昨日まで普通に使えていたのに、大雨の降った日を境に、インターネットが1日に何度も切れるようになる。ルーターの電源を入れ直せば戻るので、そのたびにコンセントを抜いては差しています。
よく言われる原因は、だいたい3つです。ルーターが古い。置き場所が悪い。回線が混雑している。どれも家の中の話であり、実際、多くの場合はこれで説明がつきます。
ただ、切れはじめた日が大雨の日と重なっているなら、疑う順番を変えたほうがいいかもしれません。この記事が立てる問いは一つです。家の中を調べる前に、確かめられることがあるのではないでしょうか。
大雨の日を境に切れはじめたなら、原因は家の中にない
私の家で起きたことから書きます。
横殴りの大雨が降った日の翌日から、インターネットが切れるようになりました。時刻はばらばらで、朝に切れることもあれば、夕方に何度も続くこともあります。ルーターの電源を入れ直すと戻るので、最初はルーターの故障を疑いました。
置き場所も疑いました。カーペットの上に直接置き、壁にぴったり寄せていたので、熱がこもっているのではないかと考えたのです。ルーターの熱暴走は実際によくある話で、気温の上がる時間帯に落ちるなら、その線は濃くなります。
しかし、切れる時刻はまったく決まっていませんでした。そして何より、発症した日が特定の天候と一致しています。ルーターは、大雨の日に急に古くなったりはしません。置き場所も前日と同じで、前日と変わったのは家の外だけでした。
原因を探すときの手がかりは、症状そのものより、いつから始まったかにあります。発症日が思い出せるなら、その日に何が変わったかを先に見ます。
光ケーブルの接続部は、水が入る前提で作られている
光回線は雨に強い、という説明をよく見かけます。ケーブル自体については、そのとおりです。電波と違い、光ファイバーの中を進む光は、外の湿気に影響されません。
問題はケーブルではなく、ケーブルとケーブルをつなぐ場所にあります。
電柱の上や地中には、光ファイバーの接続点を収めた箱があります。クロージャと呼ばれるもので、この中で細いファイバーどうしが接続されています。屋外にあるので当然のように防水されていますが、それでも水は入ります。
どれくらい入るものなのかを示す部材があります。住電オプコムが販売している浸水検知モジュールです。クロージャの中に取り付けておくと、水が入ったときに内部の部材が膨張し、光ファイバーに曲げを加えます。曲げられたファイバーからは光が漏れ、損失が増える。その損失の増加を、局側の測定器から検知するという仕組みです。
数値も公開されていて、浸水したときの損失増加は2から10dB、検知にかかる時間は浸水が始まってから24時間以内とされています。
ここで注目したいのは、性能ではなく、この製品が存在すること自体です。接続部の浸水は、専用の検知部材を作って常時監視するほど、日常的に起きる事象だということになります。
そして、水が入ったときに起きるのは断線ではなく、光が弱くなるだけです。だから通信は、完全に途絶えるのではなく、届いたり届かなかったりします。1日に何度も切れて、そのたびに戻るという症状は、この状態とよく合います。
ここからは私の解釈です。今回の切断が浸水によるものだと確定したわけではありません。確定させるには測定が要ります。ただ、症状の出方と発症のきっかけは、この筋書きと矛盾しませんでした。
切れた瞬間に消えるランプが、原因の場所を教える
自分で確かめられることが一つだけあります。ONUのランプです。
ONUは、壁から来た光を電気の信号に変える箱です。ルーターとは別の機器で、たいてい細長い形をしています。ひかり電話を使っている場合は、ルーターと一体になった機器のこともあります。
このONUには複数のランプが並んでいて、それぞれ意味が違います。電源、認証、UNI、光回線。名前は機種によって変わり、たとえばeo光の一部の機種では、光の状態をOPTという名前のランプが示しています。手元の機器の説明書か、事業者のサイトで名前を確認しておきます。
見るべきは、光回線のランプです。ここが消えているなら、ONUに光そのものが届いていません。
この状態は、家の中では作れません。パソコンの設定でも、Wi-Fiの設定でも、プロバイダのIDとパスワードでも、光回線のランプは消えないからです。消えているなら、原因は壁の向こうにあります。
逆のパターンもあります。ONUのランプがすべて正常なのに、ルーターのINTERNETランプだけが消えている場合です。このときは宅内側の問題で、ケーブルの挿し間違いや、ルーターの接続設定を疑うことになります。
ただし、条件が一つあります。切れている最中に見なければ意味がありません。復旧してから見に行っても、ランプは全部点いています。だから、次に切れたときは、すぐにONUの前まで行ってください。写真を撮っておくと、あとで説明するときに使えます。
私の場合、切れた瞬間には光回線のランプと認証のランプが消えていました。電源とUNIは点いたままで、復旧すると光回線のランプが戻ります。この観測が、あとで効いてきます。
光コラボを契約している人は、NTTに直接申告できない
原因が屋外にあると分かっても、そこから先は自分では何もできません。連絡するしかない。ここで、連絡先を間違えやすい構造があります。
光回線の設備がNTTのものなら、NTTに言えばいい。そう考えるのが自然ですが、契約の形によっては、それができません。
いま多くの人が使っているのは、光コラボレーションと呼ばれる形態です。NTT東日本や西日本から回線の卸売を受けた事業者が、自社のサービスとして提供しています。携帯会社の光サービスや、プロバイダが名前を付けて売っている光サービスの多くがこれにあたります。設備はフレッツ光と同じものですが、契約の相手はNTTではありません。
この場合、故障の申告先は契約している事業者です。NTTに連絡しても、応対はされません。窓口は契約事業者で、そこからNTTへ点検を依頼してもらう流れになります。
