AIエージェントで仕事はなくなる?専用秘書のようなエージェントが登場。置き換わる仕事は何か(2026年10月時点)

2026年9月29日、OpenAIが「dots」というAIエージェントを発表しました。ChatGPTやSlack、Teams、テキストメッセージで頼むと、4,000以上のアプリにつないで作業を進めます。頼まれる前に請求忘れに気づき、請求書を作って送る例も紹介されています。専用の秘書が1人つくのに近い形です。

一方で、「AIに仕事を奪われる」という話は何年も前からあるのに、職場の人数は変わっていないと感じる方も多いのではないでしょうか。

置き換わる仕事を見分ける物差しは2つあります。ロボットの研究で使われた物差しを、秘書型のAIエージェントに当てはめて順に見ていきます。

目次

置き換わるのは、秘書の仕事のうち手順が決まった作業

AIエージェントが引き受けるのは、秘書という職業の全体よりも、その中の手順が決まった作業のほうです。 国際労働機関(ILO)が2025年5月に出した報告では、世界の働き手の4人に1人が、生成AIの影響をある程度受ける職業についています。

生成AIの影響をいちばん大きく受けるのは事務職です。報告は、会議のメモ取りや予定の調整のような作業は、生成AIによって大きく変わると書いています。そのうえで、ほとんどの仕事は消えるよりも中身が変わる、と結論づけています。

ロボットは人より高くつくが、秘書型のAIエージェントは人の給与の約20分の1で使える

2つ目の物差しは費用です。ロボットへの置き換えが進まないのは、費用が人より高いからです。 Anthropicが公表した報告によると、米国の身体を使う作業の74%はロボットがこなせます。それでも、ロボットのほうが人より安くこなせる作業は、全作業の0.3%しかありません。ロボットのほうが安くなっているのは梱包の作業くらいで、溶接ではロボットは人の約5倍の費用がかかります。

秘書型のAIエージェントは、ロボットと違い、人よりずっと安く使えます。dotsを使えるChatGPTのProプランは、月額16,800円からです。厚生労働省の賃金構造基本統計調査では、2025年6月分の一般労働者の所定内給与は平均34万600円で、Proプランはその約20分の1です。

以下のとおりです。

比べる点ロボット(梱包の例)秘書型のAIエージェント(dots)
始めるのにかかる費用設備と設置で約200万ドル(14人分の作業)月額16,800円から
人の費用との比較1人分にならすと年に約2,500ドル安い月の給与の平均の約20分の1
置き換えが進まない理由費用と、手先の器用さ作業の手順が毎回変わること

エージェント1つが人1人の作業を全部こなすわけではありませんが、大きな設備を入れずに、できる作業から順に任せられます。

AIエージェントに先に任されるのは、メールや日程調整のように手順が決まった作業

費用が問題にならないなら、どの作業からエージェントに任されるかは、手順が毎回同じかどうかで決まります。画面の上で毎回同じ手順で終わる作業から、エージェントに任されていきます。 自動車の組立でも、車体の骨格をつなぐ溶接や塗装のように、同じ動きをくり返す工程にロボットが多く使われています(厚生労働省「職業情報提供サイト」)。

事務でこれにあたるのは、問い合わせのメールに決まった文面で返す、空いている日程を示して会議を入れる、届いた請求書を決まったフォルダへ移す、といった作業です。一方で、初めての相手との電話や来客への応対、優先順位の判断は、手順が毎回変わるので後まで人に残ると思います。

人に残るのは、エージェントの作業を確かめて直す仕事

作業をエージェントが担うようになると、人の仕事の中心は、エージェントが作ったメールや予定や書類を確認して直すことになります。 AIエージェントを入れても仕事が減らないと感じる理由として、この確認と修正の手間がよく挙げられます。

何をエージェントに任せるか、エージェントの作業をどの段階で人が確認するかを決めるのも、人です。秘書の仕事でいえば、作業そのものが減っても、任せた作業が正しく終わったかを確かめる役は残ります。

自分の作業を、手順が決まっているものとそうでないものに分ける

どの仕事が置き換わるかを知るには、自分の作業を2つの問いで分けるのがいちばん早い方法です。 月曜の朝9時に、先週やった作業を10件書き出します。1件ずつ、毎回同じ手順か、画面の上で終わるかの2つに「はい」か「いいえ」で答えます。

以下のとおりです。

作業毎回同じ手順か画面の上で終わるか判定
会議の日程調整はいはい先に任される
届いた請求書をフォルダへ移すはいはい先に任される
問い合わせメールへの定型の返信はいはい先に任される
初めての取引先との電話いいえはいまだ人に残る
来客への応対いいえいいえまだ人に残る

2つの問いの両方に「はい」と答えた作業が、エージェントに先に任される作業です。「いいえ」が多い作業ほど、後まで人に残ります。

よくある疑問

Q:秘書という職業はなくなるのでしょうか。

A:ILOの報告は、事務職は生成AIの影響がいちばん大きい一方で、ほとんどの仕事は消えるよりも中身が変わると見ています。手順が決まった作業がエージェントに任された分、人数が減る職場は出てくると思います。残る人の仕事は、エージェントの作業を確かめることと、相手との関係を保つことが中心になるはずです。

Q:dotsは日本で使えますか。

A:ITmedia AI+の記事では、欧州、スイス、英国を除く地域で提供すると書かれています。対象はChatGPTのPro、Business、Enterpriseのプランです。

任される作業が分かれば、空いた時間の使い道を決められる

どの仕事が置き換わるかは、職業の名前よりも、作業の手順が毎回同じかどうかで決まります。 エージェントに先に任される作業が分かれば、空いた時間を、手順が毎回変わる作業や、相手との関係を保つ作業に使えます。まずは先週の作業を10件書き出して、2つの問いで分けてみてはいかがでしょうか。

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