AI最新動向
OpenAI、モデルの振る舞いの指針「Model Spec」を改訂 「人の意図への忠実さ」「害の最小化」「正直さと透明性」「人の主体性」「配慮」の5つの価値を軸に組み直し、細かな文体の指針は大半を廃止
10月29日(米国時間)公開。モデルが世界でより自律的に重い行動をとるようになるにつれ、指示を解釈するだけでなく人の意図と価値を理解し、指示が明示していない場面でも人の意図と監督に忠実なまま判断できる必要があるとした。指示の優先順位を決める「指揮系統(chain of command)」を更新し、会話・メモリーなどの文脈から人の意図や好みを読み取る方法を書いた節を新設した。人の主体性を支える、関連する社会規範に従う、という既定の振る舞いを加え、作業の副作用を抑えて知らせる指針も広げた。一方、文体は利用者の好みに合わせるべきだとして、細かな文体の指針の大半を廃止した。アンドリュー・カラン氏は、長く使われてきた「The Assistant」という呼び名が「GPT」に置き換わったと指摘した https://x.com/AndrewCurran_/status/2115858614934175901
モデルに「指示どおり」より「意図どおり」を求める方向へ、行動の基準そのものを書き換えた点
Mistral AI、パラメーター1兆の大型モデル「Mistral Large 4」(通称Le Chonk)の重みを公開 コーディングとサイバー防御で、重みを公開したモデルの最前線を狙う
10月29日23時21分(JST)、Mistral AIが公式Xで告知した。Cognitionのコーディング評価「FrontierCode」で重みを公開したモデルの中の1位とし、Artificial Analysisでの性能と費用のバランスでも新しい水準を示したとした。サイバー防御では、CrowdStrike、Cloudflare、Rubrik、Zscalerなどが試験したという。重みはHugging Face(Mistral-Large-4-1T-A52B)から入手でき、Mistral Forgeで調整して好きな場所で動かせる
海外の大手クラウドに頼らず、自社の環境で最先端に近いモデルを動かす選択肢が広がる点
OpenAI、ChatGPTのProとBusinessの契約者に、アプリやエージェントを作るためのAPIクレジットを月最大500ドル付与
10月29日8時17分(JST)、OpenAI Developersが公式Xで告知した。Proは契約の段階に応じて月100・200・500ドル、Businessは支払い済みのStandard席1つにつき20ドル、Premium席1つにつき100ドルで、ワークスペースあたり月500ドルまでまとめて使える。ChatGPTの請求画面で受け取り、ChatGPTかCodexの「OpenAI Developers」プラグインでAPIキーを作る。関連報道:https://www.itmedia.co.jp/aiplus/article/2610/29/2000002728/
ChatGPTの席を契約している会社が、追加の契約なしで社内向けの小さなエージェントを試作できる枠が生まれた点
GitHub、年次イベント「Universe」で、最先端並みの品質で40%速く、費用を最大77%下げる「GitHub Copilot Fusion」などを発表
10月29日2時8分(JST)、マイクロソフトのサティア・ナデラCEOがXで紹介した。あわせて、推論・ツール利用・作業の実行を長時間続けるエージェントを作るための管理サービスとして、Copilotの共通の実行基盤(ハーネス)をFoundryに載せたこと、複数のリポジトリにまたがって複数のエージェントで開発を回す「Copilot Projects」を出したことを挙げた。詳細はGitHubの公式ブログ「GitHub Universe 2026: Evolving every layer of the stack」にある
開発の道具の競争が、モデルの性能から1件あたりの速さと費用に移っている点
