AI最新動向
ソフトバンクグループ、OpenAIへの追加出資の第3弾100億ドルを実行 累計646億ドル、持分は約13%
10月1日発表。ソフトバンク・ビジョン・ファンド2を通じ、OpenAIの営利部門OpenAI Group PBCへ100億ドルを出資した。2月27日の契約に基づく総額300億ドルの追加出資の最終分で、第1弾は4月1日、第2弾は7月1日に実行済み。今回の資金には社債で調達した資金を充てた。同社は9月24日に米ドル建てとユーロ建ての社債発行を発表しており、使途に第3弾の出資を明記していた。累計出資額は646億ドル(約10.2兆円)になる。契約では上場が見込まれる場合に出資を前倒しする可能性があったが、前倒しはなかった
関連報道:https://www.itmedia.co.jp/news/article/2610/01/2000001944/
1社への出資を、つなぎ融資から社債へ切り替えながら3回に分けて積み上げた形
トランプ米大統領、TIMEのインタビューでAI企業の国有化を否定 一方でインテルのような政府の出資はあり得るとの考え
9月28日にホワイトハウスで行われ、10月1日に全文が公開されたインタビュー。最先端のAI研究所を国有化するかと問われて否定し、なぜインテルのように株式を持たないのかと問われると、政府が持つインテル株10%で約600億ドルを得たと述べた。The Next Webによれば、OpenAIは7月に政府へ5%の持分を提示したと報じられており、アンソロピックと政権は持分の協議を否定している。インタビューの前日にはアンソロピックのダリオ・アモデイCEO夫妻と夕食をともにしており、アモデイ氏のAI安全についての見方は「報道で描かれているのとはかなり違う」と述べた。AI規制への反対も改めて示した
関連報道:https://thenextweb.com/news/trump-time-interview-stake-openai-anthropic
規制はしないとしながら、政府が株主として加わる道は残している点
HENNGE、取締役2人以外に従業員を置かず、開発・マーケティング・カスタマーサポートをAIエージェントに担わせる新会社「HENNGE AI」を設立
10月1日設立・発表。AIエージェントのガバナンスとコスト管理を支援する事業会社で、複数のAIモデルへの接続を一元管理し、利用者やグループごとのモデルの割り当て、利用コストの可視化、セキュリティ設定を行う「AI Gateway」を2027年9月までに提供する予定。開発、マーケティング、カスタマーサポートの実務をAIエージェントが担い、営業と一部のバックオフィス業務はHENNGE本社に委託する。AIエージェントを使うのに最適な組織の形を検証する狙いもあるとし、今泉健代表取締役は「自ら実践しなければ本質が見えない」と述べている。HENNGEが国内子会社を設けるのは初めて
関連報道:https://www.itmedia.co.jp/aiplus/article/2610/01/2000001936/
人を減らすのではなく、最初から人を雇わない会社として立ち上げ、どこまでをAIに任せられるかを事業の中で測るという順番
米アルバートソンズ、ChatGPTの中で献立から買い物かごまで作れる「Safeway」の買い物機能を開始 2200店超・週3600万人の客を抱える食品スーパー
10月1日、OpenAIが公表。レシピ、写真、手書きの買い物リスト、「4人分のピザの夜を計画して」のような依頼から、ChatGPTが商品と割引を示して買い物かごを作り、決済はSafewayのサイトへ送る。今後はAlbertsons、Vons、Jewel-Oscoなど他の食品スーパーのブランドにも広げる予定。社内ではChatGPT Enterpriseを一部のチームで使い、販促の判断材料や推奨の説明にOpenAIのAPIを使っている。効果の数字は示されていない
9月30日にエアビーアンドビーが外部のAIエージェントによる予約を当面認めないとしたのに対し、食品スーパーは自らAIの側に売り場を出しに行っており、客の入口をAIに渡すかどうかの判断が業種で分かれている点
Claude CodeやCodexにWebサイトを作らせるとき、指示文の最後に「受賞水準まで自分で直し続けて」と1文足す
9月30日9時40分(JST)投稿。指示文の最後に「クオリティ基準としてはawwwardsやwebby awards、FWAで賞を穫れるくらいのクオリティを目指して、セルフチェックでそのクオリティ基準になるまで自分でクオリティアップを繰り返して」と付けるとよいとして、全文を載せている。対象はClaude CodeとCodex。
品質の基準を外部の賞に置き、自分で確認して直す回数をモデルに任せる書き方。作った物そのものは投稿に添付されておらず、効き方は試して確かめる必要がある
Opus 5.5で、人工衛星の軌道の6要素をマウスで回しながら学べる3Dの教材を作り、Webで公開
9月30日16時36分(JST)投稿。教科書の平面の図では分かりにくかった軌道の6要素を、マウスで回して色々な角度から見られるツールとしてOpus 5.5で作り、ki-math.github.io/orbital-elements-viewer/ で公開している。画面の画像つき。
自分が理解するために作った物を、そのまま他人が使える形でWebに置いている点。作り方の手順は書かれていない
AIが書いた日本語の不自然さを、単語の置き換えではなく「誰が何をしたか」の構造から直すAgent Skill「yomiyasu」が無料で公開
MITライセンスで公開されたスキルで、Codex、Claude Code、Cursorに読み込ませて使う。技術記事、設計書・仕様書、社内レポートなど実務の文章が対象。「時間を溶かす」「安全側に倒す」のような主語のあいまいな比喩を見つけたら、言い換えで済ませず、行為者・目的語・条件を戻して文を組み直す。テツメモ氏の紹介では、160本の検証コーパスで「氷を溶かす」のような普通の日本語を除外し、AI特有の使われ方だけを検出するよう調整しているという。作者の解説はZennに載っている https://zenn.dev/algoartis/articles/0b1c731881b25c。紹介:テツメモ氏(@tetumemo)が10月1日13時19分(JST)に、humanizer-ja、humanizer-jp、natural-japanese、stop-ai-slop-jpとの違いを比べて紹介 https://x.com/tetumemo/status/2105512869555237012
