AI最新動向
Microsoft、「Microsoft 365 Copilot」を「Microsoft Copilot」へ統合 Web版のURLが変わり接続先制限の見直しが要る場合も
9月18日7時公開。Microsoftは個人向けのMicrosoft CopilotとMicrosoft 365 Copilotを別サービスとして提供してきたが、両者のアプリ・Webの入り口・利用体験をMicrosoft Copilotに整理する変更を2026年8月から段階的に進めている。単なる名称変更ではなく、仕事や学校でMicrosoft 365 Copilotを使う利用者にも影響する。Web版のURLも変更されるため、接続先を個別に制限している企業ではIT管理者によるネットワーク設定の確認が必要になる可能性がある。
契約しているのはライセンスだが、実際に社内で制限をかけているのはURLであり、名称整理がそのまま設定作業として降りてくる点
OpenAI、ChatGPTのほとんどのプラグインで複数アカウントの接続に対応
9月19日1時ごろ投稿。個人用・仕事用・副業用などのアカウントを同時に接続できるようにし、仕事用と個人用のアカウントから同じ会話へ文脈を持ち込めるとした。接続はプラグイン・ディレクトリから行う。
業務のデータと個人のデータが同じ会話に混ざる形になり、どちらを見て答えたのかが利用者側から分かりにくくなる点
アンソロピックのIPO、11月へ遅れる見通し 評価額2兆ドル・調達1000億ドル超で過去最大の想定
9月19日7時39分配信。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルが18日、アンソロピックの新規株式公開が11月になる見通しだと報じた。当初見込まれた10月から遅れる。IPOは評価額が2兆ドル(約313兆円)、調達額が1000億ドルを超えて過去最大になると見込まれている。株式市場などでは日本の目論見書に相当する「S-1」を9月に提出するとの見方があった。9月5日にはロイターが「10月後半以降か」と報じていた。
減速を提唱している当事者が、同時に史上最大規模の資金調達を控えているという位置関係
アンソロピック、サンフランシスコ周辺に生物学の実験施設(ウエットラボ)を設置
9月19日5時38分配信。ロイター通信の報道として18日明らかになった。細胞や試薬を用いて実験する「ウエットラボ」を米西部サンフランシスコ市周辺に設けた。デジタル空間でのシミュレーションだけでなく物理的な実験を行う体制を持つ。希少疾患の治療薬の開発などを目指しているとみられる。
モデルを売る会社が、自ら実験設備を持って結果の側まで取りに行き始めている点
アンソロピック、Accentureと「組み込み型評価」で提携 両社がそれぞれ今後5年で10億ドル以上を投じる
9月18日公開。CEOのエッセイ「We Must Pace the Frontier」で約束した、社内に評価者を常駐させるという取り組みの第一歩と位置づける。提携はAccentureの専門AI部門Facultyが主導し、モデルの評価とレッドチーミング、アラインメント評価、セーフガードの検証を行う。両社はそれぞれ今後5年間でこの分野の能力構築に最低10億ドルを投じる見込み。外部評価者と違い、組み込み評価者は従業員に近い権限でAI企業の内部に入り、学習中のモデルの形成過程、構築・展開の意思決定、従業員への直接の聞き取りにアクセスする。何にアクセスできるべきか、どう報告すべきかの基準はまだ存在せず、資金の仕組みも定まっていないとし、長期的には共同出資または政府からの資金が望ましいとしつつ、今回はアンソロピックがAccentureの作業費用を直接負担する。METRなど非営利の評価者とも、それぞれの自己資金で組み込み評価の一部を試す協議を進めている。提携は非独占で、数週間内に他の評価者も発表するとした。
評価の費用を評価される側が払う形が、標準が無いことを理由に先に既成事実になっている点
カリフォルニア州、AI暴走時の「キルスイッチ」義務化の検討へ 知事が行政命令
9月19日5時2分配信。ギャビン・ニューサム知事(民主党)が18日、州内のAI開発企業の監視を強めるための行政命令を発令したと発表した。AI暴走時に企業側が強制停止する「キルスイッチ」の導入義務化に向けた検討を進める。知事は「米政権が国民を守る責任を放棄するなか、カリフォルニア州は全米で最も強固なAI規制の枠組みを構築している」とコメントした。