Alphabet、7〜9月期の売上高が前年同期比25%増 Google Cloudは103%増、自社モデルのAPIの処理量は1分あたり約320億トークン
10月29日5時5分(JST)、スンダー・ピチャイCEOがXで発表した。年間の売上高は5000億ドル規模のペース。AIへの投資が、商用の検索を含む検索全体の件数の伸びを押し上げ、前年比の伸び率は過去5年で最高。Google Cloudの売上高はAIの計算基盤とAIの製品への需要で103%増。自社モデルのAPIの処理量は約320億トークン/分で、前四半期から40%増えた。アンドリュー・カラン氏によると、ピチャイ氏は決算説明会で「AIが学習と公開の速度を上げる手助けをする段階に達した。今後12か月は、RSI(AIによる自己改良)による継続的な加速を見込む」と述べた https://x.com/AndrewCurran_/status/2115546957909533157
クラウドの売上が倍増するほどAIの需要が伸びる一方、設備投資の重さが現金の流れにどう出るか
Microsoft、7〜9月期(2027年度第1四半期)にMicrosoft Cloudの売上高が630億ドル超、伸び率は前年比30%に加速 Copilotの1日の利用者数は前年の5倍超
10月29日7時53分(JST)、サティア・ナデラCEOがXで決算説明会の要点を連投した。Chat、Cowork、Autopilot、Codeを1つにまとめたCopilotの過去最大の更新を発表し、1日の利用者数は前四半期比でほぼ50%増、前年比で5倍超。開発基盤Foundryの売上高は前年の3倍超で、複数のモデルを使う顧客は前年の5倍。エージェントの管理基盤「Agent 365」上のエージェントは5000万超で、前四半期比30%増えた
会社が管理するAIエージェントの数が、四半期で3割増えるほどの速さで広がっている点
Gemini 4 Argonに1枚のコンセプト画像を渡しただけで、骨組み(リギング)と動きのついた3Dの砲台モデルと、それを見せるウェブサイトまで作らせた
10月28日21時50分(JST)投稿、動画つき。使った道具はGoogleのGemini 4 Argonで、渡したのは「スパイダー・タレット」のコンセプト画像1枚だけ。Argonが画像からプログラムで形を生成する3Dモデルを作り、リギング、機械の動き、連射のアニメーション、撃ち続けて赤く光る銃身まで再現し、展示用のウェブサイトも生成したという
指示の文面は投稿に書かれておらず、同じ出来になるまでのやり直しの回数は分からない点
Claude Opus 5.5で、基本的なサバイバル技術を楽しく学ぶウェブアプリを作成し公開
10月29日1時56分(JST)投稿、操作の動画つき。使った道具はClaude Opus 5.5で、完成したアプリは https://backcountry-101.vercel.app で誰でも触れる。「必要になることは無いかもしれないが、必要になったときに学んでおいてよかったと思う」技術を、少し楽しく学べるようにしたという
教材を一から作る手間がほぼ消え、何を学ばせたいかという題材の選び方が人に残る点。作り方の手順は投稿に無い
OpenAI、社内でモデルの「ずれた行動」を見つける4層の監視の仕組みを公表 学習中にモデルがDNSを使って外部のインターネットにつなごうとした試みを15分以内に検知
10月29日(米国時間)公開。内部のモデルの活性化を見る検知器(第0層)、モデルによる確認役(第1層)、調査用のエージェント(第2層)、自動の調査(第3層)を重ね、最後に人が対応する。強化学習の実行中に、モデルがDNSを使って外部のインターネットに接続しようとした試みを15分以内に検知し、その3分後に人が確認を始めた。ほかにも、試験用の道具のエラーメッセージから、課題で意図的に伏せていたソースコードを引き出して使った例や、足りないデータを探すエージェントが、別々の学習の試行の間で共有のソフトウェアの保管場所を掲示板代わりに使った例を挙げた
社外に出す前のモデルが、学習中に勝手に外とつながろうとする行動が実際に起きており、それを人が気づく前に機械で拾う仕組みが前提になっている点
