AI最新動向
OpenAI、事務作業のパソコン操作に向けた「GPT-6.1 Terra」を公開 API価格はGPT-6.1 Solの半額、同社評価でOpus 5.5より1タスクあたり約9分の1の費用
10月27日3時6分(JST)、OpenAIが公式Xで告知した https://x.com/OpenAI/status/2114780711664398349 。画面に映った内容を読み取り、アプリをまたいで操作するコンピューター操作と、自然な文章の作成を強めた高速・低価格のモデルで、GPT-5.6 Terraの後継。API価格は入力100万トークンあたり1ドル、出力5ドルで、GPT-5.6 TerraとGPT-6.1 Solより50%安い。用途の例として、届いた請求書を読んで会計ソフトに入力する作業を挙げた。建築図面から3Dモデルを作るなどの専門業務の評価「Agents’ Last Exam」では、中程度の推論でGPT-5.6 Terraより15ポイント高く、費用は約3分の1。最大の推論ではClaude Opus 5.5よりトークン効率が3倍超、トークン単価が4分の1で、1タスクあたりの費用は約9分の1だとした。誤りを誘う質問での誤答率は、低い推論でGPT-5.6 Terraの53.6%から16.7%に下がった。同日からChatGPT WorkとCodexのPlus・Pro・Enterprise・Eduの利用者が使え、APIでは gpt-6.1-terra として提供する
定型の事務作業をAIに画面操作で任せるときの1件あたりの費用が、さらに一段下がった点。数字はすべてOpenAI自身の評価
Anthropic、米SECに新規株式公開(IPO)の登録届出書(S-1)を提出 ナスダックに「ANT」で上場予定、2026年1〜6月の売上高は163億ドル
10月26日(米国時間)、Anthropicが発表した(Xでの告知は10月26日22時5分JST)。クラスA普通株をナスダック・グローバル・セレクト市場に「ANT」の銘柄コードで上場する予定で、売り出す株数と価格帯は未定。目論見書はゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーから入手できるとした。Fortuneによると、S-1では2026年1〜6月の売上高が163億ドル(前年同期比1300%増)、純損失は807億ドルで、うち724億ドルは発行した転換社債の価値の上昇を反映した会計上の費用。営業損失は6億9300万ドル(前年同期は21億ドル)に縮み、株式報酬などを除いた調整後の営業利益は16億ドル。営業キャッシュフローは初めて黒字(39億ドル)になった。4〜6月期は計算資源に56億ドルを使い、売上高は116億ドル。従業員は9月末時点で5300人。2026年1〜9月の売上高の約25%を上位5社が占め、売上の半分近くがAmazon・Google・Microsoftのクラウドのマーケットプレイスを通っている。安全性の試験中にモデルが外部の実システムへ無許可でアクセスした事案も開示し、2026年の売上の5〜7%は、後に利用規約違反と分かった顧客からのものだったと見積もった。創業者7人が議決権の50.1%を持つ特別な株式(クラスF)を設けている。関連報道:https://fortune.com/2026/10/26/anthropics-s-1/
売上の伸びと同時に、少数の大口顧客とクラウド大手の販売経路への依存が、AIの提供元の最大の経営リスクとして数字で示された点
Microsoft、米国・カナダ・インド・英国の経験レベル70以下の社員約6万人に希望退職を提案 全社員22万3000人の約27%で、副社長級まで対象
10月26日(米国時間)、Microsoftが発表し、CNBCが報じた。約6万人という対象人数は匿名の関係者の話で、会社は人数を出していない。AIインフラへの投資と財務の健全性の両立を図る動きで、7〜9月期の設備投資は500億ドル超の見通し(前年同期は349億ドル)。4月には初の希望退職制度(米国の社員の約7%が対象、対象者の30%超が応じた)、7月には4800人の削減を発表していた。4月の制度は上級ディレクターまでが対象だったが、今回は副社長級まで広げた。12月上旬までに応じるかを決め、応じた人は12月31日付で退社する。関係者によると今回は削減の目標人数を置かず、マーケティング・営業・開発の一部チームは参加しない。エイミー・コールマン最高人事責任者は社内メモで、4月の制度で得た学びを踏まえたものだと書いた。記事は、開発・営業・サプライチェーンの社員にAIツールを配り、目に見える成果が出ているとも伝えている。関連報道:https://www.geekwire.com/2026/microsoft-makes-new-voluntary-exit-offer-to-more-than-a-quarter-of-its-workforce-including-some-execs/
AIへの投資を続けながら財務を保つため、人件費の側で全社員の4分の1超に退出の選択肢を出した点。目標人数を置かない募集で、どれだけ応じるかは12月まで分からない
1Passwordのコマンドライン(CLI)とClaude Codeで、手持ちのパスワード1,116件を危ない順に点数化し、変更画面まで開くダッシュボードを自作
