スケールメリットは、AIエージェントの登場でデメリットになったのではないか?

スケールメリットのデメリットとして、在庫を抱えすぎること、品質を保ちにくくなること、判断が遅くなることの3つがよく挙げられます。

しかし、AIエージェントが仕事を進めるようになると、3つ目の判断の遅さが、規模から得られるメリットを上回るのではないでしょうか。

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スケールメリットは、規模を大きくしてコストを下げることで得る利益だった

スケールメリットとは、事業の規模を大きくすることで、コストを減らし、経営の効率を上げることです。まとめて仕入れれば仕入れ単価が下がり、同じ作業を多くの人で分担すれば、1件あたりの手間が減ります。

人を多く抱えることは、仕事を大量に回すための条件でした。

人数が多いほど、合意形成に時間がかかる

判断が遅くなるのは、人数が多いほど合意形成に時間がかかるからです。人間は、意思決定の前に関係者と話し合い、納得してもらう必要があります。

ソフトウェア開発の遅れを研究したフレデリック・ブルックスは、1975年の著書『人月の神話』で、n人のチームでは意思疎通の経路がn(n-1)/2本になると書いています。この式で計算すると、10人のチームの経路は45本、100人のチームの経路は4,950本です。

1人で決めても、動く人間が多ければ合意形成が要る

では、意思決定をする人を1人に絞れば、組織の動きは速くなるのでしょうか。そうはなりません。決めたことを実行するのは人間で、その人数が多ければ、一人ひとりに納得してもらう合意形成が要るからです。大企業の動きが遅いのは、このためです。

人間が合意形成をしているあいだに、AIエージェントは次の作業へ進む

AIエージェントが仕事に加わると、合意形成の遅さはさらに重くなります。AIエージェントは、人間が合意形成をしているあいだにも作業を進め、次の結果を出してきます。

人間が合意形成を終えたときには、話し合っていた前提はもう古くなっています。また次の意思決定をして、また合意形成をすることになります。人数が多い組織ほど、この繰り返しに追いつけなくなります。

AIエージェントが人の仕事を代わりに担うと、人を多く抱える利益は薄れる

一方で、人を多く抱えることで得ていた利益は小さくなっていきます。多くの人で分担していた作業を、AIエージェントが代わりに進めるからです。

中国の会社登記のデータを調べたJunhui Jeff Caiらは、2025年12月に公開した論文(査読前)で、2022年11月にChatGPTが公開されたあと、新しく作られる会社の資本が小さくなり、株主の数と創業チームの人数が減ったと報告しています。

現場の仕事もドローンが担うようになれば、人数を抱える理由はさらに減る

現場で体を動かす仕事も、いずれドローンのような機械が担うようになると思います。そうなると、人数が要る仕事はさらに減り、人数の多さはデメリットの側面がさらに強くなります。

AIエージェント時代は、人数が少ない組織でなければ勝てない

AIエージェントの登場で、スケールメリットは効かなくなり、人数の多さはデメリットの側面が強くなっています。人数が少なければ合意形成は短く済み、AIエージェントの速さについていけます。

人数が少ないことは、有利な条件の1つにとどまらず、勝つための条件になっていくのではないでしょうか。あなたの組織では、1つの意思決定から全員が動き出すまでに、どれくらいの時間がかかっているでしょうか。

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