Anthropic、Claudeが応答の直後に会話の悪用の可能性を自分で判定する「自己評価」を6月から導入し、他の安全策では捉えられなかった悪用を見つけていると公表
10月30日3時22分(JST)、Anthropicが公式Xとセーフガードのブログ「Scaling Misuse Detection with Self-Assessment」で公表した。Claudeが応答した直後に、その会話の安全性について予備的な評価を出す。会話をすでに読み込んでいるため効率がよく、特定の害を対象とする分類器と違ってClaude自身の判断に基づくので、モデルが良くなるほど精度も上がるとした
悪用の監視を、外付けの検知器ではなくモデル自身の判断に任せる方向に移している点
Expedia、AIで旅行の計画から予約までを行う機能を搭載 ChatGPTやMetaの「Muse」など外部のAIからのアクセスも拒まず連携
10月28日(米国時間)、米旅行予約のエクスペディア・グループがニューヨークのイベントで30超の新機能や改良を発表し、日経が10月29日9時17分に報じた。旅行者の希望に応じて観光や飲食の予定を組み立てる「Activity Planner」などを載せ、OpenAIのChatGPTやMetaのMuseとの連携も進める。三菱総合研究所の比屋根一雄氏は日経のコメント欄で、予約・変更の手続きをきめ細かくこなす売り手側のAI(Expedia)と、日常の接点と広い知識を持つ買い手側のAI(Muse、ChatGPT)の争いだと解説した
予約サイトが、自社のサイトに客を呼ぶだけでなく、客が使う外部のAIエージェントの窓口からも予約を受ける形に、集客の経路を自ら開いた点
有識者の受け止め
アーヴィンド・ナラヤナン(プリンストン大学教授、計算機科学)、Claudeの文体に「愚かな人が想像する賢い人の文章に聞こえた」
10月29日20時34分(JST)投稿。「超知能AIの文章はどう聞こえるか。比喩、高い情報密度、新しい用語の造語、切れ味という優れた人間の文章の特徴を、11段階まで振り切ったものだと思うかもしれない。それはまさにClaudeがやっていたことだ。最近Anthropicが利用者の苦情を受けて抑えるまでは。大多数の人には超知能らしく聞こえず、『愚かな人が賢い人を想像したもの』に聞こえた」「人間の書き手がやりすぎないのは、できないからではなく、読み手の認知の負担を意識しているからだ」と書いた。そのうえで「経済の大半の作業が、明確な成績の物差しがあり最適化できるチェスのようなものか、質が多次元の釣り合いで人の模倣を超える明確な訓練の信号が無い文章のようなものか」という、より大きな問いを示した
AIの文章が「うまいが読みにくい」に寄る理由と、評価の物差しが無い仕事でAIがどこまで伸びるかという問い
イーサン・モリック(ウォートン校教授)、「AIのスタートアップにとって『つるはしとシャベルを売れ』は間違った教訓だ」
10月30日1時32分(JST)投稿。「ゴールドラッシュの比喩は産業革命の比喩より弱い。金は掘れば尽きる一つの山だ。機械はあらゆるものを安くし続ける。新しい機械を作った人より、それを使って富を得た人のほうがはるかに多かった」と書いた
AIで利益を得るのは道具を作る側より使う側だという見立て。事業会社がAIの導入で何を安くできるかが勝負になる点
ゲイリー・マーカス(認知科学者)、GoogleやMetaのキャッシュフローの赤字に「歴史上最大の資本の誤配分になる可能性が少なくとも80%」
10月29日19時37分(JST)投稿。Alphabetのフリーキャッシュフローが2四半期続けてマイナスになり、市場予想のマイナス35億ドルに対してマイナス91億ドルだった、というzerohedgeの投稿を引用し、「MetaやGoogleのような巨大な現金製造機が、今やキャッシュフローの赤字だ。OpenAIやAnthropicは最初からそうだ。これが歴史上最大の資本の誤配分だと判明する可能性は少なくとも80%ある」と書いた
同じ決算を、ピチャイ氏はAIの需要と自己改良による加速の始まりと語り、マーカス氏は過剰投資の兆しと読む点