連邦が規制しない方針を明言したことが、かえって州単位の規制を加速させている点
アクセンチュア調査、AIのトークン支出のうち財務成果との関連を示せているのは2割未満 リクエストの54%が過剰な性能のモデルへ
9月18日公開。調査は2026年7月に日本を含む17カ国で実施し、対象は年間売上高10億米ドル超の企業でAI関連支出の意思決定に携わる経営層750人。企業はAI予算の平均25%をトークンに充て、半数がトークン消費量をAIコストの上位3要因に挙げ、3社に1社が年間のトークン予算を既に超過している。今後2年でトークン消費量が78%増えると予測。トークン価格が25%以上下がった場合、95%の経営層がそれを契機にAI関連支出全体を増やすと回答した。最重要のAI活用事例について要したコストを算出できている企業は35%。米労働省の職業情報データベースの職務タスク9,368件を分析したところ、最先端の「フロンティアモデル」の能力を必要とするタスクは全体の約1割と推計されたが、実際のAIリクエストの54%はタスクに必要な水準を上回る高性能モデルへ振り分けられていた。タスクに応じて自動で振り分ける「モデルルーティング」を最重要の施策と捉えながら、導入済みは30%にとどまる。
単価の下落が支出の削減ではなく利用の拡大に回るという回答が95%で、値下げを前提にした予算計画が成り立たない点
クラウドワークス調査、中小企業のAI利用は59.6% うち8割超が全社的なチャット利用で止まる
9月19日7時公開。調査は従業員5〜299人の企業の経営者・役員・部長クラスを対象とし、スクリーニング調査4,172人、本調査576人が回答した。AI活用の段階を未導入・個人利用・全社的なチャット利用・業務の一部自動化・複数AIによる業務全体の最適化まで6段階に分類。AIを利用している企業は59.6%で、うち8割超がチャット利用にとどまった。推進人材や時間の不足、費用対効果が分からないこと、自社の業務への当てはめ方が分からないことがボトルネックとされる。
導入したかどうかではなく、どの段階で止まっているかを聞かないと実態が出てこない点
イーロン・マスク、「AIが来年の米国のGDP成長率を約2%から約4%へ、ほぼ倍増させるだろう」
9月19日3時13分投稿。「私の推測では、AIが来年の米国GDP成長率を約2%から約4%にほぼ倍増させるでしょう。もしかしたらそれ以上かもしれません」と書いた。
本当なら、金利と地価の前提が1年単位で置き換わることになる
有識者の受け止め
アービンド・ナラヤナン(プリンストン大教授)、組み込み評価を信頼できるものにする5つの最低条件を求める公開書簡に100人超が署名
9月18日23時15分投稿。「私は、評価者の独立性、報復からの保護、実質的なアクセスを確立することによって、組み込み評価を信頼できるものにするための5つの最低要件を求める公開書簡の、100人以上の署名者の1人だ」と書いた。書簡は「我々署名者は、最前線AI企業が、急速に増大するAIの能力とリスクを評価するために第三者組織を組み込むよう呼びかけていることを心強く思う」と始まり、そのうえで5点を挙げる。(1)評価者は実質的に独立で、完全な編集権を持ち、利益相反を開示・緩和すること。最前線AI企業に所有・統治されず、他の重要な商取引を持たず、評価結果に応じた支払いや報酬を一切受け取らないこと。(2)複数の評価組織を優先リスク領域ごとに組み込み、評価者間および評価者と従業員の間で結論がどう異なるかを共有させること。(3)手法・発見・アクセスの性質・評価の条件について透明であること。秘密保持契約の範囲を限定し、取締役会への迅速かつ無修正の連絡と、知財・顧客情報・個人のプライバシー・セキュリティ・公共の安全の保護に限った期限つきの黒塗り手続きのみを条件とする公表を認めること。(4)企業に不都合な方法・情報・結論を理由とする報復から保護されること。報復的な訴訟への保護と、そうした場合でも資金が続く仕組みを含む。(5)自社の上級従業員と同等の、システム・データ・ツール・物理空間へのアクセスと、関係する職員との率直な一対一の対話を認めること。AI Evaluator Forumが取りまとめた。
アンソロピックが自ら費用を負担する形が、この書簡の1番目の条件と真正面から衝突している点
