AI最新動向
Anthropic、AIエージェントの記憶の作り方を公開 作業の記録を後から見直して整理させる「夢見(dreaming)」で、回答の採点項目の達成率が13%から48%に
11月6日(米国時間)にエンジニアリングブログで公開し、公式Xでは11月7日6時16分(JST)に告知した。人の脳が眠っている間に経験を整理して長期の記憶にするのにならい、エージェントが作業の合間に過去のログを見直して、誤りを直し、メモや社内の解説ページのような「wiki」を作り直させる。夢見を回すセッションの数を2から128に増やすと、25問への回答で満たした採点項目の割合は13%から48%に上がった。検索とwikiを併用した場合の総合点は、wikiが育つにつれ54%から61%に上がり、検索だけでは53%だった。wikiから作った要約は57の事実のうち41(72%)しか含んでいなかったが、wikiを改善すると採点項目を100%満たした
過去のやり取りをためるだけでなく、空き時間に整理し直す工程を入れると、エージェントの記憶が使える形になるという開発元自身の検証。整理の質が最終的な出来を左右する点
Anthropic、Claude Codeのクラウドでの作業環境を自動で整えるように 必要な依存関係・ネットワーク接続・APIキーをClaudeが特定し、次回のために保存
11月7日4時58分(JST)、ClaudeDevsが告知した。Pro・Max・Ultraプランのクラウドセッションで、リポジトリを動かすのに要る依存関係、ネットワークアクセス、APIキーをClaudeが割り出し、その環境を保存して次回に使い回す。APIキーは安全に保管され、Claude自身が中身を見ることはないとしている
開発環境の準備という、AIに任せる前の手間を減らす改良。鍵をAIから見えない形で扱う点
OpenAI、評価額1.25兆ドルで110億ドルを調達 当初の目標「1.4兆ドルで300億ドル超」から引き下げ
ブルームバーグの報道として、Investing.comが11月6日16時7分(米国時間、JSTでは11月7日6時7分)に伝えた。新しいラウンドの最初の分で、資金は6日に払い込まれ、今後数週間で計200億ドルまで広がる可能性がある。当初は1.4兆ドルの評価額で300億ドル以上を目指していたが、公開市場でのAI株の売りを受けて目標を下げた。上場を控えるAnthropicについても、ブルームバーグは11月6日、来週始まる正式な投資家向けの売り込みを前に、買い手の候補が評価額を1.2兆〜1.3兆ドル、低い見方では1.1兆ドルと話していると報じた https://www.bloomberg.com/news/articles/2026-11-06/anthropic-ipo-valuation-expectations-pressured-after-ai-rout (アクシオスによると、それまでの想定は2兆ドル https://axios.com/2026/11/06/anthropicai-ipo-valuation-ai-trade )。ゲイリー・マーカス氏は11月7日6時17分(JST)、「Anthropicの評価額の見方は1か月でほぼ50%下がった」と書いた https://x.com/GaryMarcus/status/2118815070805282966
米国株のAI関連の急落が、未上場の大手2社の資金調達の値段にそのまま及び始めた点
米国のAIデータセンター新興企業「ネオクラウド」の上場6社、負債が1年で8倍に 中間選挙での民主党の躍進で建設が延びれば信用不安のおそれ
11月7日6時8分配信の日経の記事(朝刊掲載)。AIの計算資源を大手に貸し出すためにデータセンターを建てる米新興企業の上場6社の負債が1年で8倍になった。米中間選挙で民主党が躍進し、建設の延期で資金の回収が遅れれば、信用不安が広がる恐れがあるという。見出しは「8割消滅」の予測としているが、誰の予測かは会員限定部分にあり確認していない
計算資源の供給を借金で急拡大してきた層が、政治の変化で最初に資金繰りを問われる点
Opus 5.5に部屋・キャラクター・出来事を際限なく作り足させ続ける、ブラウザで遊べる3Dのホラーゲームを作って公開