番号にも注意が必要です。113という番号がよく知られていますが、これは加入電話の故障受付です。インターネットの故障は番号が別で、NTT東日本エリアは0120-000-113、西日本エリアは0120-248995になります。しかもNTT東日本では、2025年に受付方法が変更されました。24時間つながるものの、17時から翌9時までは録音での受付となり、修理などの対応は9時から17時のあいだに行われます。
つまり、思い立った深夜に電話をかけても、その場で話は進みません。契約事業者の窓口も、多くは日中のみです。
サポートは、困っている度合いでは動かない
契約事業者に電話をかけたとします。ここで、多くの人が同じところで止まります。
オペレーターは手順書に沿って対応します。最初に案内されるのは、ほぼ確実に再起動です。次にケーブルの挿し直し、それでも直らなければ機器の交換、という順に進みます。
これは意地悪ではなく、実際、大半のトラブルはこれで直るからです。確率の高い順に試すのは、切り分けとして正しい。だから、こちらが「何度も切れて困っている」とだけ伝えると、話は手順書の1行目に戻されます。
困っている度合いは、どの原因を疑うべきかを何も教えません。伝えるべきなのは、感情ではなく観測です。
何を伝えれば、回線試験まで進むのか
私が電話で伝えたのは、次のことでした。
大雨が降った日を境に発症し、1日に何度も切れること。切れたときにONUの光回線ランプと認証ランプが消え、電源とUNIは点いたままであること。復旧すると光回線ランプが点き、再起動を何度も試していて一時的には戻るが再発すること。そして、有線も無線も同時に落ちること。
そのうえで、依頼を2つ言いました。光回線ランプの消灯は物理層の症状なので、光の受信レベルを測ってほしいこと。屋外の引き込み線や接続部への浸水を疑っているので、屋外設備の点検も併せてお願いしたいこと。
結果として、再起動の案内を受けることなく、NTTへの点検依頼が上がりました。回線試験はNTTしか実施できないため、そこから折り返しの連絡をもらう形になりました。
効いたのは、ランプの状態を押さえていたことだと思います。光回線ランプが消えるという事実は、宅内の機器では起こせません。それを言えた時点で、再起動から始める手順を飛ばす理由が相手側に生まれます。逆にこれがなければ、まず再起動を試してくださいで一往復していたはずです。
事前に整理しておくと楽なのは6つあります。発症した日とその日の天候、切れる頻度と時刻、そして切断時に消えたランプの名前と、点いたままだったランプの名前。あとは、すでに試した対処と、有線と無線が同時に落ちるかどうかです。
試験のときだけ正常に戻ることがある
公平を期すために、この方法が効かない場合も書いておきます。
いちばん多いのは、試験のときだけ正常に出てしまうパターンです。断続的な障害には、必ず正常な時間帯があります。測定した瞬間がそこに当たれば数値は問題なしと出て、そこで話が止まってしまいます。
私の場合も、雨の降らなかった日は安定していました。気温が35度まで上がったので、乾いたのかもしれません。ただ、これは私の推測です。乾燥と復旧に因果関係があると確かめたわけではなく、たまたま同じ日に起きただけの可能性もあります。
だから、記録が唯一の手がかりになります。切れた日時と、そのときのランプの状態、そしてその日の天気。この3つを残しておけば、試験で正常と出ても「雨の日に再現します」と言えます。再現条件を示せるかどうかで、その後の扱いが変わります。
もう一つ、正直に書いておきます。ランプで分かるのは、原因が家の中か外かという切り分けまでです。その先は測定しなければ分かりません。屋外設備の浸水ではなく、ONU自体が寿命を迎えている場合もあります。大雨に雷を伴っていたなら、サージで機器が半分壊れている可能性もあります。この記事の手順は、正しい窓口に正しい情報を届けるところまでを担当するもので、原因を特定するものではありません。
よくある疑問
Q:雨が止んで乾けば、自然に直りますか。
A:一時的に戻ることはあります。ただ、戻ったことは直った証拠になりません。接続部に水が入る経路そのものが残っているなら、次に雨が降れば同じことが起きます。安定している日に安心して連絡を先延ばしにすると、次の大雨でまた同じ状態に戻ります。症状が出ているうちに記録を取り、落ち着いてから連絡するのが現実的です。
Q:ルーターを買い替えれば直りますか。
A:ONUの光回線ランプが消えているなら、直りません。その症状はルーターより手前で起きているので、ルーターをどれだけ新しくしても関係がないからです。買い替えを検討する前に、切れている最中のランプを一度だけ確認してみてください。
Q:屋外の設備が原因だった場合、工事費はかかりますか。
A:一般に、事業者側の設備に原因がある場合は利用者の負担にならないことが多いです。ただし、費用の扱いは契約している事業者や原因の場所によって変わります。点検を依頼する時点で、費用が発生する条件を確認しておくと安心です。
まとめ
大雨の日を境にインターネットが切れるようになったなら、原因は家の中ではなく、屋外の接続部にあるかもしれません。光ケーブルの接続点は屋外にあり、水が入れば光が弱くなります。完全に切れるのではなく、切れたり戻ったりするのは、そのためです。
自分で確かめられるのはONUのランプだけですが、それで十分に切り分けられます。光回線のランプが消えているなら、家の中には直せる場所がありません。
そして、その観測こそが、事業者を動かす材料になります。困っていると伝えるのではなく、何が起きているかを伝える。それだけで、話が進む場所が変わります。
次に切れたとき、あなたはONUの前まで見に行けるでしょうか。消えているランプを一つ確認するだけで、そのあとの数週間が変わるかもしれません。


