「飽きっぽさ」は「パターンシーカー」という才能なのか?

次々に興味が移ることや、展開が読めて退屈することは、物事の規則を探す傾向が強い人に起こる反応として説明できます。この傾向を、心理学者のサイモン・バロン=コーエンは「パターンシーカー」と呼んでいます。

しかし、飽きっぽさが規則を探す傾向の表れだと確かめた研究は、見つかっていません。バロン=コーエンの説は自閉症の研究から生まれたもので、研究者からの批判もあります。

この記事では、パターンシーカーの定義、ADHDとの関係、向く仕事、時間と情報の使い方を順に並べます。

目次

パターンシーカーとは、規則を探す傾向が強い人のこと

パターンシーカーとは、物事の中にある規則を見つけ、「もしAならばB」という形で整理することを好む人です。バロン=コーエンは、人間にはこの規則を探す仕組みが備わっていて、その仕組みが道具作りなどの発明を支えてきたと主張しています。

バロン=コーエンによると、規則を探す傾向は、科学、音楽、法律に引かれる人で特に強く、自閉症の特徴でもあります。

観点内容例
規則を見つける周囲の物事から、予測できるルールや流れを探します。ヒット商品の共通点を調べて、次の流行を予測する。
仮説を立てて確かめる「もしAならばB」の形で物事を整理し、立てた仮説が合っているかを試して確かめます。コードを直せば処理が速くなるはずだと考え、実行して確かめる。

この説には、研究結果が再現されていないという指摘や、調査方法への批判があります。パターンシーカーは、確立した診断名や分類ではありません。

飽きっぽさと退屈は、規則を探す傾向から説明できる

展開が読める場面では、新しく見つけられる規則がないので退屈します。次々に興味が移るのは、見つけ終えた規則から離れて、次の規則を探しているためと説明できます。

次のような経験が当てはまります。

  • 次々と新しいことに興味が湧き、一つのことが長続きしない。
  • 会議や会話の展開が予測できてしまい、退屈を感じる。
  • 複数のことを同時に進めていないと、落ち着かない。

ただし、この説明はバロン=コーエンの説を飽きっぽさに当てはめたもので、確かめた研究はありません。

ADHDとの重なりは、診断名とは別に考える

パターンシーカーはバロン=コーエンが使う言葉で、ADHDの診断名ではありません。次々と興味が移る、集中し続けにくいといった特徴は、ADHDの特徴と重なる部分があります。

ADHDのある人はパターンを見つける力が高いと示した研究は、見つかっていません。

ADHDと自閉スペクトラム症の両方の特徴を持つ人がいることが知られています。2014年のレビュー(Leitner)によると、自閉スペクトラム症のある人の30〜50%にADHDの症状があります。診断基準のDSM-IVでは両方の診断が認められていませんでしたが、DSM-5から併せて診断できるようになりました。

ADHDのある人の一部は、興味のあることに長時間深く集中する過集中を経験します。成人50人への2025年の調査では68%が頻繁にあると答えましたが、小規模な自己申告の調査で、確立した結論ではありません。

不注意や衝動性は診断基準にある特徴です。同じ行動を、好奇心の高さや行動の早さとして見ることもできます。集中の難しさで日常に困っているときは、医師や専門の相談窓口に相談してください。

規則を探す力が活きる仕事

規則を見つける作業が中心にある仕事では、規則を探す傾向を活かせます。次のような仕事が当てはまります。

  • 技術と開発:新しい技術や製品を作るエンジニア、プログラマー、UI/UXデザイナー
  • 科学と研究:データから新しい知見を見つける科学者、データアナリスト、研究者
  • 音楽と芸術:構造や様式の中で新しい表現を作る作曲家、建築家、振付師
  • スポーツ:戦術や相手の動きを読むプロ選手、コーチ、アナリスト
  • ビジネス:新しい事業や市場の歪みを見つける起業家、マーケター、コンサルタント

いまの仕事で退屈を感じるなら、仕事の中に規則を見つける余地が少ないことが理由の一つかもしれません。

時間と情報の使い先を新しい視点が得られるものに替える

退屈を減らすには、時間と情報の使い先を予測できるものから新しい視点が得られるものに替えます。時間も情報も有限なので、使い先を意識して決めます。

予測できる会話や慣れた情報源に使う時間を減らし、その時間を新しい視点が得られる相手や情報に使います。

対象減らすもの増やすもの
人間関係予測できる会話ばかりの付き合い知らない分野の話をしてくれる人や、自分と違う考え方を聞かせてくれる人と過ごす時間
情報毎日見るニュースサイトなど、慣れた情報源異分野の専門書、普段接しないコミュニティの情報

付き合う相手は厳選して、質の高い関係を残します。異分野の情報は、手元の知識と組み合わせる材料になります。

次に試してみること

飽きっぽさや退屈を感じた場面で、自分がどんな規則をもう見つけ終えていたかを振り返ってみてはいかがでしょうか。そのうえで、次に規則を探したい対象を選んでみてください。

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