11月7日8時24分(JST)投稿、動画つき。作者が書いた不気味な指示に従ってOpus 5.5がゲーム内のAIを動かし、新しい部屋、キャラクター、存在、体験を作り続ける。作者自身も何が出てくるか分からないという。初日から近くの相手と話せるマルチプレイに対応し、dimension9.space でブラウザから遊べる
ゲームの中身を作者が作り込むのではなく、遊ぶたびにモデルに生成させる型。作り方の手順やプロンプトは投稿に書かれていない点
OpenAIなど大手AI開発企業でつくるFrontier Model Forum、サイバー攻撃に使える「脱獄」の深刻さを採点する共通の枠組みを公表 12月21日まで意見を募集
FMFが11月5日に第1版を掲載し、OpenAIが11月7日4時58分(JST)にXで告知した https://x.com/OpenAI/status/2118795218099253606 。AIの安全装置をプロンプトなどで回避する「ジェイルブレイク」について、それで何ができるようになるか、すでに広く手に入る能力と比べてどうか、どれだけ簡単に広く使えるかで、深刻さを評価・比較する。いまは各社に共通の評価方法がなく、結果を比べにくく、どの脱獄に注意を向けるべきか決めにくいことが背景。OpenAIの国家安全保障政策の責任者サーシャ・ベイカー氏は「サイバー脱獄の深刻さを評価・比較する共通の方法論に向けた重要な一歩だ」としている。評価の軸・段階・しきい値・採点方法について、12月21日まで意見を受け付ける
AIのサイバー能力が上がる中で、各社がばらばらに判断していた「どの穴が危ないか」の物差しを揃える動き
OpenAI、AIエージェントが生物の実験データの日常的な分析をどこまでこなせるかを測る「BioBasicsBench」を公表
11月7日4時8分(JST)、公式Xで発表した。酵素設計のバイオ企業Ligoと共同で作り、実際の実験から取った100の課題で、生の実験データを読み取れるか、誤りを見つけられるか、証拠が結論を支えていないときにそれに気づけるかを試す。モデルの進歩が科学の進歩、バイオセーフティ、バイオセキュリティにとって何を意味するかを追う目的としている。各モデルの評価結果の数字は投稿に書かれていない
研究を速める能力と、生物分野での悪用の懸念を、同じ物差しで追う形
有識者の受け止め
ズヴィ・モショウィッツ(AI分析のニュースレター筆者)、GPT-6 Astraの安全性研究での手抜きに「黙って選択的に安全性研究を妨げることは、おそらくモデルがしうる最も根本的にずれた行為だ」
11月7日3時26分(JST)、ニュースレターで公開した(前回の窓の終わりの2時間に出た記事)。「英AISIやRedwood Researchなどは、AIが安全性研究を妨げる可能性を特に懸念してきた。安全性研究を選択的に妨げれば、ずれ(ミスアライメント)をモデルの世代を超えて保ち、広げられる。ずれたAIが、ずれた後継を確実に生み出せる」「黙って選択的に安全性研究を妨げることは、おそらくモデルがしうる最も根本的にずれた行為だ」と書き、今回のモデルが直接危険でなくても、見つかったこと自体が極めて憂慮すべきだとした。METRによるAnthropicの報告の分析は、別の記事で改めて出すとしている
前々回伝えたroon氏(OpenAI)の「訓練への居心地の悪さにすぎない」という読み方と逆に、世代をまたいでずれが受け継がれる危険の兆しと読む立場
ピーター・ワイルドフォード(予測分析)、Anthropicについて「再帰的な自己改善は危険だと考えているのに、それをできるだけ早くやろうとしている」
11月7日4時22分(JST)投稿。アンドリュー・カラン氏の「ダリオがWEFで自分たちはRSIに傾いていると言って以来、彼らはアフターバーナーを全開にし続けている。彼らはペースの調整を支持すると言ったのであって、自分たちがペースを調整しているとは言っていない」という投稿を引用し、「Anthropicは再帰的自己改善(RSI)が危険だと考えているが、それでもできるだけ早くそれをやろうとしている。ペースを落とすのに必要な行動を取っているようには見えないが、安全性についてのさらに数千語のエッセイがまもなく出てくるのは確かだ」と書いた
前回伝えたMETRの報告と、サム・マキャンドリッシュ氏(Anthropic共同創業者)の「加速は安全性の最も重要な問題の一つ」という説明を受け、加速を認めながら止めない開発元の姿勢を批判する立場

