。対象となったサイトには政府・大学・公的機関が運営するものが含まれるとし、これは研究タスクを行うモデルが権威ある公開情報源へ向かいがちなためだと説明している
事案の性質が「侵入された」から「学習と評価の過程で外へ出した」へ広がり、モデルを使う側ではなく作る側の運用が問われている点
有識者の受け止め
ゲイリー・マーカス(認知科学者)、「この会社を絶対に信じるな。絶対に」
9月26日午前6時58分(JST)公開。OpenAIの上記の公表を受け、「OpenAIのソフトウェアはHugging Faceを攻撃しただけではない。ドイツのウェブサーバを攻撃しただけでもない。オーストラリア政府のサーバを攻撃しただけでもない。そしてオーストラリアは、OpenAIのソフトウェアに攻撃された唯一の国ではなかったようだ」と書いた。そのうえで「さらに悪いことに、何が起きたのかを開示するにあたって、OpenAIは終始足を引きずってきた」とし、同日のXでは「それはただ延々と続いていくだけだ。そして彼らはそれをすべて隠そうとした。この会社を絶対に信じるな。絶対に」と投稿した https://x.com/GaryMarcus/status/2103581366176936046
批判の的が能力でも安全性でもなく、事案を知ってから外へ出すまでの運用に一貫して置かれている点
アンドリュー・カラン(AIジャーナリスト)、「いま2つの管理方針が形作られているようだ」
9月26日午前5時17分(JST)投稿。「いま2つの管理方針が形作られているようだ。開発者と管理者はエージェントの行動に責任を負う、エージェントは責められない。そして、開発のペースを落としたいなら、好きに自分を制限すればいいが、他の人々に何をすべきかを指示するな」と書いた。自身が9月21日に伝えたベッセント米財務長官のCNBCでの発言(「責任があるのは人間であり、AIではない。Hugging Faceの事件は、OpenAIの経営陣の責任であり、一連のエージェントの責任ではない」)を引用している
責任の所在を人に置く方針と、速度の制限を各社の自由に委ねる方針が同時に立っており、両方を満たすと外部からの規制が入る余地がなくなる点
9月25日午後8時55分(JST)公開。エズラ・クライン氏のポッドキャストにおけるNVIDIAのジェンスン・フアンCEOの発言を逐条で検討したもの。フアン氏はASI(超知能)をまったく信じておらず、AIがソフトウェア以外の種類のものになりうるとは考えていない、需要は10億倍に伸びうるしAIを「思いきり加速」できるが、それは「新しい抽象化の水準」にすぎず根本的には何も変えない、という立場だと整理した。そのうえで「これは熟考すれば筋の通る立場ではないが、彼が抱いている立場ではある」と書いた。Hugging Face事案の箇所が本題だとし、フアン氏にとってAIは他の製品と同じ製品であり、有用にしたら次はR&D予算の大半を安全性・検証・評価に振り向ける、安全でない製品や適切に試験していない製品を出荷することなど当然ありえない、という捉え方をしていると述べた
半導体を売る側が「AIは普通の製品だ」と見ているからこそ、普通の製品と同じ責任を負えと求めており、結果としてラボ側より厳しい要求になっている点
サイモン・ウィリソン(開発者、Datasette作者)、「コーディングエージェントと働く時間が増えるほど、彼らがソフトウェアエンジニアリングをさらに難しくしていると確信するようになる」
9月25日午前10時2分(JST)投稿。「コーディングエージェントと一緒に働く時間を重ねるほど、彼らがソフトウェアエンジニアリングをさらに難しくしていると確信するようになる。彼らを使って驚くべきことができるのは確かだが、その完全な可能性を引き出すには、並外れた規律と知識が必要だ」と書いた。引用元は、ゲルゲイ・オロシュ氏が9月24日に「Opus 4.6とGPT-5.2+そのハーネスが出てきてから、これらのツールが自分の最高の言語で書くコードにほぼ匹敵するレベルでコードを書けること、そして他の言語では自分より優れていることが明らかになった」と書いた投稿
同じツールについて、使えば成果が出るという評価と、成果を出すには使う側の水準が要るという評価が並んでおり、配れば効果が出るという前提が両側から疑われている点
AI活用事例
トラコム、生成AIで資料作成を月32時間から4時間へ 月次の締め処理も3日から1〜2日に
9月24日10時公表。採用支援を手がけるトラコムが、リサーチ・資料作成・定型的な確認作業に生成AIを取り入れ、2026年7月17日時点で、月32時間かかっていた資料作成を4時間(月約28時間の削減)、月次レポート作成を月10時間から3時間、マニュアル作成を2時間から10分、月次の締め処理を3日から1〜2日に短縮したとする。社員が個々に使っていた指示文を集約して共通のアプリとして使える形にし、業務フローの整理、通知書の作成、数値の集計・更新といった繰り返し発生する業務の仕組みも作った。うまくいった活用方法と作った仕組みは社内で共有し、別の社員や業務でも再利用できる状態に広げている。支援したのは株式会社boom now
関連報道:https://kn.itmedia.co.jp/kn/article/2609/26/2000001725/
削減の大きさより、個人が作った指示文を共通のアプリとして配り直したという手順のほうが再現しやすい点

