生成AIのコスト削減はどうすればよいか?利用効果が不明なとき

生成AIのコスト削減は、効果を測らなくてもできる方法が1つあります。管理コンソールの使用状況を見て、契約のプランを下げることです。

しかし、効果が分からないまま費用を削っていいのか、と思われるかもしれません。役員会で「効果は」と聞かれたら、答えに詰まります。

この記事で並べるのは、効果を測らずに削れる場所の見つけ方と、削ったあとで有料のアドオンが要る人だけを拾う手順です。手順はGoogle Workspaceのものです。私は複数の拠点の契約を見ている側で、1拠点の数字をそのまま使います。

目次

管理コンソールのGeminiレポートを開いて、生成AI以外の列を見る

最初に開くのは、Google Workspaceの管理コンソールにある「生成AI」の中の「Geminiレポート」で、そこの「ユーザーレベルの使用状況」です。ユーザーごとに、過去28日間の使用日数、上限到達日数、そしてGmail、ドキュメント、スプレッドシート、ドライブ、Meet、Geminiアプリといったアプリごとの使用量が、高・中・低・ゼロの4段階で並びます。

最初に見るのは、Gmailからカレンダーまでの、生成AI以外の列です。私が見た拠点では、39人のうちGmailが「低」の人が10人、Meetが「低」の人が2人いるだけで、ドキュメント、スプレッドシート、ドライブ、カレンダーは39人全員がゼロでした。Geminiアプリの列だけが、高が4人、中が30人でした。

効果を測るのはやめて、「使用日数」と「上限到達日数」の2列だけを見る

このレポートで見るのは、使用日数と上限到達日数の2列だけです。使用日数は、過去28日間にGeminiを使った日数です。上限到達日数は、AI機能の使用上限に達した日数で、Googleの管理者ヘルプが列の定義を書いています。

生成AIの効果を測る記事は、時間の削減率や人件費の換算で費用対効果を出すように書いています。ただ、このレポートには、何に使ったかも、何分浮いたかも出ません。出るのは、使ったか、どれだけ使ったか、上限に当たったか、の3つだけです。

費用を削る判断は、使ったか、どれだけ使ったか、上限に当たったか、の3つだけでできます。使っていない人の分は効果がゼロと決まっていて、使っている人の分は削らないからです。効果の大きさを測らなくても、コスト削減で削れる場所は、使っているかどうかだけで決まります。

生成AIの列しか動いていないなら、削る対象をプランに決める

Gmailもドライブもゼロで、Geminiアプリだけが高か中なら、その拠点はGoogle WorkspaceをGeminiアプリのためだけに使っています。払っているのはBusiness Plusの月3,000円で、使っているのはGeminiの分だけです。

ここで「Geminiだけ解約すればいい」と考えると、そこで手が止まります。Google Workspaceでは、2025年からGeminiがBusiness Starter、Business Standard、Business Plusの料金に含まれていて、Geminiだけを切り離した契約が存在しません。お支払い画面のサブスクリプション一覧を開いても、Business Plusの行があるだけで、Geminiの行はありません。私も最初に「Geminiを解約したい」と担当者に伝えて、「切り離せません」と返ってきました。

だから、削る対象は、Geminiが載っているプランのほうになります。Geminiしか使っていないのにBusiness Plusを払っているなら、Business Starterに落としてもGeminiは残ります。

いまのプランとBusiness Starterの月額を、1人あたりで並べる

Business Plusは1人あたり月3,000円、Business Standardは1,900円、Business Starterは950円です。どれも月払いの金額で、年契約にするとそれぞれ2,500円、1,600円、800円になります。

私が見た拠点では、レポートに39人が出ていました。全員Business Plusで月117,000円です。使っていない4人を外して35人をBusiness Starterにすると、月33,250円になります。Geminiアプリの使用量が高だった4人に、上位のAI機能を使えるアドオンのAI Expanded Access(1人あたり月3,700円)を付けても、48,050円です。

Business Standardなら35人で66,500円です。Starterに含まれるGeminiは、Googleの料金ページで「基本的なアクセス」と書かれていて、Standard以上の「より広いアクセス」より狭い分、Standardのほうが安全に見えます。ただ、StarterかStandardかは、あとで見る上限到達日数で決められるので、先に決める必要はありません。

Vault、5TBの容量、Meetの録画の3つを、落とす前に確かめる

Business Plusを落とすと失うのは、Vault(メールとドライブの保全と監査)、1人あたり5TBの容量(Starterは30GB)、Meetの録画(Standard以上)の3つです。レポートでドライブとMeetがゼロなら、容量と録画は使っていません。Vaultだけはレポートに出ないので、管理コンソールのVaultを開いて、保持ルールが設定されていないかを見ます。無ければ、落として困るものはありません。

全員をBusiness Starterに落として、使っていない人のライセンスを外す

確かめ終えたら、お支払い画面のサブスクリプションからBusiness Plusの行を開き、プランをBusiness Starterに変更します。月払いのフレキシブルプランなら、その日から変わります。違約金はありません。年契約の場合は、契約の更新日まで変えられません。

同じ画面で、レポートの使用量がゼロだった人のライセンスを外します。私が見た拠点は契約が45ライセンスで、レポートに出ていたのは39人だったので、差の6人分は料金だけが出ていました。

翌月の「上限到達日数」が0でない人にだけ、AI Expanded Accessを付ける

翌月、同じレポートをもう一度開きます。見るのは上限到達日数の列です。Business Plusのときは全員0日でしたが、Business Starterの基本的なアクセスは上限が低いので、上位のAI機能を使っていた人はここに日数が出ます。

日数が出た人にだけ、AI Expanded Accessを付けます。管理コンソールのユーザーのライセンス画面で、その人の行のスイッチを入れて保存するだけです。私はBusiness Starterの自分のアカウントにこのアドオンを付けて使っていたので、Starterでも付けられることは確かめています。

0日のままの人は、基本的なGeminiで足りています。誰に有料が要るかを、人に聞いて回る必要はありません。レポートの列が答えます。

よくある疑問

Q:効果を測らずにプランを下げて、役員会でどう説明すればいいですか。

A:使用状況のレポートをそのまま見せます。Gmailもドライブもゼロで、Geminiだけが使われている、という事実に、効果の議論は要りません。払っている機能のうち使っているものだけを残す、という説明で通ります。

Q:Business Starterに落とすと、Geminiの性能が下がりませんか。

A:Googleの料金ページでは、Starterは「基本的なアクセス」、Standard以上は「より広いアクセス」で、Standard以上では高性能なモデルが使えると書かれています。上限に達した人にAI Expanded Accessを付ければ、上限は上がります。どのモデルが使えるかまでは、料金ページの記載以上のことを私は確かめていません。

Q:Geminiの機能そのものを止めたい場合はどうしますか。

A:管理コンソールの生成AIの設定で、組織部門ごとにGeminiの機能をオフにできます。ただし料金は下がりません。料金を下げるのはプランの変更だけです。

生成AIのコスト削減を任されているなら、効果を測る前に、管理コンソールのGeminiレポートを一度開いて、生成AI以外の列を見てみてはいかがでしょうか。

  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次