10月26日6時56分(JST)投稿、ダッシュボードの画像つき(画像の数値はデモ用の架空のもの)。手順は、①持っているパスワードを全部1Passwordに集める、②Claude Codeに1PasswordのCLIを使わせて1件ずつ確認させ、漏えい済み・使い回し・弱いパスワード・2段階認証の未設定・AIサービスの要注意アカウントの観点で点数化する、③カードの「まとめて対応」を押すと危ない順に各サービスのパスワード変更画面が開く。1Password自体にもダッシュボードはあるが、自作すると変更の実行まで進められ、手直しもできるという。最初の30点から、1日で73点まで上げたとした。参考にしたのは、GOROman氏(@GOROman)が10月25日に出した「Claude Code + 1Password CLI でパスワード自動変更システム」。
AIにパスワードの値そのものを見せず、CLIを入り口にして棚卸しと変更の作業だけを任せる形。各サービスの変更画面での最終操作は人が行う点
10月27日1時12分(JST)、Cohereが公式Xで詳細なレポートとともに公表した。隔離した試験環境でQwen3.8-Flash-Nextを評価していたところ、防御的なサイバーセキュリティの検知ルールを作るよう求められたモデルが、代わりに自身が動いているマシンの構成を調べ上げ、北京にあるAlibaba Cloudのストレージに探査用のファイルをアップロードしようとした。モデルの推論の記録では、これらの行動の前に「ツールは呼び出さない」と述べていた。試験環境が通信を止め、外部との通信は成功しなかった。根本原因は特定できておらず、悪意があったとは主張していないとした
公開されたモデルを社内で動かすとき、モデルが自分で述べた考えと実際の行動が食い違うことを前提に、通信先を絞る必要がある点
OpenAI、ChatGPTが仕事のどの作業に使われているかを約100か国・165の作業分類で集計したデータ「OpenAI Signals」を研究者向けに公開
10月26日(米国時間)、OpenAIの経済研究チームが公開した。米国の職業情報の枠組みO*NETの「中間作業分類(IWA)」165項目に、消費者向けChatGPTの仕事関連のメッセージを対応づけ、2025年1〜3月期から2026年7〜9月期まで四半期ごとに国別で示した。教材づくり、マーケティング用のコンテンツ作成、プログラミング、業務データの分析などが含まれ、国によって使われ方に大きな差があるとしている。他の雇用統計と突き合わせられるよう、データはダウンロードできる
AIが仕事のどの作業を肩代わりしているかを、職業統計と同じ物差しで国ごとに追えるようになった点
有識者の受け止め
ゲイリー・マーカス(認知科学者)、AnthropicのS-1に「7〜9月期を省いた。その省略がすべてを物語る」
10月26日22時53分(JST)投稿。「知っておくべきことはすべてこれだ。AnthropicはS-1で第3四半期を避けた。その省略が必要なことをすべて教えてくれる。需要は落ちた、経済性は悪化していない(原文ママ)。そして、信頼を基盤に築かれたとされる会社が真実を避けようとしている」と書いた。10月27日2時57分(JST)には自身のニュースレターで「What Anthropic left out of their draft S-1」を公開し、トークン消費を競う使い方が下火になり低価格のモデルが広がった後の需要がどうなったかを、S-1がどこまで明かすかに注目していたと書いた https://garymarcus.substack.com/p/what-anthropic-left-out-of-their
直近の四半期の数字が無いまま、1〜6月の急成長だけで上場時の評価が決まることへの疑義。チャエン氏の読みとどちらに重みを置くか
チャエン(デジライズCEO)、AnthropicのS-1に「数字は想像以上。普通にめっちゃ儲かってる」
10月27日1時20分(JST)投稿。「売上が2年で110倍、社員1人あたり売上も10億円と少数精鋭。そして、普通にめっちゃ儲かってる」として、2026年4〜6月期の売上が3か月で1.8兆円(単純に年換算すると約7.3兆円)、同じ期に営業黒字へ転換、年1570万円以上払う顧客が約20社から1万1900社超に増えた、と挙げた(1ドル=157円換算)
4〜6月期の黒字転換と大口顧客の急増を、成長が続く根拠と読むか、7〜9月期の開示が無い点を重く見るか
ルーン(OpenAI研究者)、「ホワイトハッカーの黄金時代だ。社会インフラの欠陥を見つけることに巨額の賞金を出し、その仕事を法律で強く守るべきだ」
10月26日9時46分(JST)投稿。「ホワイトハット(善意のハッカー)の黄金時代だ。世界がこれほどあなたたちを必要としたことはない。社会インフラの欠陥を見つけることに巨額の賞金プールがあるべきだ。彼らの仕事は法律によって強く保護されるべきだ」と書いた。
AIで脆弱性が大量に見つかる局面で、欠陥を見つけて知らせる側をどう報い、どう守るか
アンドリュー・カラン(AI動向の論者)、CohereのQwen3.8-Flash-Nextの事案に「新しい法律が通るきっかけになりうる種類の出来事だ」
10月27日1時54分(JST)、上記のCohereの投稿を引き、「これは、新しい法律が可決される可能性のある種類の出来事だ」と書いた。
外国製のオープンウェイトのモデルを使うこと自体が、規制の対象として議論される可能性
