Claudeが書いた文章に、目に見えない透かしが入るようになりました。SNSには「11月3日から透かしが入る」「確認できるのは規制当局やジャーナリストだけ」「簡単な校正でも数えられる」という投稿もありました。
しかし、文章に見えない透かしが入るとは、どういうことなのでしょうか。EUのルールに合わせた話なら日本のコンテンツには関係がないのか、Claudeで書いた記事のGoogleでの評価は変わるのかも気になるところです。
日本で書いた日本語の文章にも、Claudeの透かしは入る
Claudeの透かしは国や地域で分けずに全世界で入るので、日本のコンテンツも対象です。Anthropicは透かしの仕組みを説明したページで、地域ごとに分ける確かな方法がまだないため、全世界で入れていると書いています。オフにする設定も示されていません。
きっかけは、EU AI法の透明性のルールです。2026年8月2日から、EUで生成AIを提供する会社は、AIが作った文章などに機械で読み取れる印を付けることが求められています。この日以降に出たClaudeのモデルは、提供開始の時点で透かしが入っているので、新しいモデルを使っているなら、すでに透かしの入った文章を書いています。それより前のモデルには、Anthropicが数か月かけて透かしを足すとしていて、11月3日はこの古いモデルへの追加の日付として伝えられています。
日本語かどうかについては、Anthropicは言語ごとの違いに触れていません。透かしは次に説明する言葉の選び方に入るので、日本語でも同じように入ると考えられます。これは仕組みからの推測です。
透かしは、文字ではなく言葉の選び方に入る
では、目に見えない透かしは文章のどこに入っているのでしょうか。透かしは文字や記号として足されるのではなく、Claudeがどの言葉を選んだかという並びそのものに入っています。Anthropicは、文章に何も足しておらず、隠れた文字もないと説明しています。言葉の並びそのものが透かしなので、コピー&ペーストしても残ります。
たとえで言うと、Claudeには、Anthropicだけが持っている「口癖のリスト」があるようなものです。「大切」と「重要」、「思います」と「考えます」のように、どちらを使っても自然な場面で、Claudeはリストにあるほうを少し多めに選びます。リストを持っている人が文章を調べて、リストの言葉が多すぎれば、Claudeが書いたと分かります。
本物のリストは、前後の言葉によって中身が毎回変わります。Claudeはふだん、次に来る言葉を乱数で選んでいますが、透かしを入れるときは、Anthropicの「鍵」と直前の数語から選ぶ言葉を決めるからです。そのため、鍵を持っていない人が読んでも、どこに透かしがあるかは分かりません。仕組みは、Google DeepMindが2024年に発表したSynthID-Textという方式を元にしています。
文章の質については、Anthropicは社内のテストで、内容、創造性、読みやすさに影響は見られなかったとしています。事実を並べる文章やプログラムのコードは、選べる言葉が少ないので、透かしも薄くなります。
透かしを確かめるリストは、Anthropicだけが持っている
それでは、この口癖を見分けられるのは誰でしょうか。リストを持っているのはAnthropicだけで、ほかの組織は文章をAnthropicの検出の仕組みに送り、結果だけを受け取ります。結果は、その文章をClaudeが書いた確率として返ります。
この検出の仕組みは、2026年9月の時点で、申し込んで認められた組織だけが使える試験提供の段階です。対象は、規制当局、警察などの法執行機関、報道機関、ファクトチェッカー、独立した研究者、教育機関、EUの市民団体と、自社のルールを守るために確かめる必要がある企業です。一般の人が使える検出の道具は、今のところありません。
透かしで分かることと分からないことは、以下のとおりです。
| 確かめたいこと | 透かしで分かるか |
|---|---|
| Claudeがその文章に関わった可能性 | 確率として分かる |
| 誰が、どの会社が、どのチャットで書いたか | 分からない(透かしに、人や組織を示す情報は入っていない) |
| Claudeが書いたのか、大きく手を入れただけなのか | 見分けられない |
| 人が書いた文章か、ほかのAIが書いた文章か | 分からない |
| 短い文章 | 判定しにくい(長いほど確かになる) |
Googleの評価が、透かしで変わる材料は今のところない
最後に、Googleでの評価です。Googleは文章の作り方ではなく中身の質を見るという方針を変えておらず、Claudeの透かしについても何も発表していません。Googleは2023年2月のAIで作ったコンテンツについての指針で、どう作られたかではなく、中身の質に注目すると書いています。スパムとして扱うのは、検索の順位を動かすことを主な目的に、AIなどで文章を作った場合です。
そもそも、Claudeの透かしを読むにはAnthropicのリストが要ります。Googleがそれを使えるかどうかは公表されていません。Googleは自社のGeminiにも同じ方式の透かしを入れていますが、それを検索の順位に使うとは発表していません。
よくある疑問
Q:自分で書いた文章をClaudeに簡単に校正してもらっただけでも、透かしは数えられますか。
A:透かしが入るのは、Claudeが選んだ言葉だけです。軽い校正で直した言葉が少なければ、検出できるほどの量にならないことがあると、Anthropicは説明しています。逆に、Claudeが書いた文章を人が軽く直しても透かしは消えきらず、すべての言葉を書き換えると消えます。
透かしは、Claudeが関わった可能性を示す印である
ここまでをまとめると、日本のコンテンツにも透かしは入りますが、誰が書いたかは示さず、Googleの評価を変えるという発表もありません。透かしが入ることに合わせて、読者がしなければならない操作や設定はありません。SNSの投稿を読んで気になった点は、ここまでの答えで解けたでしょうか。
