経済系YouTubeを自分の成長のために観るのは、なぜ逆効果なのか?

経済系YouTubeを自分の成長のために観ると逆効果になるのは、偏った話から変なクセや極論が身につくからです。そして、人は体験を通じてしか成長しません。

しかし、動画を観るたびにお金や経済の知識が増えているなら、成長していると思う方もいるのではないでしょうか。

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経済系YouTubeは、「自分が変われるかもしれない」という期待を消費するエンタメである

経済系YouTubeの動画を観ているあいだ、視聴者は、この話を知っていれば自分も変われるかもしれないと思えます。経済系YouTubeは、「自分が変われるかもしれない」と思えるエンタメです。

経済系YouTubeは、視聴者の2つのニーズを的確に捉えています。

  1. 建設的なことに時間を使っていると信じたい
  2. 自分が正しいことをしていると信じたい

経済系YouTubeを観た時間は、視聴者には勉強した時間だと思えます。動画マーケティング支援のSuneightが2024年6月に、YouTubeで学習している入社1年目の社会人100人に聞いた調査でも、学んでいるジャンルの最多は「お金」で45.0%でした(Suneightの調査)。だから、自分の成長のために観ている、と考える人が出てきます。

経済系インフルエンサーの記事は、偏っていないと注目を集められない

米国の研究では、投資の情報を出す発信者のうち、勧めた銘柄の成績が悪い人ほどフォロワーを多く集めていました。株式の投稿サイトで約2万9,000人の発信者の投稿を調べたところ、勧めた銘柄で市場を上回る成績を出していた発信者は28%で、56%はマイナスの成績でした。そして、マイナスの成績の発信者のほうが、フォロワーが多く、楽観的すぎる投稿をし、個人投資家の売買にも強く影響していました(Kakhbodら、2023年、Finfluencers)。

経済系インフルエンサーの記事は、偏っていないと注目を集められません。強い言い切りや極端な主張のほうが、目に留まるからです。注目を集めるための偏りは、実社会で判断するときには役に立ちません。

実社会で判断するときは、言い切れない事情を1つずつ確かめる必要があります。職場の数字には、その会社だけの事情があります。家計には、その家だけの事情があります。偏った記事は、その事情を確かめる手間を省いて、結論だけを先に渡します。

経済系YouTubeを成長のために観ると、変なクセや極論が身につく

趣味の時間として観ているなら、偏った話も、偏った話として聞き流せます。成長のために観る人は、偏った話を、自分の判断の基準として取り込みます。成長のために観る人ほど、発信者の偏りを、そのまま自分のクセとして身につけます。

たとえば成長のために観る人は、「この業界はもう終わり」「会社員は損をする」のような言い切りを学んだ知識として覚えます。覚えた言い切りは、職場で数字を読むときや、家計で何かを決めるときに、判断の近道として出てきます。現場の事情を確かめる前に、結論が先に決まってしまいます。

成長のために観た人は、何も観なかった人より、偏った判断の基準を多く持つことになります。これが、成長のために観ると逆効果になる理由です。

人は体験を通じてしか成長しない

クロールの泳ぎ方の本を100冊読んでも、泳げるようにはなりません。泳げるようになるのは、水に入って、手と足を動かして、沈みかけて、また手と足を動かしたときです。

動画を観るだけでも、同じことが起きます。米国の実験で、ムーンウォークやジャグリングの手本の動画を1回観た人と20回観た人を比べると、20回観た人のほうが、自分はうまくできると予想していました。ところが、実際にやらせると、成績は1回観た人と同じでした(Kardas・O’Brien、2018年、Psychological Science)。手本の動画を観る回数を増やしても、できることは増えませんでした。

経済系YouTubeは趣味の時間として観て、成長のためには現場に出ていく

経済系YouTubeは趣味の時間として観て、成長のための時間は現場に出ていくことに使います。

やることは2つです。

  1. 経済系YouTubeを観る時間は、趣味の時間と決める。たとえば、夜21時からの30分を、お笑いの動画と同じ趣味の時間として観る
  2. 成長のための時間は、現場に出て使う。たとえば、自分の担当する仕事の売上と費用を、次の会議で自分の言葉で説明する。取引先に足を運び、相手の困りごとを直接聞く

現場では、動画のように言い切れることはほとんどありません。事情を確かめて、決めて、結果を見る。その繰り返しが、体験を通じた成長です。

よくある疑問

Q:経済系YouTubeは、観ないほうがいいのですか。

A:趣味の時間として観るなら、観てかまいません。逆効果になるのは、自分の成長のために観て、発信者の言い切りを判断の基準として取り込んだときです。

Q:お金や経済のことで成長したいときは、何から始めればいいですか。

A:仕事の現場で、自分が決める場面を1つ選びます。そこで事情を確かめ、自分で決めて、結果を見ることから始めます。

あなたが経済系YouTubeを観ている時間のうち、どれだけが趣味の時間か、一度数えてみてはいかがでしょうか。

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