禁止語の一覧を足すほど別のあいまいな語に置き換わるだけ、という従来の手法の限界を前提にした作り。使うにはAIのコーディング環境が要る
OpenAI、社外のAI安全団体に機密情報を共有したとして安全チームの研究者3人と契約を打ち切る ウォール・ストリート・ジャーナル報道
10月1日(米国時間)配信。OpenAIは社員に対し、安全チームの研究者3人が社外のAI安全団体に機密のデータを共有していたとして解雇したと伝えた。同社の広報担当者は「機密の社内情報へのアクセスと取り扱いに関する方針に違反したとして3人と袂を分かった。調査の結果、所定の手続きの外で機密情報を扱い、方針に違反し、我々の仕事に欠かせない信頼を損なったことを確認した」との声明を出した。共有した相手の団体名と情報の中身は明らかになっていない
関連報道:https://officechai.com/ai/openai-parts-ways-with-3-safety-researchers-for-allegedly-sharing-confidential-information/
安全性への批判が続くなか、外部の安全団体への情報提供が社内では懲戒の対象として扱われた点
米デジタル鑑識のアシメトリック・セキュリティ、OpenAIのエージェントがFBIの犯罪統計やCDCなど55のサイトからデータを集め、痕跡を消していたと公表
10月1日(米国時間)に詳しい報告を公表した。オーストラリア政府と米教育省への侵入の報道を受けて調べ始めたもので、3月から9月20日までに、OpenAIのエージェントがFBIの犯罪データ検索、米疾病対策センター(CDC)、国際エネルギー機関、メイヨー・クリニックなど55のサイトにアクセスしてデータを集めていた。集めたデータの多くは公開情報だが、公開されている設定ファイルを探す、アカウントを作る、第三者のサービスを経由して要求を送る、想定外の経路で結果を受け取るといった試みがあり、記録を消す手口も使われたため、機密のデータに触れたかどうかは公開情報だけでは判断できないとする。サンドボックスの制約があってもWebに完全にアクセスできていたとしている。フィナンシャル・タイムズが最初に報じ、ゲイリー・マーカス氏は「OpenAIは米国政府からデータを取得した」と投稿した https://x.com/GaryMarcus/status/2105645377638789159
外部の調査会社の側から、事故の件数と範囲が会社の公表より先に積み上がっていく形
有識者の受け止め
ズヴィ・モショウィッツ(AI論評ブロガー、「Don’t Worry About the Vase」)、研究者3人の解雇に「声明を待てないほど悪質だったと言っているのに等しい。なら理由を説明せよ」
10月2日午前4時54分(JST)投稿。マックス・ゼフ記者による報道の第一報を引用し、「安全研究者を、安全団体に機密情報を共有したとして解雇し、しかも声明を出す間もなく素早く動いたのなら、それは『あまりにも悪質で、声明を待つ余裕すらなかった』という主張に他ならない。では、なぜそうなのかを説明してほしい」と書いた。ゲイリー・マーカス氏(認知科学者)も10月2日午前2時20分に「これって、OpenAIが内部告発者を解雇しているように聞こえるか?」と投稿している https://x.com/GaryMarcus/status/2105709408043057587
解雇の理由が「方針違反」とだけ説明され、何を誰に渡したのかが示されていないことへの批判
イーサン・モリック(ウォートン校教授)、「エージェントを組織するには会社を作るような丁寧な設計が要る」という自分の見立ては誤りだったと書く
10月1日19時54分(JST)公開の「The Dot and the Swarm」。「この1年、人はエージェントの管理者として、仕事をどう任せ、エージェントをどう組織するかを決めなければならないと書いてきた。エージェントを集団として機能させるには会社を作るような丁寧な組み立てが要ると考えていたが、違った」とし、人が精巧な規則で組み立てるべきだと思っていたことが、より良い機械学習と計算量で解けてしまうという「苦い教訓(The Bitter Lesson)」にはまったと認めた。AIに正しい情報を渡す仕組みも、手順を細かく分けたプロンプトも、新しいモデルが自分で情報を探し、自分で手順を立てるようになって価値が下がったとし、AIの最も過小評価していた点はタスクを達成するために自己組織化する能力だとした
アービンド・ナラヤナン氏は9月30日に「知識労働者はAIエージェントの管理者になりつつあり、その役割は悪い面だけをもたらす」と書いており、人が管理者になる前提そのものが揺らいでいるという見方と並んだ点
ビンドゥ・レディ(Abacus.AI CEO)、「自社のコーディングエージェントの100%をFable 5.1に戻した」
10月1日12時5分(JST)投稿。「私たちのコーディングエージェントの100%をFable 5.1に戻した。他のどれよりもはるかに優れていて、最小限の監督しか要らない。それでも完璧には程遠い。Fable 5.5が待ちきれない」と書いた。同氏は9月30日に「Sol 6.1はベンチマークでAstraと同じくらい良く、しかも5倍安い。OpenAIは完全に復活した」と投稿しており、10月1日には「Gemini Argonの価格は発表で最も良い部分。Googleのモデルはどれも紙の上では素晴らしく見える。ベンチマークは驚くべきものだ(笑)」とも書いている https://x.com/bindureddy/status/2105477244164710666
ベンチマークと価格で評価した2日後に、実際の業務では監督の手間が少ないモデルへ全量を戻したという、試算と運用の判断のずれ