ゲイリー・マーカス(認知科学者)、「自分たちでパートナーを選んで提携したのなら、それは独立したものではない」
9月19日6時22分投稿。アンソロピックのAccenture提携の告知を引用して書いた一文。同氏は同じ時間帯に、アンソロピックのIPOが11月へ延期されたというzerohedgeの投稿を引いて「2回目の延期かな? そしてOpenAIのIPOも2027年に延期。状況を考えると、あのS-1を魅力的に見せるのは大変な作業だ」とも書いている https://x.com/GaryMarcus/status/2101063328697311313
組み込み評価の是非ではなく、評価者を誰が選ぶかという一点に批判が集まっている点
ズヴィ・モショウィッツ(「Don’t Worry About the Vase」)、「雪崩は始まった。小石たちが投票する時間はまだある。今のところは」
9月18日23時40分(JST)公開。「我々はAIの実存的リスクをめぐる選好カスケードの只中にいる」と書き出し、「選好カスケードは、残念ながら、議論を変えるために我々が持つ最良の方法だ」とする。マイク・ソラナ氏の見立てとして、コクソン氏の投稿が拡散したのは十分な数の米国人がAIについて気にかけるだけの文脈をようやく持ったからであり、大きなアカウントが素早く増幅したからだとし、乾いた薪が十分にあればそれで足りるとした。そのうえで「我々が認識しなければならないのは、最前線のペースを調整する必要についての現在の選好カスケードでは不十分だということだ」と書いている。AI Impactsの調査として、AI研究者の平均で「AIが人類の絶滅、またはそれに準ずる恒久的で深刻な人類の無力化を引き起こす」確率が約18%であること、アジアの研究者が西側の研究者より大きなリスクを見積もっており一般の予想とは逆であることを引いた。
世論が動いたこと自体を到達点ではなく不十分な出発点として扱っている点
ゲイリー・マーカス(認知科学者)、「近い将来に本当に恐れるべきは、暴走した超知能ではなく、解き放たれたエージェント型AIによる大規模なインターネットのハッキングだ」
9月19日1時29分(JST)公開。副題は「ローマが燃えているのに、人々はスカイネットの空想をしている」。前夜の「大ニュース」として、セキュリティ研究者s1r1usが9月18日に投稿した「7月25日、我々はOpenAIをハッキングした。2つのバグによって、OpenAIの従業員(と一部の無関係な利用者)のChatGPT/Codexアカウントを乗っ取り、連携先のOutlook、Slack、GitHubなどへ到達できた。OpenAIの内部コードベースへのプルリクエストでそれを証明した。72時間もかからなかった」という報告を引いた。前日の別件については「『中程度』なのは、この時点では誰も驚かないからだ。犬が人を噛んだ、というやつだ」と書いている。WSJのオピニオン欄に載ったブライアン・グロス氏(連邦準備制度理事会、証券取引委員会、米上院のスタッフを務めた人物と紹介されている)の論考が全体像を示した数少ない主流メディアの記事だとして、「一言一句に同意する」とした。
実存的リスクの議論が盛り上がった週に、既に現実に起きた侵入の話が相対的に小さく扱われている点
AI活用事例
資生堂ジャパン、AIエージェントで化粧品の原料探索時間を95%削減 提案される原料数も20〜50%増
9月18日8時公開の取材記事。「Google Cloud Next Tokyo 26」(7月30〜31日開催)での同社3氏の講演を再構成したもの。化粧品の原料探索にAIエージェントを導入し、探索にかかる時間を95%削減した。エージェントが提案する原料の数は従来より20〜50%増えた。社内文書を検索するだけのものではなく、膨大な候補からどの原料が有望かを見極める研究員の判断そのものを再現しているとする。同社は2026年3月、約40部門から130人のアンバサダーを集めてAIX(AIトランスフォーメーション)を本格始動させた。背景に、人口減少に伴う国内市場の停滞、競争環境の激化、従業員の年齢構造が定年退職の山に差し掛かっていることの3点を挙げる。AIXをデジタル部門の単一プロジェクトではなく、経営層や責任者が組織の壁を越えて主導する「経営マター」と定義し、組織体制も転換した。連結売上高は9,700億円(2025年12月期)。
定年退職の山を、採用ではなく判断の再現で埋めるという置き方
